15話 宝具を目指して
4日か5日ぐらい空いたかな?という感じです。
1週間に一話のペースを目指そう!っと意気込んで始めた剣士引退ですが、僕自身が投稿を我慢出来ないくせが出ています。
自分で自分を苦しめている状況ですが、少しずつ1週間に一話のペースで内容をよく出来たらなと思っています。
目を開け、体を起こそうとすると天井がないことに気づく。
「ここはどこだ……?」
真っ暗な空間にリサードはいた。それにしては、自分の体はやけにはっきりと見える。暗闇はどこまで続くのかわからないほど奥行が深く、天井もまた果てが見えない闇だ。
服装はいつの間にか七星剣の制服になっている。立ち上がって進んでみるがやはり何も物体がない。
俺は確か…
『よう。リサード。』
「誰だっ!」
そう言って後ろを振り返ると信じられない光景が浮かんでいた。
「────?!」
痩せこけた大地。細々としていてくねくねと曲がった木。ところどころ煙が上がり燃えているのが見える。
あたりを見渡すが先ほどの暗闇は無くなっていた。
ここは一体どこだ…俺は一体何を…
『おい。』
次はすぐ真後ろで聞こえた。バッと振り返りまた息を呑む。
この声は……やはりそうとしか……
『よう。待ってたぜ。』
白く程よく伸びた髪。左耳に二つ、右耳に一つリングのピアスをしており、服装は七星剣の制服に身を包んでいる。
自分と違うところをあげるのならば、赤く光る目だ。
嫌になるほど聞いた自分の声で彼は声をかけてきた。
「…俺…………」
そう言うとフッと笑って前髪をかきあげる。
『初めましてだな。俺の名前はリサード・ブルオスト。名前が同じで呼びづらいだろうから、そうだな……』
顎に手を当て考える素振りをする。そして、すぐにフッと笑い顎から手を離す。
コイツは誰だ、じゃあ、ここにいる俺は一体…
『俺のことはヒュドラと呼んでくれ。』
「ヒュ……ド……ラ…。?!」
リサードの中に稲妻のような感覚が走った。咄嗟に臨戦態勢に入る。
『おいおい、リサード。そんなに警戒しなくていーぜ?』
「お前俺をどうするつもりだ?!ここはどこだ?何が目的だ?!」
『一気に聞かれても困るんだよなぁ…まあとりあえず答えてやるよ。』
やれやれとわざとらしく額を押さえ、片手を振りそう答える。リサードは背中に手を伸ばすが剣がないことに気づく。
しかし、後ろにさがり気は抜かない。
『一つ目、俺はお前をどうする気もない。あえて言うならば、今や俺とお前は一心同体だ。お前に何かあったら俺が困る…。』
人差し指を立ててへらへらとした雰囲気を醸し出しながらもそう答える。
『二つ目…』
指を二本立てる。
『人の魂には、意識の下層に於いて、更に深いところで無意識的なプロセスが行われている場所があるんだが、まあ簡単に言えば深層心理って呼ばれるところだ。ここはそこで作り出された空間って事になる。』
「俺の深層心理…?」
『そうだ。そして、そこにお前が抑制したり、我慢したり悲しいことがある時に引き受けるもう一人のお前の人格が存在する。その体に今俺は住み込んでる感じだ。』
リサードの眉がピクッと動く。
「…お前の話が本当だとしたら俺は多重人格だったってことか?」
『いや、それは違うな。誰にでも深層心理に存在する防御システムみたいなもんだ。だから気にしなくていい。まあ、詳しいことは後だ…』
そう言って、リサードから目を離しあたりを見渡す。
『ここは俺の記憶の一部だ。そして、俺はこの記憶に閉じ込められている状態と言ってもいい。だから、お前の意識をここに連れて来る必要があった。』
「……………。」
「ああ、それと意識が戻ったらインベントリを確認しておきな?」
「……何かいれたのか?」
「俺が食ったモンスターの素材やら何やらはそこに入るようになってるはずだからな。」
コイツの胃袋と俺のインベントリは繋がっているのだろうか?などと疑問を持つが、リサードの返答を待たず語り始める。
『そして、三つ目。俺の目的は……』
………目的は………。
────ガバッ
「ハァ…ハァ…」
は?!何が起きた?!ここはどこだ?!俺は''どっち''だ?
咄嗟に手を見て感覚を確かめる。あぁ、俺だ。ヒュドラじゃない。
唐突にも程があるだろうが!突然話が切れたからビックリしたんだだろうがっ?!
