5月28日のこと
朝いちばんに行ったのは、やっぱり芋虫の生存確認だった。
三匹は、変わらずそこにいた。
やっぱり微動だにしない。
幼虫の糞は、病気の原因になるらしい。
ネットでそれを知ったので、より念入りにカゴの掃除に努める。
葉っぱについた糞も念入りに落とした。
それからカゴの底にティッシュペーパーを敷いて、ひとまずは良しとする。
毎週土曜日は、五~六時間ばかり運動に行くことにしている。
帰ってきたら、また何か変化があるだろうか?
気になりつつ体を動かしに行って、そして帰宅。
今日は久々に母が帰宅する。
8日以来のご帰還だ。
芋虫を見せたら、嫌がるだろうか?
そう思いつつも、芋虫のことを話したくて仕方がなかった。
運動の帰りに母と合流して、帰宅したのは午後四時頃。
芋虫のことを見に行くと、「チシャ」の隣に何か黒い物体が……
え、なんぞ。これ。
なんだかよくわからなかったが、謎の物体がある。
よくよく見てみると……もしかして、脱皮したのだろうか?
相変わらず三匹とも微動だにしない。
細かく舐めるように見つめる。
「チシャ」の前の方についている足が、白っぽい。
記憶している限りでは、そこの足黒くなかったっけ……?
すぐ側にある黒い物体はやはり皮なのだろうか。
数時間後、夕餉の際に食卓の虫かごを覗く。
あれ……? 黒い物体がない???
ないかと一瞬思ったが、あった。
何のことはない、「チシャ」が下敷きにしていた。
その位置はもはや定位置なのか。
「チシャ」の前の方についている足は、再び黒くなっていた。
そして上から覗いた、虫かごの中。
パセリを指したジャム瓶の水に、芋虫の「顔」が浮いていた。
どうやら脱皮した皮の一部が、水に落ちたらしい。
まるで生首が水に浮いているような、その光景。
こわ……っ
夕餉が終わった後、少し時間をおいて食卓の側を通りかかる。
少しだけ大きくなった(気がする)「チシャ」。
やっぱり動かなかった……が、目をやったら「チシャ」が動いている。
うろうろ、定位置から下がっていこうとしていたのだが。
私の気配に気づいたのか、軟らかい体はUターン。
再び定位置に戻る、チシャ。
……やっぱり、人間が側にいたら気になるのかな。
動かないのは警戒姿勢なのかもしれない。
食卓の上に置いておいてなんだが、少しそっとしておこうと思った。