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半夏生の夜
月を飲み込む揺蕩いに
小舟が道を作ってく
闇を湛えたこの下に
貴方が待ってるような気がした
夢に貴方がいるのなら
それも一つの現でしょう
「見ていたいんです、この夢を」
片鴛鴦の雌が鳴く
ゆらり、ゆらゆら
水面は揺れる
ぽとり、ぽとりと
波紋は満ちる
泣いてないわと強がったのは
いったいいつのことだったでしょう
朽ちた花冠は緑に沈み
石の体に蔦は寄り添う
消炭の蛍は声も無く
渓流の土塊に消えた
湖上の漣漪に口付けを
互いの枷に抱擁を
流れ着いたこの地で
ねぇ、どうか
悠久の逢瀬を