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14 その後の報告とアイリの昇格

朝いつものように朝食を終え、自分の部屋でくつろいでいると、リーニャが入ってくる。俺と同じように昨日は相当大変だった筈なのに、その表情からは疲れというものを全く感じさせない。


さすがはメイドであり俺の護衛、そしてB級冒険者という事であろうか。



「お嬢様昨日のノック男爵ですが、衛兵に捕らえられ今は事情を聞かれているそうです。他の関わった者達も順次捕らえられる事になると思います」


「ありがとうリーニャ、じゃあ教会の援助も再開されるのかな」



今回わざわざノック男爵とその他の連中を、引きずり下ろしたのは教会、ルナ達の為だ。ちゃんとあの子達が食べていけるようにならないと、意味がないし安心して学園に戻れない。



「はい、おそらく被害にあっていた者達にはすぐに対応するでしょう。ノック男爵の退位は、表向きは病の為にという事になるらしいので、この件を出来るだけ秘密裏に処理したいのでしょう」


「そうか、なら良かった」



ノック男爵の行いは、キャンベル公爵家の監督不行き届きという事になる。

なので出来るだけ表沙汰にならないようにしたいのだろう。


理由は正直情けないものがあるが、これでルナ達や今までに被害に合った人達が助かるなら、俺としては言うことはない。



「よし、じゃあいつも通り冒険者ギルドに行って、グラン師匠に稽古をつけてもらおう」


「今日くらいは休まれてはいかがですか?」


「いや1日休むと取り戻すのに時間がかかるって言うし……」


「そうじゃの、残る日も少ないしの」



学園に戻る前に出来るだけ訓練を積んでおかないと、向こうではまともに剣の稽古ができるかわからない。


そして俺達はいつものように馬車で冒険者ギルドに向かった。



「あれ? グラン師匠まだ来てないのかな」


「おかしいですね、いつもならすでにいらっしゃる頃ですが……」



しばらく訓練場で待っていると、グラン師匠と何人か知らない人がやって来た。見た感じ冒険者なのでグラン師匠のパーティーメンバーなのかもしれない。



「遅れてすまんな、昨日の件でギルドマスターと話があってな」


「いえ、大丈夫ですグラン師匠、それで後ろの人達は……」


「ああ俺のパーティーメンバーだ。俺の教え子を見たいってうるさくてな」


「おいおいこんな可愛い子がグランの教え子かよ」


「通りでグランが個人指導の依頼を受けるわけね~」


「旦那、教え子に手なんか出してないっすよね?」


「んなわけねーだろ!!」



やっぱりグラン師匠のパーティーメンバーだったみたいだ。お互い自己紹介を行う。まず盾役のフルプレートの鎧を着たタングさん、そしてメンバーで紅一点の魔法使いのエマさん、そして最後に軽装備で背中に弓を背負ったケリーさんだ。


さすがはA級冒険者パーティー、なにかオーラのようなものが感じられる。

これが強者の凄みというやつなのだろうか。というかセクハラは散々されてるんですけどね。



「グラン師匠ちょっといいですか?」


「どうした?」


リーニャやミューとタングさん達が話している間に俺はグラン師匠にコッソリ話しかける。


俺がアイリーン・キャンベルであることは、秘密にしてもらっているが、一応聞いてみたら仲間であろうとそんな事話せるわけないと、苦笑いしていた。



「それにだ、アイリがキャンベル公爵家の人間と聞いて、最初はこの依頼降りようかと思ったんだ。貴族ってのは下の人間をなんとも思わない連中ばかりだからな……それにお前さんの悪い噂もあった」



たしかに否定はできない、実際今回ルナ達を苦しめていたのは他ならない、公爵領の貴族ノック男爵だったのだしアイリーン・キャンベルの噂はおそらく本当の事だろう。俺はグラン師匠の言葉に何も言えず、思わずうつ向いてしまう。



「だが違った。昨日お前さん達が帰った後、ギルドマスターと話していたら、ギルド職員が慌てて報告してきてな、Fランク冒険者のアイリがノック男爵の部下を殴ったってな、それも亜人の子供を庇って……」



昨日ギルドの帰りにルナを庇って、ガーマンとかいうバカを殴った事はすぐに噂が広まったらしい、まあ普通は貴族の部下を殴ったりしたら大問題だからだろう。



「それに今ある噂が流れてきてな、この東地区の貴族のノック男爵が病を理由に職を降りたってな。まさかと思うが……アイリお前さんが何かしたんじゃないかってな、今朝その話をギルドマスターと話してたんだが……」


