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亜人狩り・群状金属・ロクサーヌ  作者: 本田百郎
キャラバンとその1つ目の秘密
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第13回 「戦争」

 タイム・トラベラーは俺たちに席を勧めると、思い出すように語り始めた。


「ストレンジャーがいつ頃からこの地球に現れたのかは分からない。奴らの存在は元々都市伝説や噂の類で、長い間雪男やネッシーと同じ扱いでしかなかった。私が子供の頃はテレビや雑誌で面白おかしく特集が組まれていたが、既に科学を信奉していた私にとってそれらはくだらないオカルトでしかなかった。しかし奴らを信じる人間は少しずつ確実に増えていった。それはつまり奴らの存在や行動がそれに足りるくらい目立っていったことを意味する。五十年ほど前、ついに警察がある殺人事件の犯人をストレンジャーであると認めた。政府もまたそれを追認し、気づくと人類には天敵ができていた」


 タイム・トラベラーはそこで一息入れた。


「三十年ほど前、人類とストレンジャーは『戦争』と呼べる状態に突入した。奴らは人類とほぼ同等の知能の持ち主だったがその科学的積み重ねはなきに等しく、人類はその点においては一歩リードしていた。しかし肉体的強靭さでは完敗であり、人類が作ったタイム・マシンを最初に使ったのもまた奴らであった」


 何故人類よりも先に彼らがタイム・マシンを使えたのかは後々分かることになる。


「だが奴らにも弱点はあった。人類と比べて圧倒的に数が少ないのだ。奴らは生物としては高等な部類に入ったので、人類と同程度の繁殖率であった。既に戦争の火ぶたは切られていたので、至急数を増やす必要に迫られた奴らはある奇策に出た」


 まさか……。


「仲間を過去に送ったのだ」


 つまり奴らは過去の世界で繁殖をし、未来で増えた仲間を更に過去に送ることによって数を増やしているのだ。


 ロキシーたちの住む未来が戦場だとするならば、俺の住むこの世界は銃後であり、人員補給の為の世界だったのだ。


「前に私はストレンジャーの知能が低いって言ったけど訂正させて。あれは正確ではないわ。奴らの社会にも上下があって科学者や技術者はいるけれど、それをわざわざ過去に送ることがないだけ。繁殖だけなら知能はいらないからね」


 そして見込みのある個体だけを未来に残し、他をまた過去に送っているのだ。


 悪夢のようなサイクルだ。

 想像しただけで頭がクラクラした。


 タイム・トラベラーの体調が思わしくないので話はそこで終わった。

 呼ばれた医者に、ついでだから今から健康診断をしましょうと言われ、医務室へと連れて行かれた。


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