68話 死亡フラグ?! 2
遅くなりました!
どうぞ!!
「ハァ……ハァ……」
マリンはギルドの中を駆け回る。 しかし、驚きなのは誰も自分に気づいていないようだったからだ。
オボロの魔法のおかげ……?
マリンはなるべく足音を立てないよう階段を登っていく。
オボロの魔法のおかげだろうか、通っていくメンバーがまるで気づかないように横切っていく。
ん……? と不思議に思いながらも、中を進んでいく。
だが、それ以外にもマリンには不思議に思うことがあった。
単純に人が少ない……。
普通、ギルドの中には常駐している剣士や魔法使いが30から50は居る。
大きなギルドで高さも地下も存在するためそれでも空きがある。 それなのに、すれ違う人数は数人だった。
入口にいた人を合わせても10数人程……
オボロがあれ程暴れているにも関わらず、この人数しか来ないのはおかしい……。
「……祭り騒ぎに出ていってるのかな……?」
とりあえずお姉ちゃんに当たって見なきゃ!!!
そう、考えていると上への階段を見つけ、駆け上がるマリン。
すると、────────
「ひゃあぁぁあッッッ!!!」
「────────?!」
大きな悲鳴!
え……?!
マリンはグッと歩みを止める?!
何が起こった?!
下からではない、ギルドの内部。 しかも、上の階……。
マリンは息を殺し、様子をうかがう。
一体この先で何が起きてるの……?!
悲鳴が起きたかと思えば、不気味なほどの静寂が響く。
マリンはどっと走る動悸を必死に抑え、冷静に頭を回す。
ここで、焦ってはならない。
先程の悲鳴はギルドメンバーのものだろう。
そして、何者かに襲われた……? と考えられる。
しかし、オボロが中に入ってくることは考えられない。 アーサイトは並の剣士ではない、流石にあのオボロでもこの早さで中に侵入なんて出来るわけがない。
では、一体誰が……?!
マリンは必死に思考を巡らせる。
裏切り……?!
いや……とマリンは落ち着ける。
この状況だけで裏切りと決めつけるにはまだ早い。
となるともう1つ考えられるのは……。
……第三者の介入
しかし、もしこの第三者がやっているとしたら後から入ってきたということは考えにくい。
何故ならこの人数が少ないという状況を作り出したのが第三者だと仮定すると、私達より先にいたとする方が自然だ。
私達より先に居て、ギルドメンバーを討っていたとすれば駆けつける人数が少ないことにも納得が行く。
だが、やはりそれだけでは不自然な点は色々とある。
私達より先にいたということは、アーサイト達に気づかれずどこからか侵入した……若しくはいた事になる……。
そうすると、裏切りの線も……、いやでも……
出来すぎているといえば、出来すぎている……。
何か見落としてることがある? いや、でも……
息を殺し冷静に考えるが、これだけではやはりここら辺が限界だ……。
オボロだったら、リサードだったらどう考えるのかな……と考えてしまうがここには自分しかいない!
せめて、姿を確認しなければ……。
────────キシッ。
床の軋む音が走る。
「……ッッッ!!!」
バクバクと血を走らせる心臓の音だけが響き、聞こえてしまうのではないかと心配になる。
それでもゆっくり……
一段一段と残り半分の階段をあ
がる。
悲鳴は階段の上から聞こえた。 恐らく犯人は階段を上り切れば見える。
だが、決して応戦はしない。
理由は2つ。
自分がするべきことは、自分の姉でありマスターであるミラに会うことだ。 ここで時間を食う訳にはいかない。
2つ目はどうあれこの第三者は強者だと言うこと。 あくまでもここは大陸に名を轟かせる大きなギルド。 構成員とは言ってもそれぞれがかなりの戦闘力を持っているのだ。
その者達を悲鳴のみで、静かに倒して行くなど並大抵のものではできない。 相当な切れ者だ。
かと言って遠回りするには時間を食ってしまうし、私は裏切った形にはなったがこのギルドが好きだ。
せめて、顔だけでも確認しなきゃ……。
最後の階段に足を乗せる。
音を立てないようにゆっくりと体重をかける。
ゆっくり……
落ち着いて……
そして、悲鳴が聞こえた場所をのぞきこんだ。
すると、────────
誰も……いない……ッッッ?!
嘘だ……。 さっき悲鳴が聞こえたのはここだ。
なのに、倒れている人もいなければ、犯人らしき人影もない。
そんな……今のは……
「ねぇ……?」
しっとりとしていて不気味な声。
────────ゾクッ!!!
感……じる……
「……あ……ああ……。」
まるで、死という概念に話しかけられたかのような感覚……。
う……し……ろ……?
マリンは硬直し、身震いが止まらない。 なぜ。 私の肩に手が乗っているの? 何故、後ろから声が聞こえるの? 何故、私の姿が見えているの?
わかる、わかってしまう。 これは明らかに私に問いかけているものだと。
マリンは何も出来ない。
すると、声が続きを問いかけた。
「……君はリサード……。 という男の子を知っているかい? 」
驚くほど不気味な声、そしてここで初めて気づく。 鎖……? 男が話す度にジャラジャラと鎖のような音が響く。
この男は一体……
「……ねぇ? ……聞こえてるよね? 」
肩にしっとりと感触が伝わる。
な、何か……
「……し、知ってます……、な、仲間です……」
「……へぇー? そうか、君か。 顔を覚えるのが苦手でね……。」
顔……?!
「……君はここに留まるべきじゃないね。 早く行くといいよ……。」
「……あ、あなたは……?」
振り返ることはせず、そう聞き返すマリン。
そう問いかけると、クスッと笑う男。
「……すぐにわかるよ。 さぁ、行っておいで。」
「あの……ッッッ!!!」
そう言って思い切り振り返るマリン。
しかし、────────
そこには誰もいない。
「……嘘……。」
まるで、狐にでも化かされた気持ち。 しかし、肩にある温もりは確かに存在する。
味方……? それとも……
でも、何ももう気配は残っていなかった。 何故私が見えたのか? 私を助けた?
そして何故、リサードのことを?
そして、まるで私たちを知っているような口ぶり……
すぐにわかる……って……。
だが、今考えたところで答えが出る訳では無い。 マリンは歩き出す。
このギルド、この街は今何が起きているのか……。
恐らく、ミラは知っている。
「……訳が分からないよ! 早くお姉ちゃんのところへ……ッッッ。」
マリンは走り出す。
背中に残る恐怖。 あとから吹き出す脂汗。
まるで、その場所から逃げ出すようにミラの部屋へ向かうマリン。
本当に……!!!
マリンはグッと堪え、つぶやく。
「……オボロの馬鹿。 アンタのせいで、私にも死亡フラグが来たと思ったじゃない! 文句言ってやるんだから……!!!」
マリンは一滴流れた涙を拭き、ミラのところへ向かった。
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これから、ライブに向かいます。 はい。 オールです。




