何も無いという、残酷
皆さんとまにちは。いつも元気とはいえない極紅茄子こととまとです。
短編小説、第なんとか弾。
今回も微ホラーです。
怖いとは言ってない。
何も無い、一日。
何も無いという、残酷な一日。
しかし世は本当に残酷な物だ。
朝、早く起こされ、学校という牢獄に放り込まれ、既に話せる国の言葉を学び、無駄に難しい数を学び、話もしない外の言葉を学び、使うこともないであろう科学を学び、知っても仕方の無い過去を学ぶ。
そして家へ放たれた後、ここでさえも宿題と呼ばれる学びを行う。
しかしこれが、何も無い、一日。
問題など何も無い、一日。
僕らはこの、何も無い一日を生きる。
この世界は残酷。
罪のない人間が死ぬ。
正義を信じ生きてきた者が死に、悪が生き延びる。
何処へ逃げても、何をしても、残酷な運命からは逃れられない。
そう思っていた。
でも僕は抜け出す。
この残酷な、何も無いという残酷な世界を、抜け出す。
そう思いスマホで検索をかけると、出てしまった。
『異次元に行く方法』
これで僕は...新世界で常に面白いことがある世界へ行けるんだ、この何も無い世界を抜け出せるんだ。
しかしこのページを開くと、文はすべてひらがなだけで記述されていた。
ー異次元に行く方法
このぺえじをみているということは、きみはわたしとおなじように、じんせいにあきたために、べつせかいへいこうとしたのだろう。
ひとついって置く。
ぜったいにいかないほうがいい。
しかしどうし手もというもののために、ほうほうをかきしるす。
いち、ごごよじよんじゅっぷん、どこでもいいのでかどをまがり、こうとなえよ。「ラビトウカムヘンゲジイ」
に、かみにおなじじゅもんをかき、よんびょうたったあとに、すぐ野ぶりすてよ。
さん、さらなるせかいへのきたいとゆ眼をしんじ、みちのまんなかにいるろうじんにこうこえをかけよ。「あなたはラピビバダゴドムですか?」
よん、せいこうすれば、「はい」というへんじがもらえるだろう。「いいえ」とこたえられたらきみはいのちのきけんにさらされる。それからよんぷんよんじゅうよんびょういないに、ノートいちめんに「しにたくない」とうめつくしたまえ。きみはもとのせいかつへもどれるだろう。
ご、「はい」というこたえがかえってきたものよ、ついにさいごのだんかいだ。そのろうじんに、「われにいせかいへのかぎをあたえたまえ」というのだ。
てにかぎがあらわれるはずだ。そのかぎをつかって、どこでもいいからどあをあ蹴てみてほしい。なないろのひかりとともに、きみはしんせかいへとたびたつことができるだろう。
そしてさいごにもういちどいおう。このせかいへは、いかないほうがいい。
なんとも怪しい方法。しかし、これで行けるんだ....
僕はドキドキしながら、その時を待った。
時は来た。4:30。
家を出てすぐの角へ向かった。
4:44、時間だ!
「ラビトウカムヘンゲジイ」
ドクンッ!!
急に心臓が締め付けられるように痛くなった。
一瞬で収まったが。
よし、次は紙だ。
...あれ?無い...!紙がない!!
ティッシュ、ティッシュが入ってる!!これに!!
「ラ ビト ウカム ヘン ゲ ジイ」
ドクンッ!ドクンッ!!
さっきとは違う、二度連続で来た。
...!?
さっきまで居なかったはずの道には、1人、こちらを見つめる老人が現れた。
僕が目を閉じたのは一瞬、あのおじいさんがそんな速さで移動できるわけがない。
成功に...成功に近づいてるぞ...!
「あなたはラピビバダゴドムですか?」
そう聞いた。すると...
「はい」
ドクンッ!ドクンッ!!ドクンッ!!!
締め付けられるような痛さが三連続で走る。
近づいてるぞ...これで最後だ...
「我に異世界への鍵を与えたまえ」
ドクンッ!!!!
いぐっ...!!
心臓が痛む、さっきとは違う、100倍ぐらい痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い!!
......痛みが収まった頃には、手に鍵があった。
この鍵で....ついに...
さぁ、もうこの世界ともお別れだ。
皆のもの、せいぜい何も無い世界で無様に氏んでいくがいい。
そして、知らない人の家の扉を開けた。
とても目を開けていられないほどの眩い光で、辺りを包み込んだ。
........
................
着いた...?
辺りは1面白だった。
あれ!?服がない...!でも良いだろう、どうせ僕の胸を見るエロオヤジも、尻を触る変態どもも居ない、1人だけの世界だ。
遂に、あの何も無い世界から抜け出せたのだ。
しかし、周りは白。どこを見ても白。
おかしい...別世界へ来たはずなのに、何も無い。
本当に何も無い世界へ来てしまった。
まさか、ここで生涯を過ごすのか!?
いやだ!!
いやだいやだいやだいやだ!!
いやだ.....いやだああああああああああ!!
何も無い世界での事。
友達と遊んでいる僕。
友達と喧嘩する僕。
親と楽しく買い物をする僕。
親に叱られ、泣いている僕。
学校で先生に楽しい授業を受ける僕。
学校で先生に怒られて、イラだっている僕。
あの人生は、何も無くなど無かった。
毎日別の事が起こり、毎日急変し、毎日が別物だった。
人生に飽きていた僕は、新たな発見、新たな挑戦、新たな冒険、新たな魅力の、全てを忘れていた。
あの人生は、何も無かったのではない。何も、作り出さなかったのだ。
僕は、その事に悔いながら、餓えと疲労で、その場で永遠の眠りについたのだった...
「あぁらら、まただよ、全く。」
ある男性が、この子を車に乗せて、運び出した。
、、、、、
あのサイトの作成者だ。
この世界ではネットなどもちろん使えない。だからPCなど使えない。
しかしこの男性は、100年も前からここに住み、ここで眠りについた人間達を片付ける仕事をしているのだ。
一体どうやって、ネットにあのサイトを作ったのだろうか。
それは、本人にしか分からないこと。
知ってはいけない、知れば貴方もこの『本当に何も無い世界』へ引きずり込まれるかも知れませんよ...
この先、謎解き(?)のネタバレあり
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皆さん気づきましたか?
異次元に行く方法のサイトに、漢字が含まれていた事。
その漢字、見直してみてください。
出てくる順番に並べると、「置」「手」「野」「眼」「蹴」となり、読みは
お、て、や、め、け。
これを並べ替えると、「やめておけ」となります。
...レベル低。