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序章〜引退します〜 2

出来るだけ更新していきたいと思います!続きからどうぞ!


―――――――――――――――――――――――――――――――――


王都(おうと)パラソルの一角にある酒場に男はいた。ただの布となったマントをインベントリに入れ、貰った報酬(ほうしゅう)の一部をつかい腹ごしらえをしていた。

この世界の冒険者などにはバックを持つという習慣が少ない。魔法(まほう)の適性にも寄るが、比較的安易で扱える魔法である空間収集術〈インベントリ〉によって自由に取り出すことが出来る。

魔法適性(まほうてきせい)が無い一般商人などは重いバックを背負っているため、いつも魔法適性があって良かったと思う。


「しっかしよお、リサード!オメエ本当に倒してきちまうとは思わなかったぜぇ〜」


酒場で飲んだくれている男達が次々に賞賛(しょうさん)の言葉を口にするが、ろれつが回っていない。ほかの男達も次々に喋り出す。


「しかしまあ、お前さん程の剣士が、引退(いんたい)だなんてよぉ!」


「そういえば、オメェ見たかよ。リサードが引退するっつった時の王都の連中の顔!まるで、大型モンスターが攻めてきた時見てーに大慌てだったぜ!」


「そりゃあ、傑作(けっさく)だぜ!!」「「ガハハハハハハ!」」


「おいおい、飲みすぎだぞ。そのへんにしておかないと…」


そう口にしたところで男達の頭にゴチンッという音とともにゲンコツが落ちた。


「アンタらはいつまで飲んだくれてんだい!少しはリサちゃんを見習って、アンタ達も大型モンスターの一匹や二匹倒してきたらどうなんだい!?」


「なぁ、バーバラさん。いい加減その呼び方やめないか?…女の子みたいでさ……」


男達が頭を押さえる中イッシッシと笑うのは酒場の女亭主(ていしゅ)バーバラさんだ。屈強(くっきょう)な男達に勝るとも劣らない体格をしており、サッパリとした気のいい人だ。



「そりゃないぜ、バーバラさんよぉ!」


「大型モンスターなんて相手にできんのはァ、七星剣のやつらぐれぇだってよぉ!」




「「アッハッハッハッハ」」




大きなたんこぶを作りながら涙目で訴えかける男達をよそにバーバラさんはリサードに近寄り、真剣な眼差しを向けた。


「しかし、リサちゃん。アンタ本当に剣士辞めちゃうのかい?」


この人には敵わないなと思いつつも少しばかり抵抗する。


「バーバラさん、その呼び方…」


「リサちゃん!」


「うっ…………………」


顔を近づけられ、その圧力で恐縮(きょうしゅく)してしまい、やれやれと思いながらもしぶしぶ答える。


「ああ、本当だよ。だけど、たまに顔出しには来るからさ…」


「そうかい。アンタが決めたんならしょうがないね。しかし、アンタが七星剣を抜けるとなったら王都もさぞ大慌てさね。そんな簡単に抜けられるとはアタしゃ思わないけどねぇ。」


跡継(あとつ)ぎの問題もあるから、すぐ抜けるって訳でもないよ。ただ、色々と手間はかかりそうだけどさ」


「そうかい。せいぜい頑張りな。ほれ、これはサービスだよ。」


そう言うと厨房(ちゅうぼう)からこんがり焼けた鶏肉を盛り付けて、テーブルに差し出す。


「ありがとう。バーバラさん。」


「しっかりおやりね。」


そう言うと、騒がしい酒場の男達に足を向け離れていった。バーバラさんにはいつも世話になってるなぁ、何か今度手伝いでもするかなと考えながら鶏肉にかぶりつく。こおばしい香りが口の中に広がり幸せな気分になる。


鶏肉をぺろりと平らげるとエンドという通貨(つうか)を払い店を出る。店を出ると雪が降っていることに気がついた。


「つい最近まで火山にこもっていたからな…そういえばもうそんな時期か。暖かい装備でも作って貰わなくちゃな。それと…」


明日には王都会議(おうとかいぎ)がある。そこで自分の引退の結果が決まる。明日の会議に備えなくちゃと考えながら手短な宿にチェックインを済ます。軽装(けいそう)に着替え布団に入るとぬくぬくとした感触がたまらない。



「なんにせよ。なるようになるか…」



そう自分に言い聞かせると、心地よい眠気(ねむけ)と共に就寝した。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







今回はここまでになります。次からは王都の話になります。今後とも宜しくお願いします。

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