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44話 奇妙な2人とイカ焼き


前回、リサードが船でデインコイドを出発したところからの続きです。







「ここまでありがとうございました。 」



「………………………………………。」



リサードがそう言うと、男は黙ったまま頷き、そのまま船に戻っていく。

次第にどんどん離れていく船をリサードは見てから、歩き出した。



結局あの人は1度も話さなかったな……



船を動かす航海士とリサード2人だけ。

それに対し、船の大きさは豪華客船のような大きさだった。

船の中で気まずくなることは無かったが、最後の最後まで何も喋ることは無かった。

まあ、ここまで安全に運んでもらえたのだ、文句などさらさらない。



「さぁーて……ここはどこだ?」



港に降ろしてもらったのはいいが、ミューハーフェン大陸ということしかわからない。

それに、リサードの想像していた港とは大きく違った。

言ってしまえば船の墓場。 壊れた船が岸まで乗り上げており、ボロボロの木の橋が一つ出ているだけだ。



「何か華々しいのを想像してたからなぁ……」



そう周りを見渡している時だった────────



「おい、お前。 ここは俺様の敷地って習わなかったか?」



「ん……?」



奇妙な男が2人。こちらに向かってくる。

1人は180くらいだろうか。大柄でヒゲを生やし、クルッとした前髪を生やしている。

もう1人は150あるかないかというほど小柄で、ニヤニヤとした顔つき。

大柄の男の方は何故か似合わない真っ黒な服に、ボロボロの黒のコートを羽織っており、小柄の方は子汚い海賊のような服装をしている。

そして、どちらにも共通して言えるのは……顔がウザイという事だ。



「ここは俺たちの縄張りなのさ……。 知ってか知らずかは知らんが、乗り込んできやがるとはいい度胸だ。」



「誰だアンタ……」



すると、もう片方のニヤけた小さい男がしゃしゃり出る。



「へへっ! 聞いて驚け、この方はなぁ……? 大陸中を恐怖に震え上がらせ、殺した人間は星の数。 様々な国からその命を狙われるも、ことごとくねじ伏せる! そう!この方は……!

SS級指名手配犯! 悪魔の使いと恐れらるあの懸賞3億エンドの……えーっと、オ……オンボロ?様だぞ! 命が惜しければ金を置いてとっとと帰れ!」



悪魔の使い……? オンボロ……?



