70話 レキとオボロ
前回の続きです! 遅れてしまい申し訳ございませんでした!
闇系絶技────────
「白垂……」
オボロの剣から滴る白い闇が、レイピアとアーサイトを包む防具を侵食していく。
「……ああッッッ!! ああッッッ!!!」
ピクピクと体をうねらせると、くるりと白目を剥き体から力が抜けていくアーサイト。
ズズズッと言う音と共に、地面の奥に消えていく悪魔のような手。
白く透明な魔法陣が染まり、そして消えていく……。
「……フう。」
オボロは一呼吸を置く。
アーサイト。 呆気なく終わったように見えたその戦い……。
だが実の所を言うと、ギリギリを攻めていたと言える。
彼の剣技、レイピアの扱いは凄まじいものだった。 この戦いは剣の戦いであり、剣の戦いではない。 レイピアと刀、それと魔法を駆使した戦いだ。
オボロは戦いのさなか、足元に魔法陣を設置していた。 勝ちを意識したアーサイトをそこへ誘導し、身動きを封じる魔法をかけることに成功した。
こう言えば、聞こえはいいだろうがそうするしか無かった……というのが本音だ。
戦ってみて彼自身は、本物の剣技の天才であった。 それ故に、トラップにかかってしまうのだが、剣だけであったら恐らく負けていたのはオボロ。 魔法を使わずして、オボロとここまで戦い抜いたことが強さを証明している。
オボロは剣技にも自信はあるが、得意とするのは魔法の分野だ。 強力な威力を誇る闇魔法を駆使した戦い。
剣で圧倒的に勝っていたアーサイトの傲慢さが今回の勝因。
恐らく、今まで魔法を使わせる前に蹴りをつけられていたのだろう……
まだまだ世界は広い。 それを教えると同時に、自分にも言い聞かせる。
俺もまだまだ成長の余地がある……
「……まだ俺とやる気があるやつはいるか?」
「……グッッッ……。」
「……ッッッ!!!」
オボロがそう言う獅子王の心臓の小部隊が構える。
「……さすがは訓練された者達だ。 アーサイトがやられても逃げ出すことはないか。 しかし、命は大事にしろよ……。」
そう言って、オボロが剣を構えたその時だった────────
「やれぇー! 黒服の兄ちゃん! クソギルドのゴミ共をぶっ殺せー
!!!」
「いけいけ! 天罰だァ!天罰だァ!」
「────────?!」
周りの住民達からのエール。 だが、エールと言うには汚くおぞましい罵倒ばかり。
クソギルド……?
天罰……?
リオンズハートの小部隊も困惑した顔をしている。
この街で一体何が起きている? 一端にもこの街はリオンズハートに守られてきたはずだ。 何が起きているのかわからないが、鬱憤などが爆発しているのだろうか。 非常に酷い有様だ。
「……一体この街に何が起こったんだ……?」
オボロがそう呟いた頃には、もう戦闘ができる状態じゃなかった。 空き缶やゴミが投げつけられ、小部隊の剣士や魔法使はてんやわんやになっている。
「おら、兄ちゃん! 早くやっちまえよ!!!」
ヒゲを蓄え、腹の肥えた頭の涼しそうな男がオボロに近づく。 昼間だというのに酒の匂いが強く鼻についた。
その男がグイグイと近づいてくるため、距離を取ろうとするオボロ。
すると、────────
「……離れてください! 危険ですから!!!」
まだ見習いであろうと感じさせる若い青年が小部隊の中から飛び出し、男を止める。
「……ああ?? 何しやがんでえ! お前らは役に立たねえんだよ!偉そーにすんな! それとも、この街の住民である俺をぶっ飛ばすのかぁ? ああ?!?」
「……グッ。 しかし、この男は危険だ。 早く我々の後ろに……」
「……うるせえぞ!!!」
青年を蹴り飛ばし、オボロに近づく。
「おい、兄ちゃん。 お前アーサイトを倒すなんてやるじゃねえか! ほれ、早くアイツらもぶっ倒せ!!!」
そう言って、ヒヒヒと酔いどれ笑う男。
オボロはため息をつき、少し考える。
正義は必ず報われるものではないな……。
そして、────────
────────ガッ!
