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67話 死亡フラグ……?!


前回の続きです!どうぞ!


ティアと約束を交わし、宿を後にした2人はノクス・ラビリンスに向かおうと街へ出た。

しかし、────────────



「……祭り……? え? 何? 何でこんなに人が……?」



ここは獅子王の心臓(リオンズハート)拠点(きょてん)としている街であり、小さな国。 ミューハーフェンと呼ばれるその国で、かつて無い光景が映っていたのだった。



「……マリン、この国に祭りなんてあったのか?」



「ううん……、聞いたことないよ……。 少なくとも私はこんな街を見たことない……。 だって、お姉ちゃんは……」



マリンはそう口にすると、何かがひっかかる。



「……お姉ちゃん……?」



小さな声でそう呟くと、走り出すマリン。 お祭り騒ぎしている街を慌てて駆け出した。

向かう先は、大ギルド獅子王の心臓(リオンズハート)



「マリン!!!」



人混みを抜けていくマリンの後ろ姿を見失わないよう、オボロの姿もまた人混みの中に消えていった。


…………………………………………………………………………………………………………………………………………



────────バンッ!!!



「────────?!」



勢いよく開かれる木製のドア。 中は木の匂いと様々な匂いが鼻を駆け抜ける。

街の建物がレンガや鉄の物など、頑丈(がんじょう)なものが揃っている中全て木材で出来ており、中ももちろん木材。

だが、古さを感じさせず。 むしろ、外観や内観から強さを見せるのはここが獅子王の心臓(リオンズハート)のギルドだからだろうか。

その扉のドアを思い切り開けたマリンは、息切れをしながらも呼びかけた。



「……お姉ちゃん! ……は、どこ?」



「……マ、マリンッッッ……。」



マリンの姿を見るや否や皆の手が止まる。 皆呆気(あっけ)に取られ、マリンを見つめる。

だが、そんなことはマリンには関係がなかった。



「……お姉ちゃんは、どこって聞いてるの……。」



すると、奥の席に腰掛けていた男がゆっくりと視線を見せる。 傷だらけだが歴戦(れきせん)を思わせる防具を身にまとい、黒いロングヘアーの中から鋭い視線を覗かせている。 座っていたと思うと、その男は立ち上がり、ゆっくりと道を開きマリンの前まで歩き出す。



「……これは驚きですよ。 まさか貴方様が直々にこっちへ来てくれるとは……。 手間が省けたというものです……。」



男はそう言うと脇に指してある武器を抜いた。 素朴(そぼく)で何の装飾もされていないレイピア。 それを、マリンに突きつける。



「……来てたのねアーサイト。 お願いだからそのレイピア降ろしてくれない? 私はただ話をしに来ただけ。」



マリンがそう言うと、アーサイトと呼ばれた男の顔が歪みあがり、ニヤッと口角を上げる。

その男の顔を見ると苦虫をかみ潰したような顔をし、そう答えるマリン。


彼の名はアーサイト・フォーカス。 レイピア使いの達人で謎の多い男。 このギルドの幹部にして、特殊部隊(とくしゅぶたい)を率いる隊長。

彼がこのギルドに入ってきたのは2年前頃だっただろうか。 端的に言ってしまうと、突然現れたかと思えばそのままに幹部の座を手に入れるという所から既におかしい。

もちろん、最初は抗議の声も上がったが、それも最初だけであった。

それは何故か?


答えはシンプルだった。


抗議の声を上げていた者が、全員戦場死(せんじょうし)を遂げたのだ。


だが、彼だけ戦場から戻ってきた時は心配よりも腑に落ちない何かがあった。


だが、彼は嫌味なことにギルドマスターの姉を除けば、ダントツの戦闘力を誇っている。 表面上(ひょうめんじょう)は彼が強かったため、不測の事態をも切り抜けられた……とされているが、怪しすぎる。

彼に対しイチャモンを付ける者もいたが、その者達も戦死。 だが、姉が動かないことには彼を制御(せいぎょ)できるものなどいない。


不幸中の幸いと言えば、彼はいつも外出していて滅多に帰ってこない。

ここで(はち)会うとはツイてない……。



「お話……? 裏切り者と話すことは何も無いんですよ。 」



「……ッッッ。 確かに、裏切ったように思われるかもしれない。 私のこと信じられないのはわかるわ。 でも、今ここに来たのはギルドメンバーとしてではなく、姉妹としてきたの! ……それは信じて欲しい。」



「……ギルドメンバー? 姉妹? ククッ。 ちゃんちゃらおかしい脳みそをお持ちのようだ。 開いたら何か原因がわかるかも知れませんな?」



「……アーサイト! ふざけないで! 早く降ろしてよ……」



レイピアに陽の光が当たり、キラリと刀身を滑らせる。



「……ふざけてなんていませんよ? 忠誠心(ちゅうせいしん)の強い私はァ? ミラ様に牙を向くウジ虫の家畜(かちく)を排除しなければいけません。 いくら姉妹であろうと、関係ないんですよ。」



