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27話 2人の乙女は……

遅くなりましたが更新することができました!前回の続きですが、今回はシルビアとクロエがメインです!したからどうぞ!



「えーっと!えーっと!……」


キラの部屋に2人で、肩を貸し合いながら入ると、シルビアは部屋中の引き出しという引き出しを開け、物を投げるように出しては次の引き出しへといった感じだ。

探しても探しても薬や包帯などが出てこない。


「なんでなのーーーっ!!」


キラの部屋は意外と綺麗に掃除されており、生活感はあまり感じられなかったということくらいだ。それなのに、自分の要領の悪さに嫌気がさしてくる。


「あの……魔法使いさん……。」


ボロボロの女がベッドに仰向けに寝ながら、弱々しくそう声をかける。


「シルビアでいいよっ!! ゴメン遅くて……どうかしたっ?!」


「……あ、シルビアさん……魔力回復薬……ありませんか?」


「魔力回復薬……? そりゃ、一応持ってるよ……?」


不思議そうにそう答えるシルビア。人間は魔力が完璧に尽きれば後は動けず、自然治癒も無くなり、死に絶えるのを待つ事になる。一応、そういう時のために持ってはいるのだが、魔力を無理やり増やす薬など、体にかかる負担を考えれば猛毒と大差ない。激痛が走り、脳が覚醒状態に陥って、麻薬と何ら変わらない程、体に負担をかける。


「後で必ず返します……今あるだけ貰えないですか……? 」


「……3本あるけど……飲む気……だよね……?」


「……はい。」


弱々しくも、ハッキリと女は返事をした。

しかし、シルビアは苦い顔で答える。


「飲むってわかっててあげられないよ。 そもそも戦場とかじゃないと違法だし。それに、あなたの体がもたない……。絶対に薬と包帯で直した方がいいよ。魔力が回復したからってあなたの傷が塞がるわけじゃ……」


「お願いします……。」


だが、シルビアも責め立てる。


「この国の決まり事だもの。 一応私王国騎士団の同盟だから、破ると色々とめんどくさいんだよねっ。 まあ、それじゃなくても体の負担を考えたら……」


「決まりごとを無効にできればいいんですね……?」


シルビアを不意に遮り、女はそう言い、ふらふらながらも壁に手を当て立ち上がる。

そして、先ほどの弱々しい声とは違い、凛々しい声で話しはじめる。


「ハースハイト王国……第六王女クロエ・ユーフェミアが命じ、そして願います……今すぐそれを渡してください……」


「────?!」


王女……?!


