81話 3回と牢獄と脱獄と
続きです!宜しくお願いします!
ひどい頭痛で起こされる。
ヒンヤリとした床の温度が接地面から、体を侵食していき身震いするほどになっていた。 ボーッとする頭で状況を確認する。両手両足に鉄のような者がはめ込まれ、ジャラジャラとなる鎖の音が響く。 そして、だんだんに見えてくる、規則的に建てられた鉄の棒。
「あーーーー……ね?」
白髪の青年は理解するのに、10秒もかからなかった。
彼の名はリサード・ブルオスト。 乱れた白髪のまま、また体の力を抜く。
正直慣れたモンですよ? 居ます……? この中に? 短期間で3回も牢屋にぶち込まれたやつ?
いないよね? しかも、俺犯人とかそんなんじゃなくてよ?
俺!the 一般人! are you ok?
……久しぶりでテンションヤバイな。
「……っとお!」
リサードは思い出したように、脇腹を確認する。 四肢は使えないものの、首だけを動かし体を確認する。 一番見たいのは首がどうくっついてるのか何だが、見ることできないし怖い。
「……まあ、生きてるだけで儲けもんだ……。」
リサードはそう呟くと、天井を見上げる。 クロエ探しに来て、結構たった気がする。 それなのに、情報が掴めてない。 焦燥感が呪いのように体に粘りつくのに、自分がどこにいるかさえわからなくなっている。
軽くため息をつくリサード。 すると、目の前の牢屋から声が聞こえた。
「目覚ましたかと思ったら、随分とポジティブ思考だね。」
「────────?!」
思いがけず声をかけられ、気が張り詰める。
「……すまない。 驚かせてしまったかい?」
「いや……。 別に謝ることじゃないさ。 ただ、今回はこういう感じかと思って……」
「……こういう感じ?」
「ああ、いや、特に深い意味は無いんだけどな……。」
今回は他にも人がいるのな。
俺がいつもぶち込まれる牢屋は、人が少ないからつい今回も1人だと思ったぜ……。ってまだ3回しかないけど。
いや、まだって何だ。 1回でも十分すぎるわ。
等と自分にノリツッコミをしてしまうリサード。
「……ハハハ。 その落ち着き用からすると、お前入ったことあるな?」
「……ぐっ。 ま、まあ……。 ってかその感じだとお前もあるだろ!?」
「いーや? 俺はここが初めてだけど?」
「……マジかよ。」
そう話していると、斜め左前。 目の前の牢獄の左側から罵声を受ける2人。
「……うるっせーな。ここは学校じゃねぇんだよ。 ……静かに寝せろやボケ。」
「……いやぁ、だって気になるじゃん? こんな厳重な場所に、しかも、噂の異国人。 気にならない方がおかしいと思うけどね? ユーシン?」
「……? 知り合い?」
「うーん。 そうだねぇ。 訳あって2人ともここへ連れてこられたって感じだね。」
「……ウルグス、テメーよけーな事言ってんじゃねぇよ。 」
リサードは目を凝らし、牢を覗くとちょうど目の前の牢屋に、白く長い髪をした端正な顔立ちをした、気さくな青年が見えた。 彼がおそらく、ウルグスと呼ばれる人物だろう。 それとは対照的に無愛想な隣の牢の黒髪の青年がユーシンだろう。
だが、リサードは1つ会話の中に気になることがあった。
「……噂の異国人……。 ってのは俺であってるのか?」
そう尋ねると、黒髪のユーシンは「フンッ。」と鼻息を鳴らし、白髪のウルグスは興味津々(きょうみしんしん)だった。
「そうだね! 君がここに運ばれてくる際、看守の話を聞いたのさ。 何処の出身かもわからない謎の青年が、第2回層の貴族エリアで倒れてたって! ディスタシアの中でも噂になってるんじゃないかな?……どうやって君はここにきたんだい? そもそも、君は誰?」
「ちょっ……ちょっと待ってくれ。 一辺に言われてもわかんないし、それに関しては俺も初耳だ。俺は今どういう状況何だ?」
ディスタシア……? どっかで聞いたことあるような……。 第1回層? 貴族? ……何を言ってるんだ?
