出会い
ありそうでなかった、陸上のお話ですー。
とりあえず、読んでみてもらえればなーと笑
隣のクラスの変人は今日も今日とて懲りずにやってきた。
入学してからはや一か月、この変人の顔を休み時間のたびに見るのは、いい加減飽き飽きしてきた。
「楠空くんはいますかー!!」
「また来たみたいよー、天地さん」
「休み時間のたびに大声で、入ってくるのはやめてほしいよねぇー」
俺に聞こえるように、わざとらしく会話してるのがつらい。というか、俺も同じこと思ってるつーの。ほんと勘弁してくれ。
俺は机にうつぶせになり、持っていた教科書を顔の前に立てた。
「ありり、席にいないなー。どこ行っちゃったんだろう?」
天地はひとしきり教室見渡すと、せわしなく教室を出て行った。
ほんと台風みたいなやつって言葉がピッタリのやつだ。
最初は俺も普通に対応していたが、さすがに毎日だとこっちの身が持たん。というか、三日で音を上げた。
「行ったみたいねー。毎度毎度、懲りないにゃー」
「わりーな、机借りちまって……、ってうぉわっ!?」
机の主が来たので、自分の席に戻ろうと顔上げたら、目の前に顔があってビビった……!
大げさかもしれないが、今までの人生で一番驚いたかもしれん。いやでも、しょうがないよね。だって、嵐が去ったと思って、顔を上げたら誰かの顔が目の前にあるんだもん。
「あはっ、うくくく、うぉわーって!ま、待って、お、お腹いたいー」
俺を驚かせた張本人は、目に涙まで溜めて、体をくの字に曲げて大笑いしてやがる。そんなに笑わなくても良くない?こっちも涙目になりそうなんですけど。
ひとしきり、笑い転げたあとにクラスメイトの速水風花ようやくこちらを向いた。
「あー、ぷっふ……治まったと思ったら、あ、あんたの顔みたらまた何かが込み上げてきたー! や、やめて、これ以上私に醜態晒させないでー」
普段から、温厚で通ってる俺も流石にキレちゃうよ?
「もう付き合ってられねー」
「あーごめんごめんって!」
まだ出会って一か月だが、風花は面白いことに目がなく、さっきみたいに人を驚かせたり、からかったりするが、人がホントに嫌がることはしないやつだ。俺が天地の襲撃に辟易してたときに、声をかけてきた。
まー多分声をかけてきたのも、面白そうだからだろうけど。
「でもなんで、あんなに空に執着してるんだろうねー、部活の勧誘だっけ?」
当然、天地が一か月も意味もなく俺のところにくるわけがない。風花の言うように、天地は勧誘のために俺のところに来ていた。
中学の頃から部活の大会で、面識はなかったが天地のことは知っていた。
あいつは、中学のころからかなり有名な選手だった。だが、そんなやつがなんでわざわざこんな普通の高校にいるのかとか、なんで俺をあそこまで勧誘してくるのかとかもさっぱりだった。
確かに俺も天地ほどではないが、有名ではあった。でも、あいつと俺ではやっている種目が違う。天地から逃げ回ってはいるが、正直こっちも聞きたいことはたくさんあるのだ。
「そういえば、天地さんって足めっちゃ速いんだってねー!なんでも、百メートル走全国大会で三位とかって聞いたよー。そんな子にあんなに熱く勧誘されるなんて、実は空パイセンはすごい人だったり??」
その答えには答える気がなかったが、話を遮るようになった休み時間の終わりの予鈴にほっとしつつ、俺は席に戻った。
仕事の合間に書いてるので、続き書くの遅いかも…笑
それでは、またー!