「魔力回復薬の服用を私が許可し、認可します……。 私の体のことに心を痛めることは不要です。

私は……生贄姫。 この命そう長くありません」


「…………………でも、……。」


シルビアは息が詰まる。そんなシルビアを、荒い呼吸を抑えながら見つめるボロボロのクロエ。シルビアにはクロエが嘘を言っている様には見えなかった。

なぜ、王女様がここに? ボロボロになっているのは? など、疑問だらけだったが、彼女の気迫は先ほどとは打って変わって王女の風格を表した。


「でも、後悔などありません。ある方に出会い、命を助けられ思ったのです。私の命は私だけのものでは無い……私の命は国民のためにあるのだと……。 ……私は……」


「………………………ッッ。」


クロエの瞳に涙が浮かぶ。


「……命の恩人を今、危機に晒しています。 私はその方を助けたい……。こんな私に……勇気と人生の楽しさをくれたから……。だから、私は生贄の覚悟ができた……。」


「…………………………。」


クロエ・ユーフェミア……


あの誘拐された姫……



「なるほど……。」



恐らくこの人の言っている命の恩人は誘拐犯とされているリサードのことだろう……。



だんだん話がつながってくる。



そっか……。だから、リサードはクロエさんを助けるために……。


そして、またクロエさんもリサードを助けるためにこんなボロボロに……


「渡してもらえませんか……? シルビアさん。」


優しくそう手を伸ばすクロエ。シルビアは黙ったまま、目の前まで近づくが、────


シルビアは頭を縦には振らなかった。


「………………やだ。」


驚きを隠せないクロエ。


「何で…………………?」


バッと膝をつき、頭を下げ忠誠のポーズをとり、ハッキリとした声で答える。


「ハースハイト同盟所属、イレブンノート11支部支部長シルビア・アンネト。その願いはいくら王女と言えど受け兼ねますっ。クロエ様はまだ安静にすればお体には触りませんっ。 しかし、この薬は劇薬で、死ぬ可能性も少なくありませんっ……」