すると、大男の方が声を荒らげ慌てる。



「馬鹿野郎! オボロだ! 服を見ろ!!!」



「す、すいませんウイング兄貴!!」



「バ、バカヤロウ、名前を呼ぶな! 俺はオボロって言ってんだろ!」



そう言って、ポカッと頭を殴るウイング。



おいおい、打ち合わせは俺のいないところでやっとけよ……。

てか、こんな変なヤツらと絡んでる暇ないんだよな……。

ここは低姿勢で行くか……



「すまん、ウイングさん。 先を急ぎますのでー……」



そう言ってそそくさと逃げようとするリサード。



「お、おう。 ……じゃねぇ! 俺はオボロって言ってんだろ!」



「そうだ! ウイング兄貴がオボロつったらオボロ何でい!」



「お前は余計な事言わんでいいマルコ!!」



「へ、へい! 兄貴!」



バカやってる内に、ここから出ないと……



「ちょ、ちょーっと待った兄ちゃん!? まだ話は終わってねぇーゼェ?」



ウイングがリサードの前を通せんぼする。



「おいおい、勘弁してくれよ。俺ここ来たばっかで……」



そう言って横をすり抜けようとするリサード。

すると、────



「チィ!! こうなったら容赦しねぇ! 力づくでぇーー……」



そう言って、パンチを放つウイング。

だが、────────



バキッッ────────



あっさりカウンターを決められるウイング。



「え……?」



「い、痛ぇーーーーーー!!!」



「テメェーーー兄貴になんてことしやがるぅ!!!」



よ、弱いにもほどがあるぞ……



「た、確かに効いたぜコノヤロウ……」



頬をスリスリしながらヨロヨロと立ち上がるウイング。



「マグレがチョーシにのるんじゃねぇぞーー!」



そう言ってマルコが突進するが、



「……っよっと!」



「うわあ!!!」



リサードに避けられ、そのまま木材に突進をかます。



「コ、コノヤロウ……っ。 マルコにまで手を出しやがってぇ……。」



「いやいや、さっきのは俺何もして……」



「だけど、兄貴! このシロアリ野郎強いよ!」



「……誰がシロアリだ!!」



「一体どうしたら……」



ウイングが「うーん……」と頭を悩ませる。

すると、何かを閃いたようにポンと手を叩く。



「マルコ! さっき拾ったあれ持ってるか?!」



「え……??? あ!そうか! さすが兄貴!」



「……次は何だよぉ……。」



見ているリサードの方が頭が痛くなってきた。

そして、マルコがウイングにアイテムを渡す。



「へっへっへ。 さっき怪しい男が持っていたこの召喚石があれば、貴様なんぞチョチョイのチョイだ!」



「……召喚石??」



何かを召喚するってことか……?



「いけぇーー!! ウイング兄貴ぃ!!」



「おうよ!マルコ!」



「オボロじゃなかったのか……?」



もうすっかり最初の設定を忘れていたウイングだったが、リサードの言葉など気にもせず召喚石を弄る。



「いでよ! 我が下僕!! あのシロアリ頭を蹴散らせぇーーー!!!」




「………………………………………………。」




────────ザザーっ




波の音がひびきわたる。



どうやら普通に失敗したようだ。



「あれ? おっかしーなぁ。 」



「不良品じゃねっすか兄貴!」



「チッ! そうみてぇだな! こんなもの!!!」



そう言って、召喚石を海に投げ捨てるウイング。



「いいのか……? あれが最後の切り札じゃなかったのかよ?」



「う、うるせーシロアリ! あんなモンなくたってこの俺様の恐ろしさを教えてやる!!」



「はぁ……。」



その時だった────────



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!



突然の地鳴り。



「な、何だ? 何しやがったテメェーーー!!!」



「いやいや、どう考えても違うだろ! それより、なんだこの地鳴り……」



「兄貴!!! オイラ怖いよぉ〜!!!」



普通の地震じゃないみたいだな。 魔力では無い見たいだが、まるで巨大な何かが動いているような地鳴り……



「大丈夫だマルコ!! 俺様が守ってやるからなぁ?!」



この地鳴り……海の方か?



「さすが兄貴ィ!!!」



ホントうるせぇなコイツら……



「お前ら静かに……」



その時だった────────────



巨大な触手がマルコを捉える。



「うげぇッッッ!!!」



「マルコ!!!」



その触手の先を見るリサード。

すると、────────



「……な、なんだコイツは?」



「ヒ、ヒェ……ッッ。 ク……クラーケンだぁあ……!!!」



へたり込むウイング。



「クラーケン……?」



「海の魔獣さ……。 海の魔獣は陸の魔獣の比じゃねぇ……。 さっきの召喚石はコイツを呼び出すものだったってわけだぁ……。 おしまいだ俺たち……」



そう言って、ガタガタと震え頭を抑えるウイング。



「……しょーがねぇ。」



リサードは黒剣を抜く。



目の前で死なれるのは例えコイツらでも、胸糞が悪い!!!



「……今回だけだからな!」



────────光系魔法



「エンチャント・フラッシュ!」



アビスに光が流れ、黒剣にが黒く光る。



ココでこいつだ……!!!



剣に光を凝縮させたかと思うとそのままアビスを腰の鞘に一度しまう。

そして、────────



「三式〈刹那〉!!!」



恐ろしく洗練された居合切り。

地面は揺れ、周りにあった木材は、リサードの居合切りの反動で宙にばらまかれる。



「こ、この男……」



バカつえぇ……



ウイングは目を疑うが、紛れもないその力に呆然としていた。



そして、光系魔法が乗った恐ろしい斬撃がクラーケンへ放たれる。



「スオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!」



クラーケンの足を3本切り、更にクラーケンの頭を掠める。

マルコを掴んでいた触手は海に落ちる。



「うわああああ!!! 兄貴ィーーーーーーーー!!!」



マ……マルコ……。



チッ……チクショーーー!!!