オボロは不意にその男の胸ぐらをつかみ、持ち上げる。
「……うおッッッ!! 何しやがんでえ!!! 離せや兄ちゃん!! 俺はこの街の……」
巨躯の男は手足を振り回して暴れるが、オボロの前では抵抗にすらならなかった。
そして、────────
「おい、男。 お前はこの街の……何だ?」
男は体の動きを止め、汗をかき始める。
「な、何って……。 俺はこの街の住民だ……。 ぜ、税金払ってンだよ!!!」
「……は?」
ゾッ────────
オボロの発したその一文字は、場を凍らせた。 周りにいた者達もゴミを投げていた者達も皆動きを止めた。
「……お前勘違いしてないか? 金を払って守ってもらっていた男達はあっちだぜ? 俺は今からそいつらをやるが、お前達の安全を守るつもりはこれっぽっちもない。 ……殺されても文句言うなよ? 死にたくなけりゃ今の3倍税をおさめろ。」
「ひ、ヒィ!! あ、悪魔ァァァァ!!!」
手を離すとズルズルと引けた腰を引きずりながら逃げる男。
オボロは更に違う男にも目をつける。
「……お前さっきクソギルドのゴミ共がどうとか言っていたな?」
「……は……? ……な、……なんだよ……。」
ゆっくりと近づいていくオボロ。
おもむろに剣を振りかざす。
「……そのゴミ共に守られていたお前はさぞかし弱く、醜く、蚊のように殺しやすそうだ……。」
「ひ……ひ……、いやぁぁだぁぁぁ!!!」
オボロがゆっくりと剣を振り下ろす。
すると、────────
キンッッ────────
オボロの剣が弾かれる。
「そこまでにしといてもらうぜ……。」
金色の髪が揺れ、サングラスがそれを抑えている。 風のような早さで現れ、オボロの剣を抑えて見せた。
「お、おおお~!!!」
見ていた街の住民は感嘆の声を上げていた。
「……獅子王の心臓のレキだ。 幹部の1人が来てくれたぜ! 」
「あの黒い男は危険だわ! 早く倒して!」
「お、俺は……元々獅子王の心臓を倒せなんて反対だったんだよ。」
等、好き好きに手のひら返しをゴソゴソと話し込む住民。
しかし、彼らの脅威であるオボロがまだ倒された訳では無い。
レキの持つ厚みのある剣と、オボロの長い剣がキリキリとぶつかり合う。
「……フッ。 お前か。 ……マリンはどうした?」
「……彼女は姐さんのところにきたぜ。 ……それがどうした?」
「そうかい……。」
オボロはフッと力を抜き、圧力で吹き飛ばされた。
わざと力を抜いた……?!
「いけいけいけ!!! レキ!!!」
「……獅子王の心臓バンザーイ!!!」
レキは驚き、つい体勢を崩す。
「……あの野郎……。 なんで……。」
オボロの姿は爆風の中から消える。 街の住民達は脅威が消えたことから、今日一番の歓声を上げていた。
青年がレキに駆け寄る。
「レキさん!ありがとうございます! 貴方が来てくれなければオボロにどんな酷いことをされていたか……。 お陰で街の人たちも僕達を認めてくれたみたいです!」
そこで、レキは疑問の招待に気づいた。
「……そうか。」
いつもは乗せているだけのサングラスをずらしてかけるレキ。
「……しかし、レキさんはお強いですね! アーサイトさんが苦戦した相手を一撃だなんて……。 正直圧巻です!」
キラキラとした目でレキを見る青年。
レキは何も言わずにその場を立ち去る。
どうやら、仮ができたみたいだぜ……。
レキは歓声の中を歩き、考えを改め直す。
もしかしたら、案外悪いヤツらじゃねぇのかもな……。
心の中でレキは呟く。
俺は必ず仮は返す男だ。 悪魔の使い!!!
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遅れることのないようにしっかり計画を持って行動していこうと思います。 体調が優れなかったりしますが、今後ともよろしくお願いします!
みなさんが見てくれてることが、すごい支えになっています。 ありがとうございます!