「んー、まあ昨日ノック男爵の屋敷にお邪魔して、ちょっとお願い事を聞いてもらっただけですよ?」



俺がグラン師匠にそう言うと、我慢しきれずと言った感じでグラン師匠は笑いだす。



「ぶははは! やっぱりアイリだったか! いやーさすが我教え子、スカッとしたぜ、前からあの野郎の汚いやり方にはムカついてたんだ」


「ちょっ! グラン師匠声が大きいです! 秘密なんですから!」



グラン師匠の声が大きく、思わず俺は止める。せっかくノック男爵にも口止めしたのに、こんな所で俺がこの件に関わっているとバレたら面倒な事になってしまう。



「すまんすまん、だがますますお前さんの事を気に入ったぜ、残りの期間バッチリ鍛えてやるから安心しな」


「あはは、ほどほどにお願いします」



とりあえず、グラン師匠に引き続き訓練を見てもらえるみたいでよかった。

まあこれ以上気合いを入れられると、俺が持たないので今まで通りでお願いしたいところだ。



「あー! グランとアイリちゃんが二人きりでなんか話してるー」


「気をつけたほうがいいっすよ? 旦那は女ぐせ悪いっすから」


「まったくです、グラン殿はいつもアイリをイヤらしい目で……」


「ふざけんなお前ら! 俺は教え子には手はださねえ! あとリーニャお前さんは人の事言えねーだろ!!」



そんなこんなで、今日はグラン師匠のパーティーメンバーも一緒に訓練に参加してもらい、いつもより少々騒がしかったが、充実した訓練を行えた。



「そういえばグラン師匠が私の個人訓練を受けてくれたのって、パーティーメンバーの方がケガをして、お休み中だったからですよね? みなさん元気に見えるんですが……」


「ああ、山でモンスターとの戦闘中にケリーがケガしちまってな、ケガじたいはポーションで応急措置をして、都市に帰ってから教会で治癒してもらったから問題なかった。」


「ええ、でも最近働きづめだったから、しばらく休もうってなったのよ」



なるほど、Aランク冒険者のグラン師匠に訓練してもらえるのはケリーさんのお陰か、彼には申し訳ないが運がよかったようだ。


その後はグラン師匠達と別れて、俺達は教会に行くことにした。グラン師匠達は久々にパーティーメンバーで酒場に行くそうだ。残念ながら俺はまだ学生なので酒が飲めないのだ。



「そうそう、アイリとリーニャ、お前さん達は昨日の討伐報酬をギルドで受け取ってから帰れよ」


「わかりました。明日も訓練お願いします」



おう、と返事をしながらグラン師匠達は町にくり出していった。

そして俺達はギルドの受付に向かう。



「アイリさんにリーニャさんですね。こちらが討伐報酬になります。それとアイリさんは、冒険者ランクがCランクに昇格ですね、おめでとうございます」


「ありがとうございます」



昨日のオークやゴブリンの討伐報酬が1人金貨15枚か、やはりオークキングの討伐が大きかったみたいだ。


しかも冒険者ランクがCランクに上がった。三階級特進だ。リーニャと二人がかりとはいえ、普通オークキングはB級以上の冒険者パーティーで、討伐するらしいので、こういう結果になったらしい。



「さすがはアイリです。いきなりCランクなんて、かなりの早さですよ」


「うん、まあ二人でオークキングを倒したんだから、リーニャのおかげでもあるよ」


「そうじゃの、下手をすれば死んでおったし、もっと精進することじゃ」


「ああ、これからもっと強くなるさ」



このモンスターがいる世界で、また危険がないともかぎらない、

とりあえずもっと魔法と剣術をうまく使いこなせるようにならないとな、Cランクになったからって、調子に乗ってはいけない。


あれ? でもマックスとかいうリーニャにやられてた奴もたしかCランクだったような……。うんやっぱりもっと精進してリーニャと同じBランクくらいまでにはなりたい。


この時俺は冒険者の間ではオークキング殺しのアイリとして、さらに有名になっていたことを知るのは、もう少し後の事だった。



「よし、報酬も入った事だしルナ達に何かお土産を買っていこう」


「はい、子供達も喜ぶでしょう」


「わしも腹がへったの」



俺達はルナ達のお土産を選びながら、いろいろな店をまわって教会にむかったのだった。



冒険者ランクについてです。


S級   伝説級の冒険者・・・世界に数人


A級   超一級の冒険者・・・グランのパーティー


B級   一級の冒険者・・・リーニャ


C級   準一級の冒険者・・・アイリ、マックス


D級   二級の冒険者・・・一番層が厚い


E級   新人冒険者・・・モンスター討伐成功


F級   仮登録・・・モンスター討伐をすると冒険者に

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