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21話 一難去ってまた一難

21話です!今回は忙しくて短くなってしまいました。一気に書きたいですがどうも話数の切り方がまだ難しいですね。

では、どうぞ!



ハースハイト中心部に位置する王都の中庭。会議などが行われる城の周りには外壁があり、その内側は綺麗に整えられている。子鳥のさえずりが心地よく聞こえ、外壁のすぐ外からは、商人や街人の騒がしくも賑やかな声が聞こえる。

いつも通りに過ぎていくと思われたその日。重大な事実が街を占拠した。


「998……999……」


その中庭の隅で朝からトレーニングにはげ組む紫髪の青年。

名はキラ・テイルズ。

体の傷が開くことよりも、実力がなまってしまう方が恐ろしいと、少しづつ体を動かしていた。

白のタンクトップと黒の長ズボンで腕立て伏せを行い、滝のような汗を流している。


「……1000…。……っハァー、疲れたー」


そう言って、そのままうつ伏せに倒れるキラ。


「とりあえず、朝の訓練はこんなもんでいいか……」


くるっと反転して、仰向けになり少し目をつぶる。

いやぁ、天気が良くていいぜ…。今日はなんかいいことがありそうだなぁ…と考えていると、


ガヤガヤとやけに外が騒がしい上に、紙が配られている。

あれは…報告書??


「誰か、指名手配でもでたのかっ…と。」


立ち上がり欠伸をする。

どれどれ、指名手配ハンターと呼ばれたキラ様が一丁、ドーンっと捕まえてきてやるかぁ!とニヤニヤしながら外壁門を開け、城下町の通りに出る。

すると、人だかりが出来ており、

ハゲている太った男がビラをばら撒き、皆それを拾い上げどよめきが起こっていた。


「速報だ速報だ!コレは大変なことになったぜぇぇぇ!!」


「俺にも見せてくれよ?」


そうキラが声をかけると飛び上がる太った男。


「ひゃっ! これはキラ殿!さぁさ、どうぞどうぞ!」


「朝から元気だな。どーれっ…と。」


ビラを1枚だけ拾い、読み始める。


「なになに…。先日まで何者かに誘拐されていた姫様が助け出された……。 第6皇女クロエ・ユーフェミア……、ふーん聞いたことねぇな。」


よくある事だ…。世間の話はすぐ移る。俺達が任務で短くても2ヶ月くらい軽く開けてる時なんかは、最新の話はもうこの前のことになってる。

だからもう、そういう話に興味もなくなってくる……。

そう少し、物思いにふけるが、また読み続ける。


「誘拐犯は無事確保され、デスペリア監獄に急送還された……」


珍しいな。デスペリアと言ったらこのハースハイト国の最強の監獄。ここにぶち込まれるとは相当悪いヤツか、…もしくは、はたまた強いヤツ。

まあ、姫様をさらったんだしそんなもんなんかなぁ……。

なんか面白くねーな…、と紙を捨てようとした時、そのわずか一瞬にある文字が飛び込んでくる。


おかしい、まさかな。

すぐに読み直す、


「大A級誘拐犯……リサード・ブルオスト……」


その瞬間激しい怒りが込み上げる。


────ガッ!


「ひぇっ!い、一体何ぅを?!」


「これ書いたのオメーか?」


太った男の胸ぐらをつかみ持ち上げるキラ。 太った男は質問に答えられずあたふたしている。


「おいハゲ豚…。書いていいことと悪いことがあんぜ? いくらお前の仕事だろうと、他人を不幸にするような嘘はいけねぇよなぁ?」


「ひぇぇぇ!!でも、」


グッと引き寄せ顔を近づけるキラ。男の頬まで汗が滴る。


「でも、? 何だコラ……。」


「す、すいませぇん! か、書き直しますぅぅ。」


それを聞いて、手を離すキラ。

そして、紙を破り民衆に話し始めた。


「この情報は間違いだ。だから、みんな安心していいぞ。」


そう言うと、「なんだよー」などと言いながら帰っていく人々。

さて、


「ヒッッ!!」


「おい……。」


ハゲている太った男は、地べたに座り込みジリジリと後ろに下がっていく。


「ひゃ、ひゃい!!な、なんでしょう!?!?」


「どこからこの情報を手に入れた……。」


「そ、それは………」



✕ ✕ ✕



────バンッッ!