ハァハァと呼吸を整えると少し安堵し始め、空腹が襲う。
「起きたんですね、リサードさん。」
突如そう声がし、状態を起こした状態でバッと振り返る。パチッ…パチッ…っと火が付いておりすぐ右隣に綺麗な女がいた。
「え?…クロ?…」
ところどころ破れている茶色のローブを着ており、フードは外していた。艶のある髪を肩の辺りまで伸ばし、少し内側にクルッとカールしている。少しかきあげられた髪の間から、大きく、それでいて高級そうなイヤリングが下がっているのが見えた。
「はい!覚えててくれたんですね?!」
そう言って両手で顔を触り、少し頬を赤らめる彼女。どんだけ忘れやすいやつだと思われてるんだ?…と思ってしまうが嬉しそうな顔を見ているとこちらまで少し暖かい気持ちになる。
ここは…森か…?
俺は確か…って待てよ!?
「お前体は大丈夫なのか?!」
そう言って肩に手をかけるリサード。
「あ、はい。幸い傷もそんなに深くなくて…。私も追手のエイプ達に囲まれて危なかったんですが。突然、全員私を置いてどこかに行ってしまいまして。追いかけてみたら、エイプクイーンが暴れていて…」
そう言ってハハハと笑い、頬をポリポリとかくクロ。
「そうか。ほんとに良かった…。」
「リサードさん…。」
安堵してフゥとため息をつく。
なんか顔赤くないか…と思っていると、あることに気づく。まだ肩にてをやったままだ、、。
急いで手を引っ込める。
「あっ、その…悪い…」
「い、いえ…。ちょっとびっくりしただけで…。」
なんか気まずいな…と思い、何か話題が無いかとあたふたするリサード。とりあえず何が起きたのか聞いてみるか…
「なぁ…。」
そう言ったところであることに気づく。
「あぇ?!俺この格好で寝てたのか?!これって…」
ちょうど自分の頭があったところにクロの透き通った太ももがある。
コレってあれだよな…?膝枕ってやつですよね…?
リサードそう思っていると、察したのかフフンッと少し誇らしげな顔をする。
「そうですよ?私が疲れてるリサードさんをずぅーーーっとっ!膝の上で看病してあげてたんですからね?膝の上で!」
「………………っ。」
リサードの動揺ぶりを見て更にイタズラの成功したような子供のようにはしゃぐ。
「まさか恥ずかしいんですか??フフッ…リサード君ってぇ〜意外と可愛いところあるんですねっ…?」
「おまっ…そんなわけあるか!」
ニヤニヤしながら顔を近づけてくるクロ。
小悪魔め……俺が男じゃなかったら惚れてたぜ……って俺は男だろ…。
いやいや、そんな事考えてる場合じゃねぇ…と頭をブンブン振り、思考を落ち着ける。
「と、とりあえず、こここはどこだろー?…」
ダメだ。全然頭落ち着けられてなかったわ。むしろ暴れまくりだわ…。
「プフッ………」
そう言うと口を抑え笑うクロ。
もう嫌だ…恥ずかしくて死にたくなってきた…
「ホントに面白い人…プフッ…」
「わかったよ。ああ、もう好きにしてください…」
「ごめんなさい。少しからかっちゃいました…。そんなに怒らないでください…プッ…」
そう言ってインベントリを開くクロ。顔は反省していないのは言うまでもなく、赤みも引いていない。笑いがおさまったのか話し出す。
「ここは、まだ森の中です。」
そう言って、インベントリからお椀と、かなり大きめな魔法瓶?のようなものを取り出す。「はい、どうぞ。」とお椀を差し出すので一応受け取っておく。
「ああ、ありがとう。ってか、こんなにのんびりしてて大丈夫なのか?」
「はい、リサード君…リサード君って呼んでもいいですよね?」
そう言ってまた少し顔を赤らめ上目遣いでこちらを見てくる。
「別に構わないけど…てかクロ、さっきも君付けしてたし…」
視線をそらしながら答える。胸が見えそうなのは言わないでおこう。
そうこうした内に、では、と話し始めるクロ。
「んんっ。リサード君がこの森のボスであるエイプクイーンを倒したことでこの森の決定権は全てリサード君にあります。だから、リサード君がいることでこの森の中でに対して、リサード君の周りは全てセーフティエリア見たいなものなんです。」
確かに。
この森の絶対的なルール。弱肉強食で言えばトップであるエイプクイーンを倒した俺がトップになる訳か。
「なるほどな。確かに納得はいったよ。」
そう言うと、先程から焚き火で何かをしていたクロがお椀にスープを注いでくれる。
「これは…?」
「お味噌汁って言うんですよ?」
「おミソ汁?変な名前だな…。」
そう言って覗き込んだりして、おミソ汁とやらを見る。
「私が子供の頃、お母さんに教えてもらったんです。飲んでみてください!」
まあ、いいか…。と言われるがまま、ズズっとすする。
