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芋虫日記  作者: 小林晴幸
23/25

6月16日のこと

 「パセリ」は今日も羽化はしなかったらしい。残念。

 一昨日の夜はよく動いたから、私も気が逸っていた。

 だけど羽化の兆候というほどでもなかったのかもしれない。

 焦りは禁物。もっとじっくり構えて羽化を待つ度量が必要なのだろう。

 さっさと潔く、「あ、今日も羽化はなしっすねー。じゃ、明日に期待します☆」と見切りをつけて睡眠時間を確保に走ろう。

 

 全然動かない、蛹。

 それを見ては父母と「このひと生きてるよね?」と尋ねあう。

 確証は持てないが、たまに蛹が動くのを見て「あ、生きてますね」と生存確認。

 「パセリ」は絶賛磔刑中(※蛹ポケット)で卓上植木鉢の上。

 まるで案山子の様にもみえる、その姿。

 虫かごから出したことで観察がよりし易くなり、家族一同で見守っている。

 目につくと、より気にかけてしまうもの。

 昨日はあまり動いている姿を見なかったが、時間を作ってじっくり観察しよう。


 「パセリ」は今日も、結構派手にぴくっと跳ねる瞬間があった。

 それも一度や二度ではなく、しばらく見ていれば確実に見ることが出来る。

 どうやら頻繁に動いているらしい。

 すぐに羽化するわけじゃなくても、その時は近づいているんだろうなと思わせてくれる。

 一方、「セリ」さんは虫かごの中に残留中。

 二匹は厳しい気がしたけれど、一匹なら虫かごの中でも十分羽化できるのではないかと期待している。

 だけど、虫かごの天井に張り付いているのだ。

 見るのは簡単だが……やはり植木鉢の「パセリ」の方が目についてしまう。

 忘れた訳じゃないけれど、「パセリ」ばかりを見つめてしまう。

 「セリ」さんよりも「パセリ」さんの方が先に羽化するんじゃないかと。

 なので「セリ」さんの観察が疎かになっているかもしれない。

 そちらもよく見るよう、気にしないと。


 

 庭の謎の芋虫は、まだ生きているようです。

 餌はすぐに尽きそうだと思ったけど、まだ尽きない。

 今日の天気は雨。

 朝見た時は、雨宿りするみたいにひっそりと葉陰に一匹。

 だけど夕方、家に帰ってみると二匹に増えていた。

 あの……どこから一匹増えたんですか?

 どこかに隠れていたのかもしれないが、芋虫の増減具合が微妙に謎だった。 



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