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乖離性存在障害
かいり‐せい‐そんざい‐しょうがい【乖離性存在障害】
身体のあらゆる器官がある日突然一切の機能を停止する疾患。機能が停止した部分は暗紅色の斑紋に覆われ、やがては全身が赤黒い塊となって死に至る。原因も治療法も未だ不明。
僕は 君を愛している
君は 何も映さない瞳で
何も感じない耳で 鼻で 指で
僕を探す
そして 君は
あなたはだぁれ、と
天使のような顔で笑うんだ
じきに君は口もきけなくなるだろう
今こう抱きしめている感触だって
もう君には届いていないかもしれない
でも それでもいい
君の暗闇には
いつだって僕がいる
君がたとえすべてを失っても
僕だけはずっと君の傍にいる
何を捨ててもかまわない
一緒に生きて
一緒に死のう
僕は 僕の持つ五感のすべてで
君の分まで 〝君〟を探そう
〝君〟の分まで 君を愛そう
お題「たとえ何を失っても」で書きました。