「邪魔すんぜ……。」


「?!…キラ……。」


王都パラソルの中心にそびえ立つ城。そこは、主に七星剣会議や、王様の演説などが行われている。

その城の会議室で書類に目を通していたエドワードにそう言い、壁を勢いよく開けるキラ。


「おいおい、ノックをしてからドアは開けるものだぞ。」


「…………………。」


エドワードの忠告を半ば無視し、詰め寄る。


「……ったく。いつもお前は……」


「そう言うのいらねぇから。」


「……………。」


そう言って、エドワードの目の前に紙を突きつける。


「コレはなんの冗談なんだ?笑えねーんだよ…。」


キラがそういうと、エドワードも顔をしかめる。


「そのことか……。残念だが、本当の事らしい。」


────ガッ


座って書類を再開しようとしだしたエドワードの胸ぐらを掴み、立ち上がらせる。


「お前…これ信じてんのか?」


「上の決定だ……。私も七星剣のリーダーだ……。信じるしかあるまい…」


更に、胸ぐらをつかむ拳に力が入るキラ。


「お前の立場の話はしてねぇンだよエドワード。テメェはどうしてぇんだって聞いてんだよ!」


「離せ……キラ……。」


「ああ?離すわけねー……」


────ガッッ


キラの手を解き、キラの胸ぐらを掴み返すエドワード。


「お前だけがイラついてると思うなよ……。」


「ああ? だったら、俺がスカッとすること知ってるぜ?」


「……………………。」


バチバチと2人の視線がぶつかり合う。

だが、すぐに正気に戻るエドワード。


「ハァ……。私たちが争ってどうする……」


それを聞いても悪びれもなく続けるキラ。


「俺は理由を知らねぇ……。 けどな? ダチが捕まったって知って、どっかのアホリーダー見てぇに呑気にしてられるほど楽観屋じゃねぇんだよ」


キラがそう言うと再びハァ……、とため息をつき、頭を抑えるエドワード。

そして、何かを決心したかのように口を開く。


「私だって、信じてはいないさ……。」


「そうかよ。……だったら、なんでそのままに放置してんだよ。」


「ここからは独り言だと思って話してやる……」


エドワードが静かに話し始める。


「私が聞いたのは昨日の夜だったか……報告書を作成していた時だった。」


「上層部に呼ばれ司令室に行くと、そこに元老長がいた。」


なっ??!


「……元老長……?」


「……………。」


驚きを隠せず、キラの目が丸くなる。

それもそうだった。ハースハイト王国で国を運営している王様、貴族達はみんな表では権力を持っているように見えるが、実際は違う。

この国を実質仕切っているのは、5人の元老会と呼ばれる重臣達だ。彼らは裏でいろんな手回しをし、汚い仕事なども引き受け、王国を調節している。そのため、彼らは目立ちはしないが、実質王様以上の国の権限を有している。

故に、元老長などがわざわざ会いに来るなんて余程のことだと推測ができた。

なんで、このリサードが捕まった件に関して元老長の話が出てくるんだ……?

そう考えているとエドワードが話し始めた。


「元老長は私にリサードを捕まえたこと、そしてその経緯を話し始めた。リサードが王女をさらい、国から逃亡しようとしていたという事をだ。」


「へぇ………。」


キラの眉間にシワが入るが、エドワードは続けた。


「だが、この話にはおかしな所がある。仮にリサード王女をさらって逃亡するのが目的だったとしたら、奴程の実力者を七星剣ならまだしも、警備部隊で捕まえられるわけがない。また、仮りに自分から戻ってくるわけもないだろう……。しかし、嘘を言ってるわけでもなさそうでな……」


「……………………。」


確かにこの話だけ聞いて、はい、そうですか、と納得出来るわけがない。リサードとは俺もエドワードも長い付き合いだ。奴の性格上そんなことをする訳がないのは、明々白々の事実だった。

そして、キラが口を開く。


「……この件には絶対になにか裏がある。そして、その件にリサードは巻き込まれたと考えるのが筋だ……。そう言いてぇわけだな?」


「……ああ…。」


なるほど。しかし、一体どうする。元老長が直々に話をしてくる時点でもうおかしいが……。


何か…。


あ?まてよ……?


この話を元老長がわざわざ言いに来るってこと自体がまず異常だ。元老長が言い渡すってことはつまり。そうしなきゃ達成できない何かがあったはずだ…。しかし、こんな少ない情報力じゃわかる訳が無い。

ただ、何を企んでるかはわからないが、ひとつだけ確かなことはわかった。


「元老長が直々に話をしにくるってこと自体が、俺達への威嚇行為……つまり……」


「俺達はこの計画の邪魔な存在になるってことだ……」


ぼそっとキラがそう呟く。キラとエドワードの間に沈黙が入った。

つまり、元老長から言わせれば、私が直々に話にきたのだ。納得しろ、ということだろう。

そう考えていると、エドワードが口を開く。


「私も私なりに考えてはいる。ただ、相手が相手なだけに遠回しな事しか出来んがな……。」


「……そういう事かよ。」


朝、太った男にこのネタを振った理由がこれか。会えて大人数に周知させ、疑惑を国民に植え付ける。そうすることによって、元老会の動きを足止めできる。なんせ、国民の大半はリサードの事を知っているし、そんなことをするわけが無いとわかってくれる。国民自体を監視の目に仕立てるという事か……。

裏で手回しを行う人間において、公にする事はなかなか動きづらくなるだろう。

あのハゲ頭には後で謝っておくか……。 と考えつつ気になったことを聞くキラ。


「ただ理屈は理解できるが、お前の行動を元老長は許してるのか?」


そう言うとわざとらしく、手をヤレヤレと言った形にするエドワード。


「……バレたら私もクビかもしれんな。」


そう言って、鼻でふっと笑うエドワード。

エドワードもエドワードなりに、覚悟を決めしているのだろう。


嫌いじゃないぜ、そういう所。


「クビですんだらマシなほうだろ。」


そう言うと、振り返り部屋を出ようとするキラ。


「……どこへ行くんだ?」


「……散歩だ。気にすんな。」


それだけ言うとガチャんとドアが閉まる。

部屋にシーンとした空気が残った。

エドワードはいつもならちょうど飯を食う時間だったが、食べる気になれず、席に座る。


「キラ……。頼むから馬鹿な真似だけはしないでくれよ……。」


そう言うと、エドワードは頭をガシガシとかき、書類に手をつけ始める。


「一難去ってまた一難……か……」


エドワードの声が会議室にこだました。




水面下で悪事は進んでいく。リサード、また、キラとエドワード、七星剣のメンバーも知らず知らずのうちに飲み込まれていく。

敵は魔獣だけで無い。

元老長、リサード、黒剣アビス、そして、クロ。

そのことを、彼らは実感することとなる。






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はい、夜遅くに失礼します。一話一話の切るところが難しくていつも奮闘しております。

どうか暖かい心で見守ってやってください。

土曜にあげると言っておきながら、もう日曜ですwww

ですが、最低一週間に一話更新は絶対に続けていきたいと思っていますので、宜しくお願いします!

感想、ご指摘、誤字などありましたら気軽にコメントで教えてもらえると助かります。

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