59話 女王爆誕
前回の続きです!! どうぞ!!
「オボロッッッ!!?」
ダンジョンの壁が崩れ、大きな砂煙がたっている。 マリンはその中で必死にオボロの名前を呼ぶ。
段々と晴れていく視界。
だが、それと同時に膨らむ不安。
「……ア……リ……」
「────────?!」
この声……は……
「……うそ。」
マリンはへたり込む。
……これは悪い夢だ。
オボロが……
失敗した……?
マリンは耳を疑う。 確かにあれは少女の声だった。 依然、オボロの返事はない。
最悪の結末を想像する。
そんな……
涙が溢れはじめるマリン。
「……オ、オボロ……。」
絶対に……助けてみせるって言ったくせにッッッ!!!
マリンは渾身の叫び声をあげる。
────────────。
「ッ! オボロのバカーーーーーーッッッ!!!」
「……ん?」
涙が止まらない。 私を仲間だと言ってくれた大切な人……。
嘘だ……。 こんなの嘘だよ……。
視界は歪み、思わず幻聴のようなものまで聞こえ……
聞こえ……
え……?!
マリンはゆっくりと足を出す。
「オボロ?! 生きてたの?!」
「勝手に殺すな……。」
瓦礫や岩がバラっと退かされ、黒い影が現れる。
「……そんな大声で呼ばなくても聞こえてる。 マリンは全く……」
全力疾走。
「うおッッッ……!!!」
腹部に大きな衝撃。 そして、────────
「……バカ! バカバカ!! 心配かけてぇーーーー!!!」
マリンはオボロの胸に飛び込み、泣きじゃくる。
「……ッッッ。 おいおい、少女の次は大きなお嬢さんかよ。」
「ホントにバカ!!! もぉーーー!!!!」
「すまなかった。 ありがとう。」
頭を撫でられ子供のように扱われるが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
それよりも、大きな安堵と優しさが勝った。
「……ひぐっ。 ……体は大丈夫?」
すると、隣からすぅすぅと寝息が聞こえてくるのに気がついた。
「ああ、問題ない。 ……少女も無事だ。」
「……そう。……よかった。」
マリンは全身から力が抜ける。
「……おい、どうかしたか……?」
「……ううん。 何でもない。」
「そうか……。」
「うん……。」
静かな時間が流れる。
「……まだ全部終わったわけじゃない。 魔獣が出てくるかもしれないぞ。」
「うん。 わかってる……。 あと少しだけ……」
「……フン。」
「ふふふ。 耳真っ赤……。」
強がってはいるが耳が茹で上がっているのが目に入る。
「……う、うるさいな。 そろそろ退いてくれ。」
「まだダメー!!」
甘いひととき。 まるで、恋人同士のようなやり取りで微笑ましさを感じる。
こんな時が続けばいい……。
だが、そんな甘いひとときも長くは続かないことはわかっていた。
遠くから振動が届く。
「……ん?!」
オボロが顔をしかめる。
「……地震……?」
マリンもそう呟き、オボロもまた呟く。
「……地震だな……。」
もう1つ振動が起こる。 岩が転がり落ちる音、崩れ落ちる音が響く。
「……揺れ強くなってきてるよ?! 地上で大きな地震が起きてるんじゃない?!」
「……それは無いな。 地上とダンジョンは別物だ。 外部からダンジョンに影響を与えるなんてこと……」
オボロはそう言ったところで、なにかに気づく。
「マリン!! 少女と一緒に俺の近くに来い!!!」
「え?! オボロ?!」
「いいから早く!!!」
オボロはそう言い、返事を待たずに残っている魔力を絞る。
────────無系魔法
「……マジック・ウォール!」
魔力で作り上げた透明な壁が出来上がる。
透明な壁に手を押し当て、魔力を流し込む。
────────闇系魔唱
「闇霧ッッッ!!!」
〈マジック・ウォール〉は白い霧のように拡散し、3人を包むこんだ。
その瞬間────────
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!
