55話 白剣ユースティティア
すごく更新遅れました! ごめんなさい!前回の続きですどうぞ!!!
リサードは3つの抜け道を交互に見つめていた。
この気配……。 こっちに向けたものか……?
リサードは注意深く、観察する。 感覚をこの部屋の中から、この部屋の外へ。
何かがいる……。 だけど、どこにいる……。
だが、不思議と徐々にその気配は小さくなっていく。
どんどん、最初の平和な空気が戻ってくるばかりだ。
「何だったんだ……今のは……。」
そう言って、剣から手を離す。
すると、リサードの様子を心配したのか、オボロとマリンがかなり近づいていた。
リサードは、少し驚くものの笑って見せた。
「何か……急に不安になってさ。 ハハッ……。 魔獣が近くにいるからかな……。」
リサードが頭を掻きながらそう説明する。
すると、不意にマリンがハンカチを渡してくる。
「……?」
リサードがわからずにいると、
「汗が酷いよ……。 それに、目も。」
「え……?」
リサードがそう言って、目を触る。
これは……
涙……?
「……気のせいでもいいから、話した方がいいよ。」
「…………………………………。」
マリンとオボロがリサードを見つめる。
「気のせいでもいい……。 何があった……。」
オボロも心配そうにリサードに目を配る。
そうだな……
リサードは無理やり笑っていたのをやめ、答えた。
「……とてつもなく嫌な予感がする……としか言いようがない……」
リサードがそう呟く。
「……それは、敵意のようなものか?……それとも、トラップのようなものか?」
オボロがリサードにそう呼びかける。
「いや、これは敵意だと思う。 ……けど少し違うんだ。」
「違う……?」
オボロとマリンが首を傾げる。
「ああ、とてつもない敵意。 だけど、俺らに向けられたものでは無い感じ……。」
まるで
「まるで、大きな力同士が本気でぶつかるような……」
その時だった────────────
「ゴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うおおおおおッッッ!!!」
「クッッッッ……!!!」
「キャアぁぁぁぁッッッ!!!」
ビリビリッッッ────────
音が衝撃となり、ダンジョン全体を揺らした。
上から砂がパラパラと落ちるほど、地面も揺れ魔獣たちが呻き出す。
「……何が起きてるリサード!!」
オボロは体制を保ちながら、リサードに呼びかける。
「……左だ。」
「……?」
リサードの呟きにオボロは黙って耳をすませる。
リサードは体制を低くし、鞘に手を起きながらじっとその方角を見つめる。
「……左側の通路。 大きな魔獣と人型の何かが戦ってる。 力は魔獣の方が上みたいだが……」
「人型……だと?」
「人型の奴、本当に人間か……? 何ていうか気配が変だ……」
「人なら助けなければな……。」
オボロがそうつぶやく。
だが、あれは……人というより……
ロボットと言った方が近い……
リサードはそう言って、じっと感覚を研ぎ澄ませる。
今しかない───────!!!
「どうしたリサード!?」
「……走れ!!!」
「ちょっと待って?! どういうこと?」
「話は後だ!!!」
リサードは左の通路を捨て、真中と右を見渡す。
「こっちが得策か……!」
「ちょっと待ってよリサード! 戦っている人を見放すの?!」
そう言うマリン。
だが、リサードは迷いもなく、走り出すと右のルートを選択する。
「ごめん! 何ていうか、魔獣と戦っているのは人じゃない気がするんだ!」
そう言って走り出そうとした時だった。
オボロが止まっていた。
「……オボロ……?」
「置いて行くのか……?」
リサードは溜息をつく。
「あれは多分人じゃない! 気配が薄すぎ……」
「もし、人だった場合どうするんだ???」
「………………ッッッ!!!」
オボロはくるっと回り、道を戻り始める。
「俺はこっちから行く。」
「……考え直せ、絶対に罠だ!」
「でも、本当に困っている人かも知れん。」
「あれは明らかに怪しすぎる。 気配でだいたい分かる。」
そう言って、オボロの肩に手を置くが……オボロに払われる。
「俺は変える気は無い。 お前がそっちから行くならここまでだ……」
素っ気ない態度で行こうとするオボロ。
「オボロ、お前少しは俺を信じろよ……!!」
「…………………………………。」
リサードが肩を掴んで胸ぐらをつかむ。 オボロは無口のままそれに逆らわない。
すると、────────────
チャキ……
「は……?」
「オボロッッッ!!!」
マリンがそう叫ぶ。
だが、オボロが剣に手を乗せ、リサードを睨みつける。
「……何だそれ。仲間割れでもすんのか??」
「だったら、どうする……?」
静かな声でオボロがそうつぶやく。
「これが俺の正義だ。 それに、俺に勝てると思うのか?」
リサードの頭に血が上る。
「この野郎ッッッ!!!」
「2人ともやめて!!!」