「……アーサイト……。」



「……で? このまま大人しく牢屋で判決を待つか、死ぬかどっちがいいですか?」



「……アンタじゃ話にならない! 他の人に話をさせて!!! 」



そう言うと、後ろに仲の良かったメンバーの1人を見つけ、彼女に向けて声を上げた。



「……ビビ! お願い聞いて! 私は本当にそういうのじゃないの! ただ、心配をして……」



「……マリン……。」



ビビと呼ばれた若い女がそう呟く。

だが、────────



「おーい、ビビ。 なんだその甘ったるい声は? もしかして、お前も裏切りに加担(かたん)していたりしてないよなぁ?」



「勝手なことを言うな!!! ビビは関係ないわ!!!」



ゆっくりと後ろを振り向き、ビビに視線を送るアーサイト。

一瞬ドキッと戸惑うと、ビビはそれ以降目を合わせない。



「……………………………………。」



「……ビビ!!!」



マリンがそう呼んでも視線が合うことは無かった。



「……だそうですよ。 元幹部のマリン様。 ……と言ってもただのミラ様の七光りに過ぎなかった上に、裏切り者の(はく)がついていますからねぇ? ククッ!」



「……アーサイト。 」



アーサイトの歪んだ顔がマリンをのぞき込む。

そして、マリンにしか聞こえない声で呟く。



「……やっと貴方を殺せますよ。 会えるといいですねぇ? かつての仲間達に……」



マリンは青ざめる。



「……まさか……あなた……。」



「……さぁ? 疑いは良くないですよ?」



後退(あとずさ)りをするマリン。 もう彼の視線から目が離せない。



「……貴方が死ねば、私はもう自由だ。」



レイピアが風を鳴らし、ニコッと笑うアーサイト。


やられ……る……


────────キンっ



「……?」



アーサイトはゆっくりとレイピアを戻すと、そのままの顔で正体を捉える。

そして、赤。 彼の頬には赤い線が引かれ、血が流れ出す。



「……自由になれるかどうかは俺が判断してやろう……と思ったが、どうやらビンゴだ。 俺の正義がお前の罪に反応しているな?」



オボロッッッ?!


マリンはそのまま倒れ込む。 明らかに走馬灯(そうまとう)がよぎった。

しかし、確かに生きている……。


アーサイトは頬をゆっくりと触り、血を手に取ると丁寧(ていねい)に確認する。



「……おかしいですねぇ? 斬られてないのに、血が出てきたなぁ。」



オボロは剣を構えたまま、マリンの前にたち油断はしない。



「……俺の剣の名はユースティティア。 触れずとも悪を着る名刀(めいとう)。 お前の罪を判断するには丁度いいだろう?」



「……ユースティティア……? ……と言うことはお前が……悪魔の使いオボロ・ヒデトラだな?」



「……なん……ですって……」



中でマリンとアーサイトのやり取りを見ていたメンバー達にどよめきが走る。

だが、────────



狼狽(うろた)えるな!!!」



「────────?!」



「地獄に行くのが2人になっただけだ。 そこで見ているといい。」



「……お、おお……!!!」



ギルドメンバーの士気(しき)が一気に高まる。



「……さすが、アーサイト様だ。 」



「やる時はやる男……。」



「口は悪いが、頼りになるぜ……。」



皆それぞれに口にする。


そして、────────



「……皆のために剣をとるのが、仕事ですからねぇ? ねぇッッッ!!!」



「……うおッッッ!!!」



鋭い一撃が頬をかすめる。

コイツ……伊達(だて)に幹部やってるだけあるな……。


オボロもまた構え、攻防を続ける。


後ろで見ていたマリンは絶望(ざつぼう)していた。


最悪の状況を作り出してしまった……と。


アーサイトの士気を高めてしまった上、オボロまでロックオンされた。

アーサイトを信じてはダメ……等と言ってもきっともう彼らに私の声は届かない……。


どうしてこうなってしまうの!!!



「マリン!!!」



「ハァーン? 集中集中(しゅうちゅうしゅうちゅう)ですよ?」



オボロがアーサイトを入口から離す。



「マリン!どっちにしろ俺らはもうお尋ねもんだ!!! 行ってこい!」



……オボロ。



「……わかった!!!」



「行かせるかよ家畜がァ!」



グッと視界が揺らぐ、アーサイト。



「……お前も俺に集中集中するのをオススメしておこうか!」



「……クソが!穴だらけにしてやるよぉ!」



────────闇系魔法



「喰らうかよバカが!!!」



「……マリンに幸あれ! 」



オボロの手に集まった白い闇が放たれ、マリンに当たる。


まさか……! 援護魔法?!



「殺してやるぞ家畜風情! 」



「……フンッッッ。」



オボロは誇らしげに睨みつける。


こういう時は何ていうんだったかな……


そう考え、ハッと思い出すオボロ。

そして、姿の見えないマリンにキリッとした顔で声をかけた。



「……俺を置いて、さっさと行け!!!」



決まった!!!


────────────────────────────────────────





立派な死亡フラグをオボロが建てました。

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