66話 それぞれの目的。
前回の続きです! どうぞ!
見目麗しき女、白く透き通るような肌に白く長いまつ毛。 隙間から覗く目も輪郭まで白く、可愛らしいワンピースのような服を纏っている。
「……すべき場所? ……すべきこと……だと?」
「ええ、そうよ。 さっさと、あの戦闘バカを回収して少し場所を変えましょうか。 」
ユースティティアはそう言うと、アビスが飛ばされた場所に向かう。
すると、黒剣が1本地面に刺さっていた。 それをスっと抜くと、引きずりながら街へ向かおうとする。
だが、その話にマリンが食いつく。
「……戦闘バカ……? ……アビスを知ってるの?」
それに対し、「……アビス?」と不思議そうな顔をするユースティティア。
しかし、すぐになにかに気づく。
「……ああ、そうだったわね。 どうかしら? さぁ、行きましょう。 詳しくは街へ着いたらよ。」
「……ユースティティア。 街でアビスが暴走する……という危険性は無いのか?」
オボロが怪訝そうな顔でそう問いかける。
「長いからティアでいいわよ。 そうね……。 今のところは大丈夫よ。 でも、そんなに長くは持たない。 だから、あまり時間は取れないの、早く来て?」
「……そ、そうか……わかった。」
オボロとマリンは事態をいまいち飲み込めていないものの、ティアについて行くことにした。
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ふかふか……とは言えない、安そうなベッドにティアは腰をかけると、アビスを太ももの上に置く。
「……何よこれ、ちゃんと手入れしてるのかしら……。 お尻が痛くなっちゃうわ。」
マリンは椅子を引き座り、オボロは壁に寄りかかる。
「……まあ、値段が値段だ。 それよりすべきこと、すべき場所とは何のことだ……?」
「……あら、随分単刀直入ね。
でも、まあ時間が無いし私もすぐ話そうと思ってたし丁度いいかな……。」
ティアは「フゥ……。」とため息をつくと、真剣な顔つきになる。
「まずは、初めましてマリンさん。 私の名前はユースティティア。 オボロ君の宝具である白剣に宿る人格。 今は人間に姿を戻しているという状態よ。 まず、ここまでなにか質問は……?」
「……姿を……戻してる?」
「あら、知らなかった? 私達宝具は元人間よ……。 詳しくはまた今度にしておくわ。 とりあえず理解だけはしといて欲しいわね。 他には?」
オボロは知っているのか、何も示さなかった。
すると、マリンが口を開く。
「……アビスのこと知ってるの……?」
「……そうね。 彼とは昔からの付き合いだから……。 それこそ、オボロとリサードが出会うずっと前からね。 宝具同士は基本、保持者によって敵対、共闘などある訳なんだけど、もちろん宝具同士でも関係性がないことはないのよ……? 」
「……ほう。 それは興味深い話だな。」
マリンとティアの話にオボロが少し食いついた。
「ティアさん、はアビスと仲いいの……?」
「……悪くは無い、と信じたいわね……。」
「……………………………。」
そう言うと少し俯くティアに、マリンとオボロは言葉をつまらせる。
どこか儚げな彼女の表情に目が離せなくなっていた。
「……フフッ。 ごめんなさいね。 とりあえず、面識はお互いあるし敵対はしていないのはわかるわ……。」
「…………………………そうか。」
オボロはそれだけ言うと、また壁にもたれかかる。
だが、ティアにはそれが以外だった。
「……気になるんじゃないの……? 」
壁にもたれかかるオボロにそう問いかける。 白剣ユースティティアは正義の剣だ。 言うなれば、アビスとは正反対の剣。
だが、オボロは「ハハハッ。」と笑う。
「……俺はあのアビスという剣がどんなものかは知らないが、お前を信じているし、何よりリサードを信じている。 つまり、あの剣もいい奴に違いないという訳だ……。」
「……あ、あぁ。 そ、そうね。」
自信満々にそう答えるオボロ。ティアはつい目が泳いでしまう。
まあ、彼も根は悪くないし嘘じゃないわよね……。
と自分に言い聞かせ、平静を取り戻すティア。
「……ではここら辺で続けるわ。 恐らく貴方達が気になるのはリサード君の事でしょう。 先程言ったすべき場所ですべきことをすると言うのは彼に関することよ。」
「……リサードに?!」
「……ええ。 だけど、単刀直入に言うわ……。 私は……リサード君はもうこの世にいないと思っている……。」
「……ッッッ!!! どういうこと?!」
「落ち着けマリン……!」
マリンが立ち上がりかけ、オボロが静止させる。
「……ティアも何を根拠に言って……」
オボロはそう言って、背筋に汗が走った。
それを聞いてどうするつもりなのだろうか……。 俺はそれを聞いて納得して前に進めるのか……?