ウイングは覚悟を決める。



「行くぞマルコォォォォォーーーーーーーーー!!!」



海に飛び込み、クロールで追いかけるウイング。

だが、その勇気ある行為はリサードの手順を狂わせた。



「待て! ウイング!!!」



怒りに狂ったクラーケンは、マルコに見向きもせず、リサードに狙いをつけている。

しかし、ウイングとリサードのいた場所は近い。 クラーケンの攻撃の直線上だ。



「……クソッッッ。 」



ここで攻撃をすれば、更に海が荒れる。

そうすれば、マルコは助からない……

しかし、攻撃をしなければウイングが……



「こうなりゃしかたねぇだろ!!!」



────────無系魔法



「……プロテクション!!!」



空中で奴の攻撃を受けきる!!!



「うおおおおおらああああッッッッッッ!!!!!」



止まれえええ!!!



「スオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!」



しなりを効かせたリサードの10倍……いや、それ以上ある本命の触手がリサードを空中で捉える。



「ぐおおッッッッッッ……」



メキメキッとリサードの体は唸りをあげ、陸地に叩きつけられる。

だが、触手はリサードを上空で捉え、威力をすべてリサードに撃ち込んだ。

そのため、何とか触手はそのまま上空に留まった。



「マルコォォォォォーーーーーーーーー!!!」



ウイングがマルコを救出し、何とか泳いで離れていくのが見える。



「何とか……ゲホッ……成功したか……」



だが、思った以上に攻撃が重い。 これ以上くらえば普通にダウンする……

その時だった────────



「は……?」



大きな影。



「マジかよ……」



触手は一打ではなかった。



「スオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!」



大振りの連打。 しかし、リサード は避けられずそれをくらう。



「おいシロアリーーーーーーーーーッッッ!!!」



港が崩壊するほどのクラーケンの大振りの連打。

地面の基盤は凹み、リサードの姿がどんどん地底へと向かっていく。

薄れゆく意識の中で、ウイングの叫びが聞こえたが、逃げきれただろうか。



リサードはもう視界は真っ暗なところまで来ていた。



上陸して、すぐこれかよ……



ふざけ……んな……よ……



血が沸沸と騒ぐ。



ヒュド……ラ……



リサードの身体が異変を起こそうとした瞬間だった。



────────────。



光のように速く、闇のように染み込む斬撃。



リサードが恐る恐る目を開けると、クラーケンの身体がバラバラに切り裂かれていた。



「な…………………。」



港の船の瓦礫が山のように積んであるその上に人影。



座り込み何やら手に大きな……



光になれない目をよく凝らす。



あれは……



イカ焼き?!






【「丁度いい所に、大きなゲソが来てた……。 今日はツイてるな……。」】






黒いツンツン頭に、黒いコートを着た男。 左手には白い(つるぎ)

全身が黒のため、その剣は余計に目立った。

背格好や服装、それにクラーケンを一瞬で倒す姿に黒魔剣士と言う言葉が実に似合う……。

よく見ると、ウイングと似た服装をしているがこちらは完璧に着こなしている。

その男にリサードは目を奪われていた。



「何者だ……アイツ……」



だが、意識は朦朧と保っていられない。

ヒュドラの血が騒ぎ、鎮静したためにどっと疲れと安心感が襲った。



何にせよ……



「助かったのか……俺は……。」



そう言って、リサードの意識は途切れた。



────────────────────────────────────────────




浅草でおみくじを引いたら大吉でした! なんでこの時期に引いたのかは自分でも不明ですが、良い結果が見れて幸せな1日でした。

小説の方も遊んだりバイトしたり勉強したりしながら、たくさんの事を取り入れていけたらいいなと思います。


では、この辺で終わりにしようと思います。

良かったら感想やブックマークお願いします!

ありがとうございました!

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