すると、リサードに衝撃が走った。リサードにとっては初めての味だった。空腹も混ざり、やけどに気をつけながら更にすする。不思議な味がするのにどこか温かい味がする。
「初めて飲んだよ。うまいな…。何ていうか温かな気持ちになってくるよ。」
そう言うと、目をうるっとさせ嬉しそうにはしゃぐ。
「ですよねっ?私、お味噌汁大好きなんです!こっちもそろそろできるので待ってくださいね?」
そう言って魔法瓶の中からマトリョーシカのように様々な魔法瓶を取り出し、せっせと何かをしている。
「便利だなそれ。どうやってるんだ?」
少し気になり、聞いてみることにした。
「コレはお料理セットと言うそのまんまの魔法具で、作った料理を入れて火で温めながら魔力を使って熱を与えるんです。なかなかコツがいるんですよ?」
「へぇー、なんか色々知っててすごいな。」
「私…結構常識だと思ってました…。」
そう言ってわざとらしくジーッと見てくる。
「はいはい、俺が非常識でしたー。」
ニヤッと見てくるクロに対し、はいはい、とあしらうリサード。
なかなか言ってくるよなぁ…俺も非常識なんだけどさぁ。この子侮れないわ…。
でも、
でも、この空間は嫌いじゃない。むしろ、心地よかった。人といてこんなに楽しい気持ちになったのは何時ぶりだろうか。
一人でいることが多いリサードにとってかけがえのない時間のように感じる。
こんな時がずっと続けばいいのに…と少しくさいことを思ってしまったりして少し恥ずかしくなってしまう。
すると、あることに気づく。
「そう言えば、シロはどこいったんだ?」
そう言うと、少しだけくらい表情を見せるクロ。
「私も必死に探したんですが。リサード君がエイプクイーンを倒した後、リサード君が倒れてしまって…その時にはもうどこかに行ってしまっていて…」
「そっ…か…。」
「ごめんなさい。」
「いや、クロが悪いわけじゃないから謝らないでくれ。シロは子供だけど頭いいんだ。きっと何か理由があるんだと思う…。」
そう言うと心地のよい風が2人の髪を揺さぶる。
「……………………。」
「帰ってきてくれますかね…?」
「…………………どうだろうな。…」
少しの静寂が流れる。すると、コトコトっと魔法瓶が揺れ、湯気が沸き出る。
「食べましょうか。」
そう言ってお皿に取り分けてくれる。
「ああ…ありがと。」
「…………………。」
二人共その時は喋らずに黙々と食べる。空を覆い尽くすまでの綺麗な星が森の中を照らしてくれる。
その中、クロが沈黙を破る。
「あの…。」
「ん?…。」
「リサード君はこれからどうするんですか?」
「……そうだな………。」
そう言って言葉をつまらせるリサード。これからハースハイトに一旦帰り、支度をしてまた狩猟に出かけるであろう。
でもなぁ。なんかすぐ帰るのもなぁ…と思っていると、
「あの、。宜しかったら少し一緒に行動してもらえませんか?」
「え?……」
いきなりな提案に少し驚きを隠せないリサード。
「あ、別に無理にとは言いませんが…その…。」
少し気まずそうに髪をいじるクロ。その姿を見て答えを決めたリサード。
「ああ、少しなら大丈夫だよ。」
リサードがそう言うと途端に表情が明るくなる。
「ホントですか!!ありがとうございます!!」
ぺこりと頭を下げる。
「いやいや、知らない間柄って訳じゃないしな。それより、行動するって言っても具体的にはどこに行くんだ…?あんまり遠いとキツイかもしれないんだよな…」
ハハハ…と笑う。
すると、「それなら問題ありませんっ!」と元気よく答えるクロ。
「実は私がこの森に来たのには理由があるんです…。」
そう言うと、真面目な顔つきでこう言った。
「世界を滅ぼすも救うも使い手の御心のままにしてしまう宝具がこの森に存在する可能性があります。私は…。」
「私は…その宝具を手に入れるためここに来ました────。」
世界を救うか滅ぼすかを左右すると言われる伝説の宝具が存在するという。
幾つあるか、何のためにあるのか、誰が作ったのか…
その一つを求めリサードとクロは少しの間グールプを組むことになる。
ヒュドラ、宝具、王都、結婚、引退…。
彼の引退生活はまだまだ始まったばかりだ。
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ゴールデンウィーク中は忙しくて書けなさそうなので少し眺めに頑張ったつもりです。
あの時のあれか!とかあれ?これってどうなんだろう…と言ったところは伏線で現れるかなーという所なので今の状況と違うところも考察してみると後で「こうなるんじゃね?」と予想できてしまうかも知れません笑
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