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芋虫日記  作者: 小林晴幸
12/25

6月4日のこと

 今日は朝から隣あう茎にしがみつき、全く同じ高さに同じポーズで並ぶ芋虫を発見。

 あらあら仲のよろしいことで、とうふふ微笑ましい。

 しかし数分後に見てみると、離れた茎に移動していた不思議。

 朝、彼らが動く光景は稀。

 私がカゴの中を覗いたときは、いつだって不動の姿勢なのに。

 いつのまに動いた、と思いつつ。

 今日も芋虫さん達のカゴを掃除します。


 まだ食っていないものも、あまり長く置いておくのは駄目だろうと勿体なく思いながら捨てて。

 今日はカゴの中のパセリを一新しました。

 しかし花穂が本気で残り僅か。

 新しく入れたものも、量が足りるか不安になるばかり。

 これで一日、保つだろうか。

 帰ってきたら、またお腹を空かせているのだろうか。

 不安に思いながらも家を出ます。

 帰りは夕方、果たして彼らは飢えているのか平然としているのか……



 今日は一日雨が降っていました。

 雨足はそこまで強くありませんが、空気が冷えているのか若干寒く感じます。

 ……私が薄着なだけかもしれませんけどね!

 しかし、家へと向かう帰り道。

 肌寒いな、と思った拍子に芋虫のことが心配になりました。

 あんなに小さな生き物です。

 この季節に幼虫ということは、きっと季節特有の寒暖差にも耐える前提だとは思うけれど。

 寒さゆえに何かしらの支障が出てはいないかと、心配になったんです。

 だから今日も、帰って一番に虫かごを覗きました。

 ……あれ? 「セリ」だけ?

 「パセリ」どこ行った。

 思いつつも、気に留めていなかった場所に視線を移すと……いた。

 こいつ、また蓋のところに登ってきおった。

 虫かごのてっぺんに張り付く芋虫。

 だけど何かがおかしいな、と。

 気付くものがありました。

 あれ? 「パセリ」さん縮んでない?

 委縮しているのか、なんなのか。

 今日の朝、定規で測った時は二匹とも五㎝をオーバーしていました。

 それも虫かごの世話をしている最中に計測したので、ある程度きゅっと縮まっている前提で。

 虫かごにセットして放置して数分後、と比べると、世話をしている最中は明らかに縮まっている。

 なのに。


 虫かごのてっぺんに張り付く「パセリ」は、その時よりも縮んで見えて。


 慌てて定規を当ててみると、なんと驚き四センチ。

 「パセリ」さん!? 脱皮前と同じくらいのサイズに戻っとりやしませんか!?

 何があった、と心配になる。

 虫かごの中に設置したパセリは、あまり減ったように見えない。

 だけど糞はそこそこ落ちているので、何かしら食べて元気でいたように思えるのに。

 「パセリ」さんに何があったの?

 体調不良? それともやっぱり寒いとか?

 あまりの縮みっぷりに心配になります。

 にょーんっと伸びている時には、六センチを軽く超えていそうな感じだったのに。

 

 やがて夕食の時間、食卓の真上の電気をつけて暫く。

 ふと気づくと、「パセリ」さんが移動していた。

 縮こまっているのは相変わらず。

 だけど光を避けるように、蓋の裏側に回っている。

 さっきまでは蓋の開け口に体の側面を曝す形でひっ掴まっていたのに。

 いまでは逆さ。

 上下逆さでパセリからぶら下がっている姿はよく見たけれど、今は天井に張り付くカタチ。

 これはもしや……光を避けているのだろうか?

 考えてみれば昨日も、今日の夕方も。

 パセリが張り付いていた位置は窓のある方向。

 もしかして窓から入る光を避けようとしていたのでしょうか。

 光に照らされていると、落ち着かないとでもいうのでしょうか。

 これはそう思いついただけで、なんの確証もないけれど。

 でもその可能性に思い至ったからには、これは実験せねばなりますまい。


 虫かごに意図的に日陰コーナーを作ってみて、芋虫たちの反応はどうか。

 それをちょっと実験してみようと思います。

 本当は黒い色画用紙があれば一番良いんだけど。

 そんなもんが突然家の中に湧き出すわけもないので。

 ちょっと、材料を模索致しましょう!

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