シルビアは正式な形を取り、クロエの命を、断った。


「……それでも……お願いします…………」


シルビアは下を向いたままだ。


「……出来ませんっ……。」


倒れそうになるクロエだが、腕に力を入れ、壁にもたれながら体制を維持する。


せっかくここまで来たのに私はまた………


あの後、私はリサードさんが処刑されることを聞いた。


そして、ゼーノスと交渉を繰り返した。


私が生贄になる代わりに、彼の命を助けて欲しいと……


しかし、結果はこのざま。キレたゼーノスに殴られ蹴られ地下に監禁。何とか抜け出して、またゼーノスに会って……


どうせ死ぬのなら、今度は最後まで抗いたい。 女王だとか、生贄だとかどうでもいい……


彼を助けられないのなら………


彼女は思ってしまった。


そして、言ってはならない言葉を口にする。






【「王女になんか生まれなければよかった……」】







「…………………………………。」


私はこの国の王女失格だ……。


「すいません。こんな卑屈なことを言って……。 あなたに責任はありません。助けてくれてありがとう。 でも、もう大丈夫よ。」


そう言い、部屋を出ようとした時ビンが擦れ合うような音がし、振り返るクロエ。


「私の立場上それはできません。 しかし、」


そう言って、姿勢を崩したかと思うと立ち上がる。


「七星剣の4柱、リサード・ブルオストの一友人……シルビア・アンネトとして……。

あなたの……クロエ・ユーフェミアの願いを聞いてあげる。 リサには借りがあるし、それに……」


「彼の守ろうとしたものを……私も守りたい。」


「シルビアさん……………」


涙がこぼれ落ちるクロエ。

ぶかぶかの帽子をさらに深く被り、クロエに透明な瓶を2つ渡す。


「1つは私も使うっ……。ただ、これだけは言わせて……」


魔力回復薬をクロエに渡し、そのまま手を握りながら話す。


「死んだりしたら……絶対許さないから……」


そう言って手を離し、後ろを向くシルビア。


ありがとうございます……シルビアさん……


「はいっ!!」


そう返事をするクロエ。


「具体的には魔力を回復してどうするのっ?」


「私が回復魔法を自分にかけて体を治癒するだけですよ?」


それを聞いて驚愕するシルビア。


「回復魔法使えるの?! しかも、自分にって相当難しいらしいじゃんっ!」


「あ、……でも、コツを掴めばそんなに難しくないので、大丈夫ですよ。」


回復魔法ってかなりレアなんだよね……

それに、自分にかけるのはサラさんも難しいって言ってたんだけどなぁ……


「……なんか、王女様って本当に凄いんだね……」


ぼそっと呟くシルビア。


「ん? なんて言ったんですか?」


「え? いやいや、こっちの話だよっ。」


負けてられないとばかりに気を引き締める。


「では、行きますね。」


クロエは透明な瓶を開けると、透明な液体を喉に流し込む。


「んッッ……………」


喉が焼けるように熱を持ち、胃にへと向かう。通ったところが酸のように胸を焦がすがそれでも全てを飲み干す。


焼けるような熱が喉から胃へ、胃から身体へと移る。


────無系魔法


シルビアが呪文を唱える。


「マインドカバーっっ!!」


白い光が足元から包み、クロエを落ち着かせる。

痛みが引く訳では無い……。しかし、その白い光はクロエの動揺を抑えた。


シルビアさん……


目を閉じ感謝を込めるクロエ。


……王女としても、クロエ・ユーフェミアとしても感謝します……


────回復魔法


「オーバー・ハート……」


白い光の上から優しくも凛とした緑の光が湧き上がり、クロエの髪を揺らす。

彼女の体からみるみる傷が消えていく。そればかりか、近くにシルビアまで体の調子が良くなってくるようだ。


こんな大きな魔法を使えるなんて、どんな魔力量してるんだろ……


シルビアはそう思っていると、壁に寄りかかっていた体は二本足できちんと立ち、傷だらけの体は美しい白の肌をのぞかせる。美しく整った顔がセミロング程の黒髪から覗く。


「ありがとうございます。」


彼女がそう言うと同時に光は消えた。

正直鼻血の後や、腫れた顔でよく分からなかったが、やはり王女だ……。作り物のような美しい顔にシルビア少し見とれていた。


こんな美しい人をあそこまで殴る……?


そう考えるとブルッと身震いがした。女も男も関係ない。純粋な暴力、そしてこれに殺意がのっていたら……


シルビアも戦闘職だ。 心構えだって出来ている。

今まで魔獣と戦ってきた時だってそうだった。

仲間が死ぬかもしれないし、自分も本気でやらなければ死んでしまう……


なのに…………


クロエに暴力をした人間の悪意、残酷さに背すじに汗が流れた。


「シルビアさん……?」


「うひゃい……?!」


突然、名前を呼ばれビックリするシルビア。


「顔色悪いようですが……大丈夫ですか?」


「え……本当に……?」


さすがに、これからキラに加勢しに行く時に、あのおっさんを怖がってたら逆に足でまといになってしまう……。

そう考えていると、クロエにまた呼ばれる。


「シルビアさん……。」


「え? 何?」


「えいっ!」


クロエに抱きつかれるシルビア。2つの柔らかいものを押し付けられる。

こ、呼吸が……


「ぷはぁ……クロエふざけて……」


「魔法を教えます。」


「…………?」


そう言ってシルビアからゆっくり離れるクロエ。


「勇気の出る魔法です。怖くなって足がすくんだ時、全てを投げ出したくなった時……思い出すんです。」


「…………………うん。」


「あなたの好きな人は誰?」


「────?!」


クロエはそう問いかける。


私は……。誰が……?


それはもちろんリサ……





不意に頭の中で「おい、ドチビ……」と聞こえる。




……………………………。




「シルビアさん? 大丈……」


「キラ……。」


「え……?」


動きが急停止したシルビアを見てアタフタとしていたクロエは一瞬何が何だか分からなくなる。


だが、完全にシルビアの顔には光が戻っていた。


「ありがとう、王女様…… 」


「おかげで……なんか分かっちゃったみたい……」


「……………………はい?」


頭にはてなが浮かんでいるクロエ。

シルビアは、ふっと笑みをうかべる。


「私の守りたい人……のことかな? 」


「……………………」


クロエも満遍の笑顔を浮かべる。


「あと、もう一つ……」


そう言って、キラの部屋のドアを開け廊下から覗く下の階を指さすシルビア。


「アイツは今も下で戦ってる。こんな所でウジウジしてられないってこともねっ!」


ふふっと笑ってしまう。私達は今から戦いに向かう。それでも、何故か2人とも笑顔がこぼれた。


「はい! 行きましょう!」


クロエがそう答えると、シルビアとクロエは目を合わせ、走り出した。



────────────────────────────




テスト勉強している時に限って頭の中に、話が浮かび上がってきます。何とかしてください……。

みなさんはしっかりテスト勉強して、夏休み謳歌できるように頑張ってください!


では、ご感想ご指摘などありましたら、コメント欄にてお待ちしております。励みになります!


また、来週会いましょう!読んでいただきありがとうございました!また、よろしくお願いします!

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