二番目の眷族
「しかし、クロノもうすでにSランクまでいくとはすごいねえ」
「レクセウス、仕事しないでいいのかい?」
「ああ、してからしてるから大丈夫よ」
もうすでに大分フランクになったレクセウスと雨はお互い目の前の水田を見ながら会話をしている。
「しかし大したもんだね、本来の技能とは違った能力でここまでできるなんて」
水田の他にも青々とした森が茂り、草原や美しい湖が広がる大地を見ながらため息をつく。
「そりゃあここは地球と違って神力も浸透しやすいし、何より魔力があるからね、奇跡は起こしやすいさ」
「ああ、それに神としての力も発揮しやすいし、元々が人間だしな、雨は」
「それに現代の知識もそれなりにはあるからね、そろそろ少数の住民も入居させるかね」
「家畜も必要だね」
「この世界の家畜も調べないとねえ、そうだ、レクセウス」
「なんだい?」
「あんたの加護よこしな」
「どこのカツアゲですか」
レクセウスはまあいいけどと自分の手に光を集める。
「今回は元気な子がいいねえ、クロノは奔放に産まれたし、自由でいいけど、そうだね、今度は守護に重きを置くか」
「そうだね、前回は加減しなかったしね」
「私はいつも全力だけどね」
雨は光を受け取るとまわりに声をかける。
「そろそろ神気も溜まってきて精霊達もよってきたし、精霊にも頼むかね」
精霊と思わしき存在に声をかける。
「………まだまだ属性までは至らないが綺麗な魔力だねえ、お前さん達も手伝っておくれ」
「普通、異世界の精霊をそこまで懐かせるのってすごいことなんだけどね」
「ちゃちゃいれんじゃないよ、さてまた私の血を媒介にするかね、今度はもっと賢い感じにはっちゃけるだろ」
「はっちゃけるで不安だねえ」
レクセウスの言葉を聞きながらも肩をすくめながら精霊たちの光と共にレクセウスの加護と自身の血を混ぜ合わせていく。
形作るは長身の少女、艶やかな黒髪に赤い瞳、可憐な雰囲気ににこりとした笑顔。
「産まれたぜえええ!!!あたしの名はヒカリ!母上!父上!よろしくお願いするぜ!」
「………見た目に反して大分アクティブだね、あー御父さんか、そか、僕の力も受けているから」
「私の力とあんたの力が混ざってるんだ、実に愉快な娘になりそうだねえ、ヒカリってのはあんたが決めたのかい」
「形作る時に性別が女で名前がぱっと浮かんだんだぜ」
「そうかい、それならヒカリと呼ぼうかね、精霊達に知恵は貰ったりしてるし、兄貴の事も知ってるだろ?」
「おう!可愛いんだぜ!!」
「なら、また妹も作るから兄貴の手伝いしておいで」
「了解なんだぜ!」
ヒカリはそういうと同時に姿を消した。
「………我が娘ながら転移をするとかすごいねえ」
「異世界の神との子はどうだい」
「----なかなか悪くないね、僕は子供がいないから」
「それは珍しいね」
「避妊はちゃんとするし、管理職だからね」
「息抜きかい、ここは」
「そうだね、僕もそれなりに村作りのゲームとか好きなんだよ」
「そうかい、ならあの子達には難民でも連れてきてもらうか」
「傭兵国でも作るつもりかい?」
「それも楽しそうだね」
二人の神はクスクスと笑う。