「キャーーーッッッ!!!」
ダンジョンの崩壊。
大きな落石が頭上に落ちてくる。 壁は崩れ落ち、砂煙と轟音が混ざり合う。
オボロは魔力を絞りきる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォッッッ!!!」
マリンは少女を必死に抱きしめ、目をつぶる。
その光景は一瞬。 だが、長く起きた事象のことようにも思えた。
────────────────。
マリンが目をつぶり、何分ぐらいたっただろうか。
地震が完全にやみ、音も消える。
体に変化はない。 落石なども落ちてきていない、少女も自分も傷などは無い。
助かった……
マリンは目をゆっくり開ける。
すると、────────
「……ッッッッッッ!!!」
別世界。
壁はすべて崩れ落ち、天井は消え強い光が差している。
そして、────────
「……オボロッッッ!!!」
両手を広げ、魔力を〈マジック・ウォール〉に供給し続けていたオボロ。 心無しか更に、傷が増えているように見える。
マリンがそう呼びかけると、ゆっくり顔をあげる。
「……何とか。 間に合ったか……。」
「……オボロッッッ?!」
フラッと揺れるオボロを支える。
「待ってて! 今魔力を分けてあげるから……」
「いや……大丈夫だ。 お前がとってけ。」
「はぁ?! 大丈夫なわけないじゃん! とりあえず少しは……」
マリンがそう言いかけた瞬間の出来事だった。
オボロが何かを警戒しているのがわかった。
そして、それはマリンもすぐに気づいた。
血の香り……。
そして、冷ややかな空気が鼻をかすめた。
「……とりあえず? ……何じゃ?」
そこには、恐れていた姿があった。
「お、お姉……」
ダンジョンの壁が崩壊。 つまり、それはこういうことも意味していた。
全ての空間が1つにまとまる。
オボロも視線を外さない。
「……ダンジョン崩壊なんて、面白い芸当じゃ。 ……貴様かオボロ?」
「……フン。」
2人は見合い、張り詰めた緊張感を漂わせている。
マリンは固まっていた。
が────────────。
マリンが固まっていた理由は緊張感のせいではなかった。
「リサー……ド……。」
冷ややかな風を感じるより先に、鼻をかすめた血の匂い……
「……何じゃ? この男がどうかしたのか?」
そこには、吊るされたリサードの姿があった。
氷で出来た大きな手が地中から伸びだし、リサードの足を鷲掴みにしている。
血がたれ、もう意識は無かった。
「なかなかのものだったがの。 ……だが、それだけじゃ。 それだけでは、私には……」
「……離して。」
「……?」
マリンは怒りに震える。
かつて無い怒り。 血が沸き上がり、頭をクラクラと惑わせる。
しかし、頭ははっきりとミラを見据えていた。
「……私は弱い。 仲間に助けられて生きてきた。 きっと、今までの私ならオボロに全ての魔力を渡して、あなたを倒してとお願いしていたはずだわ……。 そうでしょ……? オボロ……。」
マリンがそう言うと、オボロは一言で答えた。
「……ああ。」
「……ほう? 面白いことを言うな。 我が妹は馬鹿に誑かされて、頭を強くうったらしい。」
ミラはそう言って、右手を鳴らし氷を消した。
リサードが崩れ落ちる。
「……オボロ。 私が彼女を引きつける。 ……リサードをお願い。 必ず助けて……。」
「……承知した。 必ず助けよう。」
「……何が引きつけるだ?」
ミラが氷の槍をオボロに向け放つ。
だが、オボロは避け無かった。
────────────。
「……何?」
「…………………………。」
瞬間の出来事だった。
氷の槍に氷の矢が刺さり、すべて破壊されていたのだ。
驚きを隠せないミラ。
そして、それは氷の槍が壊されていただけではない。
ミラの周りには氷の防御壁。
オートでミラを守る魔法が発動していた。 そこにも無数の氷の矢が刺さっている。
防いで見せたものの、気を抜いたいたら当たっていたであろうとミラに思わせる程の反撃まで来ていた。
「……後は頼んだ。 マリン……。」
「……ええ。」
マリンはかつて無いほど、冷たい言葉遣いでこう言い放つ。
「お姉ちゃん……。 いや……ミラ。 貴方の相手は私だと言ったはずよ?」
ククククククッッッ!!!
ミラの頭に血管が浮かび上がる。
妹よ……。 貴様……。
「……さすが私の妹だ。 ……しかし、お前は水の魔法だったはずだがな? この氷の矢は一体なんだ……?」
ミラは歩き出しながらそう問いかける。
マリンもそれに合わせ、歩き出した。
「……私は貴方の妹よ……? そんなことも聞かないとわからなくなってしまったの?」
表情を変えず、マリンはそう応える。
空気が一気に張り詰める。
「……フフ。 余計な質問だったの。」
「……ええ、行くわよミラ。」
────────氷系魔法
────────氷系魔法
小手調べにはあまりに大きな力の衝突────────
「「アイス・ボムッッッ!!!」」
こうして、命運をかけた姉妹の激闘が幕を開けた。
氷の女王ミラと打ち合う、マリンの姿は新たな女王の誕生を思わせた……
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WORSTが読み始めたら止まらなくて……
でも、毎週更新も止められません!!笑笑
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