マリンの声も虚しく、リサードは拳を作り近づく。
が、────────────
「グッ…………ッッッ!!!」
背筋にひんやりとした感覚が走る。 白く美しい刃が首に向いていた。
「キャッッッ!!!」
マリンがしゃがみ込む。
「本気なんだなお前……。」
「ああ…………。」
「……やめて……もう……争わないでよ……。」
マリンが顔を抑え、膝から崩れ落ちる。
「仲間のこと切れるのかよ。」
「……じゃあ、仲間ごっこもこれで終わりだ……。」
リサードの目が大きく開かれる。
だが、リサードは冷静だった。
「…………勝手にしろよ。」
リサードは後ろに下がると、後ろを向いて歩き出す。
そして、等々消えてしまった。
「……………………………。」
オボロは件を突きつけたポーズのまま、しばらくその様子を見つめていた。
すると、────────────
パチンッッ────────
「グッ……ッッッ!!!」
強烈な平手打ち。
「バカッッッ!!!」
「────────?!」
一瞬ひるむが立ち直すオボロ。
そこには、涙を流しながらも凛とした目で立つマリンがいた。
「あなたの人を助ける正義は素晴らしいよ!!! でも!!! 仲間に剣を向けたことを……私は絶対許さない!!!」
「………………ッッッ。」
肩で息をしながらも、そう言い切るマリン。
「例え、その剣が悪者しか切れない剣でも!!! 向けるなんてのは最低な行為だよ!!!」
「知ってたのか……!」
「……有名だもん。 タブーリスト、オボロの帯刀ユースティティア。」
「……………そうか。」
オボロは白く光る剣を見る。
白太刀【ユースティティア】。
それがこの剣の名前だ。
白く光る剣で、持ち手から刃先までが全て白く輝いている。脈動のように白い光が流れている。
この剣の特徴は2つ。
正義を持たないと、保持できないこと。
この剣は、心の清きものにしかもつことが出来ないとされている。 しかし、心の清さは何で決められるのか……。
そう、それは罪の数なのだ。 人を殺した数、食物連鎖を抜けた殺傷、道理を抜けた行為などが罪となり蓄積されている。 そして、その罪を背負っているものにこの剣は持つことが出来ないということ。
そして、2つめ。
悪しか切れないという事だ。
この剣を所持する者の強さとは別物に、剣自体の強さが変わる。
例えば、純粋無垢な子供を切りつけたところで、その子供には傷一つ付かず、むしろ持ち手がその行為から拒否反応が出され苦痛を伴う。
しかし、これが悪になれば別だ。
罪を背負いし者であれば、この剣は切れ味と威力を持つ。 更に、これだけでは無く悪であればあるほど強くなるということだ。
極悪人と悪人が居たとして、悪人は力を入れないと切れないが、極悪人になると少しの力で切れる。 斬るための力も、罪の重さによって変わってくるのだ。
極悪人よりも上に行くと、例え刃を付けなくても切ることが出来てしまう程だ。
だが、そこまでの悪者に出会ったことは無い。
ましてや、リサードに限ってそんなことをする奴じゃない。
だから、リサードのことを斬るつもりで向けたのでは無く、牽制でしか無かった。
でも、マリンの言う通りだ。 あれは良くなかった。
「すまなかった。 頭が冷えた。」
頭を下げるオボロ。 マリンも落ち着きを取り戻していた。
「それを言う相手は私じゃないでしょ?」
オボロは「そうだったな……。」と頭をあげる。
「……で、結局助けに行くの?」
「ああ、それが俺の正義だからな。」
「わかった。 けど、後で絶対謝りに行くからね!」
「俺についてきてくれるのか……?」
オボロがそう言うと、マリンの顔が茹で上がる。
「べ、別にあんたのためじゃないんだから!!」
「……ありがとう。」
マリンは
オボロは頭を抑え、勢いでひどいことを言ってしまったことを悔やんでいた。
だが、ずっとこうしてもいられない。
リサードの言っていた、人型の気配と言うものを確認してこなければ……
そう言って、剣をしまおうとした時だった。
「……………………ッッッッッッ!!!!」
オボロはとんでもないものに気づいてしまった。
「……どうしたの?」
固まっているオボロの目線の先をのぞき込むマリン。
「え……?」
マリンも声を失う。
「これって……」
2人の目線の先にあったのは、リサードに突きつけていた''刃の先''だった。
突きつけただけでリサードには触れていない。
しかし、────────
「血が……付いている……。」
オボロはリサードに突きつけはしたが、当てていない。
この白剣で切れるわけが……
そして、オボロは自分で自分の言葉を疑った。
極悪人よりも上に行くと、刃を付けなくても切ることが出来るということ事実……
「……リサード。 ……お前……。」
オボロは立ち尽くすことしか出来なかった。
────────────────────────────────────────────────Next➥
誠に申し訳ございませんでした!!!