だが、置き去りにしていい話ではない!
オボロもまたマリンを支えながらも覚悟を決める。
「根拠は彼の状態よ。 私達は宝具なの。 一瞬でも対峙すればある程度わかるわ。 ……どす黒い覇気と深い悲しみ。 ただの暴走ならどれだけ良かったでしょうね。 」
「……深い……悲しみ……。」
マリンはそう呟き、腰を下ろす。 オボロはマリンをゆっくりと座らせると、冷静に聞き返す。
「だが、ティア。 お前を信じない訳では無いが、その深い悲しみがリサードがの生死に関わっているのまでわかるのか……?」
「……問題はそこなのよね~。」
「……え?」
「……は?」
思わず聞き返す2人。 さっきまで深刻な話をしていたと思えば……。
いや……でも……
「……さっきリサードは……って……。」
「……そうよ。 ただ、さっきも言った通り私はそうしか考えられない。 彼が誰かに入れ込むなんて珍しいけど、それ以外考えにく……」
「……だが、まだ生きてる可能性はあるのだな……?」
それを聞いて、オボロを真剣な目つきで見つめるティア。
「……ええ。 そこで貴方たちにしてもらいたいことがあるの。」
「……それがさっき言ってた私達のすべきこと……?」
「そうよ。 それに、オボロ……。 貴方の最初の目的もそこにある。」
「まさか……ッッッ!!!」
オボロは壁から離れ取り乱す。
頭を抑え、汗をかき始める。
「大丈夫?! オボロ……?!」
マリンが体を支えると、オボロはゆっくりと答えた。
「理の魔術師……サークルマン……」
「……? サークル……マン……???」
「……そうよ。 この世の理を観測している魔術師。 タブーリストの1人よ。彼の力を使うわ。」
「……なるほどな。 奴は死の理も研究していた。 奴ならば例え離れていても生きているか死んでいるかを観測することが出来る。 」
オボロは息を荒らげながらも顔をあげティアを見る。
マリンは心配そうにオボロを支える。
「……と言うことはまたあの森へ行くのだな。」
「ええ……。 ただ、その前に何か忘れてない? その通り道にある国。」
「……ノクス・ラビリンスか! 」
「そうよ。 リサード君の探しているお姫様はそこで売られていたのでしょう? そこで、情報を集めて、その森へ突入するわ……。」
マリンは話を聞いてはいるものの、あまり理解は出来ていないらしい。
「……何が何だかわからない……けど……。 本当にあの国へ行くの……?」
「……ああ。 だが、情報を集めたらすぐ出る。心配するな、奴らと構えるつもりは無い。」
「……うん。」
すると、突然立ち上がり伸びをするティア。
「……んー。 これで私は役目終わり。 元の姿に戻るわ。 誰が来ても正義を貫くだけよ?」
「……ああ。 ありがとうティア。」
そう言うと目を開けていられないほどの激しい光が放たれ、彼女の姿が消える。
目を開けるとベッドの上に白と黒の剣。
ノクス・ラビリンス。
正式名称、迷宮都市ディスタシア……。
かなりの面積を誇る国で、大きな壁に何段も囲まれた貴族の国。尽きることの無い水と食料、安全と安心に囲まれた国。
だが、その中に住めるのは貴族のみ。
国民といえば……
オボロは拳を握りしめる。
「……必ず戻って、3人で旅をするために……。」
すると、マリンがコツっとオボロの肩を叩く。
「……2人も忘れないでね? 」
そう言って、ベッドの上の2本の剣を見渡す。
「ああ、そうだな。 必ず……5人でな……。」
そう言うと、白い剣を脇にさし黒い剣をインベントリに仕舞うと、2人は宿をあとにした。
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遅くなりました。 朝に寝る生活ですー。




