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69話 出直してこい


前回の続きです! どうぞ!!




「おいおい、どうなってんだよォ!!!」



「キャアアア!!! 誰か止めてええぇぇ?!」



街の先ほどの活気は、喧騒(けんそう)に変わりどよめきを与えていた。

走り逃げ出す住民達は、次々に列をなし綺麗に消えていく。



「……良いですねえ。 お前はすぐに死ななそうだ。 私が楽しめるというものだよオボロ!!!」



「……フン!」



目に見えないほど早いレイピアの突きがオボロの(ほほ)をかすめる。 しかし、そのどれもをかすり傷程度で済ませているのはオボロの戦いの経験からだ。



「……手が出てませんよ? これが、神に嫌われし者達(タブーリスト)の力ですか??? とんだ期待はずれだあ。」



速度はドンドンと増して、オボロを襲う。 後ろに下がりながら体をあまり動かさず避けるオボロ。


「……ハァ。」


「は……?」


オボロは避けながらため息をついてみせる。


「……ため息ついてる暇があんのかクソタコがァァァ!!!」


「……ッッッ!!!」


恐ろしく洗練された一撃がオボロを襲う。

それを、ユースティティアで(しの)いで見せるが脇腹に赤い筋が何本も浮かぶ。


レイピアの特性は2つある。


それは手数の多さと、遠近法(えんきんほう)を用いた独特の間合い。


レイピアは軽く、そしてしなりを見せるためスピードに長けており目では終えることの出来ない領域にまで手数(てかず)を増やすことが出来る。

それに対し、オボロの白く長めの剣では防いでもひと突きのみだ。 他は経験則(けいけんそく)で避けたとしても、避けきれるわけではなくじわじわと体力を奪われる。


刀のような形状を持つユースティティアでいなしてはいるものの、しなりという特徴はここで止めることは出来ない。



「……小賢しいだけ。 と言えば単純だが、甘く見れば致命傷となる。 一撃で決めることが出来ないと判断される場合は、手が出しにくい……。」



オボロは呟きながら状況を確認する。



「……ああ? ブツブツ言いながらで勝てるんですか? 悪魔の使いぃぃ? 笑わせますよ本当に。 あなたのような名だけ雑魚がのさばっていると思うと吐き気がするんですよ!」



突きの手をやめず挑発を繰り返すアーサイト。

彼の目には狂ったような怒りが見え、プライドの高さが彼を激昂(げきこう)させているだと容易に想像できる。


それに()えて、オボロは冷静に対処していた。



「……チッ……!!!」



オボロの頬を大きくかすり、血が飛び散る。



「ヒャハハ! 動きが鈍ってますよぉ?! ……おっと、いけないいけない。 私は一切の油断を許さない男! ……好きを伺っても無駄なんだよゴミの使いが!」



2つ目の特性である独特の間合い。


それは、遠近法と緩急(かんきゅう)を付けた鋭い一撃。

人間は横振りなど過程が見えるものに対しては、脳が予測行為、到達時間(とうたつじかん)などを把握し、防ぐことが出来る。


しかし、レイピアは言ってしまえばそれが出来ない。

横振りや普通の剣筋(けんすじ)に見える線の動きに対し、レイピアは点の動きを可能にする。


人間は線の動きは予測できても、点の予測行為、到達時間などでは大きな誤差を生じさせ動きを止めてしまう。

いわゆる、人間の本来持つ死角(しかく)の部分を狙った攻撃。


また、そこに緩急をつけることによりいきなり遅い攻撃から、急に速く鋭い動きなどに移行されると脳は追いつかない。


この2つの死角を狙い作られた武器がレイピア。

その特性をきちんと生かした攻撃はオボロ着実に(むしば)んでいく。



「……クッッッ!!!」



だが、────────



オボロは笑って見せた。



「……貴様ぁ…アアア!!! 何を笑っているのだぁ!? 貴様にそんな余裕が無いのはバレてるんだよぉ!!!」



アーサイトは更に続ける。



「……俺の剣技は絶対に敗れない。 遠近感を狂わす点の動きと、緩急。 そして、それを可能とさせる私のセンス! 自信! 私の剣の技の前では誰もが為す術をなくすのだァァァ!!!」



それを聞いて「フッ……。」と(こぼ)すオボロ。


「……確かにお前の剣のセンスは目を見張る。 レイピアの特性を生かしきり、他の追随(ついづい)を許さないと言っても過言ではないな。」



オボロの肩から血が吹き出る。 だが、その顔から笑みは消えない。



「……だったら、貴様はなぜ笑っている?! なぜだなぜだなぜだァァァァァ!!!」



更に剣筋の速度をあげ、音を置き去りにするほどの速度に到達するアーサイト。

いくら細い剣でも脳や内臓。 心臓などを突かれれば簡単に命を奪う。 この剣に毒などが塗って無いことを確認できたのが幸いだろう。

オボロの体から血が飛び散る。



「……強がりだな? お前は負ける! そうだ!俺はいつだって強者なのだからァァァァ!!!」



アーサイトが最後に決めの一撃を放つ。

オボロに避ける術はない。


勝った……! 勝った勝った勝った勝った勝ったゾォ!!!



「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!」



アーサイトが力を込め、一歩を踏み出す。


だが、────────


「……ヒ……あ?」


勝利を確信したその瞬間だった────────


「……ハ……あ……?」


アーサイトの身体に大きな悪寒。


この感覚は……



あの……



ミラ様と同じ……




そして、────────




体……が……動か……ない……



「……っぁ……。」



何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ?!?!?!?!


何が起きてる何が?!?!


呼吸すら止まるほどの恐怖。


必死に目を動かし、体を確認するアーサイト。


すると、────────



闇系魔法────────



「デーモンズ・クリップ。」



「エヒッッッ!!!」



アーサイトの身体に白い手のようなものが絡みつき、全ての自由を奪っていた。

まるで地獄から伸びたきたような悪魔の手。 その忌々(まがまが)しさを放つ無数(むすう)の手はアーサイトを掴んで離さない。



そして、────────



オボロの白剣がゆっくりとあげられる。


なんだこの状況は?!夢か?! そうだそうに決まっている! 私は勝ったのだ?! はひはははひ!



「……お前に勝つ者として1つだけ教えておいてやろう。」



「……ッッッヒハァ?」



オボロの剣に白いモヤがかかり、そしてドンドンと膨らんでいく。



これ……は……



角、赤く鋭い目つき、禍々しい風貌、牙……間違いない……コイツは……



アーサイトは口を閉じることも忘れ、体液という体液を垂れ流しながらそれをみつめる。



(あく)……()



「……俺達がしているのは剣道でも無ければ、チャンバラでもない……」



悪魔がアーサイトをのぞき込み、死の咆哮(ほうこう)をあげる。


助けたふけたふけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!





────────グッ。





「……何でもありの殺し合いなんだよ。」






呆気なかったな……。



「ギィヤアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」



出直してこい。




闇系絶技─────────





「……白垂(しろたれ)。」




────────────────────────────────────────




帰省はいいなぁ~!

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