リサードの慌てようを見て、驚くウルグス。 しかし、小さく咳払いをすると冷静に答えた。
「すまないね。 ついがっつき過ぎた。 まずは、自己紹介からさせてくれ……」
そう言うと、少し間を置いて話し始めた。
「……僕の名前はウルグス・オリバード。 そんで、隣の無愛想な子がユーシン・ロックリバー。 話すと長くなるから省略するけど、僕達は同件で捕まってね……。 これでも、僕達一応ディスタシアの元貴族なんだ。 ……君の名前を聞いてもいいかい?」
「俺はリサード・ブルオスト。 ウルグス、ユーシン、よろしく。 正直な所俺はどういう経緯でここへ連れてこられたかもわかってないんだ。 だから、少し質問していいか……?」
「リサードは記憶喪失……ってやつかい?」
ウルグスは不思議そうに尋ねる。
「まあ、そんな所かな……」
そう言うと、リサードは本題に入る。
「さっきディスタシアって言ったが、ここは迷宮都市ディスタシアのことで間違いないか? 」
「……本当に記憶が無いみたいだね。 そう、ここは迷宮都市ディスタシアさ。 ……ちなみに、この街の構造とかは知ってるかい?」
「……ごめん、わからない。 名前だけしか……。 」
リサードがそう言うと、ウルグは体を立て直し話し始めた。
「……迷宮都市ディスタシアは20層の壁に囲まれて出来た街なんだ。 中心街が貴族街、外側が貧民街。 外側に行くにつれて、犯罪数が上がっていく感じでね。 そして、ここディスタシア牢獄は6回層にあるんだけど……」
そう言うと、ウルグスはリサードに聞き返す。
「……ここまでどうやって来たかとか覚えていないかい? この街は結構厳重で10回層には厳しい検問もあるし、5を越えると1回層ずつに検問があるんだけど、僕が聞いた話だと君は2回層に倒れていたそうなんだ。 ただ、検問は住民としての戸籍と貴族としての地位何かを綿密に調べられる。 だから、貴族の出以外が2回層に倒れていたってのは普通はありえないんだよ。」
「……な、なるほど……。」
全くわけがわからない。 何で俺はそんなところに倒れてたんだ???
何が何だかわからないが……
リサードは考える。
オボロが行くと言っていたディスタシアに、何故か知らないが俺はいるらしい。 それも、中心部に……。
この街の闇ルートにクロエの行方を掴む鍵があるとオボロは言ってた。 なら……
これはこれで好都合なはず。
「ウルグス、最後に質問いいか?」
「……え? もう最後かい?いいよ?」
リサードは意を決する。
「……もし、ここから脱獄するとしたら、どうすればいいと思う?」
「なッッ────────?!」
「───────────?!」
ウルグスどころか、会話に参加していなかったユーシンもそれを聞き動きを止める。
「……フッ…… クク……」
「……………………………………。」
「……出来るわけないだろってか?」
「いや……………………」
ウルグスは不敵な笑みを浮かべるとそう言って、ユーシンの方に目をやる。
「ほら……。 やっぱりばば様の言った通りだ。 来てくれたのさ……。」
「……まだわかんねぇだろ。」
「いーや、僕は確信したよ。
彼がその男だと……」
「…………………へ?」
ジャラっと鎖の音を立てると、ウルグスはリサードに目をやる。 そして、────────
「この牢獄の警備が世界最高峰と言う事実を知って知らぬか……。 もうそんな事はどっちだっていい。 そんな馬鹿げたこと出来るわけがねぇ。 なぁ、リサード……」
「…………………………………。」
リサードは息を呑むが、しっかりとウルグスの体から目を離さない。
───────────────────────────。
「……だけど、そんな馬鹿げたことを僕達もしなくちゃならない。 是非その話、僕達も協力させてくれないかい?」
────────────────────────────────────────。
誤字脱字ありましたら、感想などで教えてもらえるとありがたいです!




