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03 メイドさんとキャンベル一家

「コンコン」ミューと今後についてあれこれ話をしていると扉をノックする音がする。


「お嬢様、お入りしても宜しいでしょうか。」


「ちょっミューどうしたら!?」


「何を動揺しておる。ここからはお主がなんとかするしかあるまい?わしはお主の中で見守っておるから頑張るのじゃぞ。」


突然の訪問者に狼狽えてしまう俺だが、ミューはたんたんといい放ち俺の中に隠れてしまう。実はミューは俺がこちらの世界に来たときすでに仮ではあるが主従契約が結んであったらしい。さすが女神様その辺は抜かりないわけだ。


(っ~他人事だと思って)


(仕方ないじゃろう、いきなりわしのようなキュートな猫がいれば驚かれるじゃろ?)


(なっミューの声が聞こえる?)


(ふふん、契約をすればこんなこともできるのじゃ、それよりもお主返事をせんでいいのか?)


(そうだった。なんとか乗りきるしかないか)


そこで俺は目を閉じて大きく深呼吸をし気合いを入れ直す。少し強気で偉そうな感じでいけばいいだろうか。


「ええ、入ってもいいわよ」


「失礼いたします。おはようございますお嬢様。」


そう挨拶したあと、綺麗に一礼し三人ものメイドさんが入ってくる。見た目は秋葉原にいるようなフリフリのレースやリボンが付いていてミニスカートを履いている。なんてことはなく、黒色のワンピースに上から白の胸から足下くらいまであるエプロンのようなものをつけている。だからといって地味という事はなく上品な感じだ。


しかも三人とも美人さんだが、特に目を引くのが髪が銀色の子だ。髪はおさげにし編み込んでおり、そして瞳の色は綺麗な琥珀色をしている。肌も白くスタイルもいいが胸だけはちょっと残念だ。歳は今の俺より少し上くらいであろうか?


「おはよう」


すると三人とも目をぎょっと見開く、なんだか珍獣でも見つけたかのような顔をしている。普通に挨拶を返しただけでこの反応って、以前はどれだけ酷かったんだろうか。今後がものすごく不安になってくる。


少し間が空いたが三人の中で一番年長のメイドさんが、すぐに表情を引き締め仕事を始める。


「ではまず本日の御召し物はいかがいたしましょうか。」


「そうね、任せるわ」


「畏まりました。それでは始めさせていただきます。」


そこからは早かった。さすがは本物のメイドさん、三人がかりであっという間に服を脱がされた後ドレスを着せられ、髪をセットし軽くメイクをすれば完成だ。


服を脱がされたとき、ドキドキして少し赤面してしまったが美人メイド三人が相手では仕方ないだろう。転生して男として大事なナニかを失ってしまった俺だが、完全に全てを無くしたわけではないのだ。そう思うとちょっと涙が出そうになるがなんとか堪えた。


「お嬢様、完了致しましたがいかがでしょうか?」


メイドさんに声をかけられ俺は現実に戻ってくる。ちょっと意識が遠いところまで行ってしまっていたようだ。我に返り鏡を見るとそこには女神がいた。普通に考えたらかなりのナルシスト発言だが………。


「ええ、素晴らしいわ」


そう言いながら微笑んでみると、メイドさん達はポッと頬を染めていた。

さすがはアイリーン・キャンベル女性相手でも効果は抜群のようだ。


「きっ恐縮です!ではもう少ししたら朝食の御時間ですので、準備ができししだい呼びに参りますので少々お待ちください。」


そう言うと三人とも「失礼します」と一礼し部屋を出ていってしまった。

そして俺はというと鏡の前で……


「鏡よ鏡よ鏡さん。この世で一番美しいのはだあれ?」


「………お主何を言っておるのじゃ?」


そんなことを鏡の前でやっていると、いつの間にか現れていたミューにものすごく白い目で見られた。はい、少し調子に乗りすぎました。


「いやー、ついというかなんというか……はは」


「まあよい、その調子ならなんとかやっていけそうじゃの。」





そんなことしている間に朝食の時間になったようだ。先ほどの年長のメイドさんが呼びにきてくれる。


「お待たせ致しました。朝食の準備が出来ましたので参りましょう。」


「ええ、わかったわ。」


ミューは先ほどと同じくすでに俺の中に入っている。そしてメイドさんについて部屋を出て食堂に向かう。


(なんというかさすがは、公爵家どんだけ広いんだよ。)


(ふむ、キャンベル家ほどの大貴族になると屋敷というより、もはや城じゃの。)


ミューとこの屋敷を見物しながら五分ほど歩いていくと、どうやら食堂に着いたようだ。


(朝食食べるだけで家の中を五分も歩くって……)


(まあ慣れることじゃの。)


食堂の扉の前まで来るとメイドさんが扉を開けてくれる。中に入るとそこはかなり大きな部屋で、その中央に長方形の大きなテーブルが置いてある。そしてそのテーブルにはアイリーン・キャンベルの家族、つまり今世での俺の家族がそれぞれ席に着いている。


まず上座に座っていのが、領主であるレイブン・キャンベル 茶髪のオールバックに口ひげ、そして鋭い鷹のような目だ。年齢は40代前半くらいであろうか。


そして左隣にいる女性がマリアンヌ・キャンベル 綺麗な黒髪でかなりの美人だ年齢は夫であるレイブンとそう変わらないはずだが、かなり若く見える。たれ目のせいか優しい印象を受ける。


それから我が姉と兄達だが、長男 キース・キャンベル 次男アルベルト・キャンベル 兄達はそれぞれ父をそのまま若くしたような感じだ。最後に長男の妻で義理の姉であるスーザンとその息子レイナードだ。実の姉である長女はすでに嫁いでいて領地にはいないらしい。


「おはようございます。」


少し緊張しながらもテーブルの近くまで行き挨拶をする。


「ああ、おはよう。アイリーン体調はもういいのか?」


どうやら父に心配されていたらしい、見た目に反して優しい人物なのかもしれない。まあ理由が理由なので当然なのかもしれないが。


「はい。お父様、御心配をおかけしました。」


「そうか、では食事にしよう。席に付きなさい。」


「はい。」


そうして席につくと朝食が始まった。父や兄達はどうやら仕事の話をしているようだ。俺はというと、もくもくと朝食を食べていた。テーブルマナーは前世で接待などがあったのでその時勉強していたのが役にたった。それに食事もおいしい。さすがは公爵家というところか。


そうして食事に夢中になっていると、母に話しかけられる。


「あらまあ、アイリーンがそんなに食べるなんて珍しいわねえ。」


「うぐっ……すみませんお母様、お腹が空いてしまって。」


「謝ることなんてないわ、元気になったみたいでよかったわあ。」


急いで食べていた物を飲み込むとなんとなく謝ってしまったが、どうやら母にもずいぶんと心配をかけていたようだ。だが父や母の反応を見るとアイリーンがそこまでの問題児だったのかと疑問に思ってしまう。するとミューが反応する。


(いや、アイリーン・キャンベルは父や母の前では上手く猫を被っておったのじゃろう。先ほどメイド達に挨拶を返しだけであの反応じゃ、お主も忘れていたわけではあるまい?)


(そういえばそうだったな。)


今朝の出来事を思いだし、たしかにと俺は納得する。そうして時に兄達ともなんとか無難に会話したりしているうちに無事朝食も終わり部屋にもどることになる。食事中に王子との婚約解消の話は誰にも振られなかったのは、やはり気を使われているのだろう。


そういえば義理の姉のスーザンさんと甥であるレイナード君とは結局一度も話せなかったが、やはり怖がられているのだろうか……。いや考えるのはやめておこう。




そして再び部屋にもどってきた俺は今後どうするか?ということをミューと相談していた。


「これから俺はどうなるんだろうか?」


「そうじゃの、今は夏期休暇中じゃからいいが、それが終われば王都にある学園にもどらないとだめじゃろうのう。」


「そうなのか!?」


「ふむ、今お主は16歳つまり学園では最上級生になるわけじゃ、今年はれて卒業ということになる。そしてこの国の貴族は、みな王都の学園を卒業するのが通例じゃ。問題を起こしたからといってもお主は公爵家の娘じゃ、世間体というものもあるしの、退学なんぞキャンベル家当主が認めるはずがないの。だから諦めて卒業まで頑張るんじゃの。」


「そんな~~」


ミューの言葉に俺はつい情けない声をあげてしまう。だってそうだろう、

学園には元婚約者である王子がいるのだ。そんな中学園に戻るなんてはっきり言ってそれなんて拷問?という感じだ。


「情けない声を出すでない。まあ夏期休暇はあと3ヶ月ほどあるしの、悩んでおっても仕方ない。その間お主にはわし自ら魔法を教えてやろう。」


「おおっ!そうだった。ファンタジー世界といえばやっぱり魔法だよな!


完全に現実逃避であるが、魔法を使ってみたいというとも本当だ。さきほどまで絶望的な気分だったが、急にテンションが上がってきた。


「……お主、意外と神経図太いようじゃの。」


ミューが何か言っていたがもはや俺には聞こえない。


「よし!早速魔法の特訓だ!」


「まてまて落ちつくのじゃ。こんな室内で魔法の特訓など出来るわけあるまい。」


「たしかに。でも外に出るにしても、一人じゃ出歩かせてもらえないんじゃ。」


それはそうだ、こんなでも公爵家の令嬢だ。それに問題を起こしたばかりだし、外出させてもらえないだろう。


「ふふん、そこはわしに任せておくのじゃ、こう見えてもわしは短距離ではあるが、転移魔法が使えるのでの。」


「おお!すごいじゃないかミュー!」


「はっはっは!そうじゃろう、そうじゃろう、任せておくがよい。」


この猫以外とチョロいな、と思ったのは秘密だ。


「では、わしに掴まるのじゃ。」


「わかった。」


ミューに掴まると突然景色が変わる。どうやら無事外に出られたようだ。


「よし!このまま何度か転移するからの、しっかり掴まっているのじゃ」


「りょうかい!」


そうして何度か転移を繰り返すと森の中の川原に出る。どうやらここはキャンベル家の屋敷がある都市の南端にある森の中みたいだ。


「ふむ、この辺りでよかろう。魔法の練習にはちょうどいいじゃろう。」


「よーし、やるぞー!」


さっきからテンション上がりっぱなしの俺は、拳を空に突きだし気合いをいれる。そんな俺をため息をつきながら、ミューが呆れた目で見ていることに俺は気がつかなかった。


(まったく、こやつさっきまで落ち込んでいたのにの。チョロいやつじゃ、まあ魔法を学ぶ事に関しては前向きなようじゃし良しとするかの。)




すいません。なかなか話が進みません!タイトル詐欺にならないように頑張っていこうと思います。


毎度拙い文章で申し訳ないのですが、これからもどうぞよろしくお願いしますm(._.)m

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