表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

 外で私達が話していると、物凄いスピートで一台の車が入って来ました。どうやら亭主が、戻って来た様です。

「マダム――――!」

 物凄い大声でマダムの名を叫びながら、車から降りて来ました。亭主はどうやら、熱血の様です。

「わたしのマダムよ!何処へ!」

「あぁ、亭主。マダムでしたら、こちらに。」

 メガネが亭主を案内すると、亭主はマダムの遺体を見ると同時に、泣き崩れてしまいました。

「マダム――――!」

 また叫びます。

「だ・・・旦那様・・・。」

 メイドがそっと声を掛けると、亭主はメイドに泣すがりました。

「おぉ!一体何故!何故こんなことに!一体誰が!」

「今、検察の方と探偵の方がお調べに・・・。旦那様のお話も・・・。」

「聞きたいのだな!好きなだけ聞かせよう!マダムの素晴らしさを!」

 暑苦しいです。物凄く暑苦しいです・・・。

 と言うわけで、私達は改めて息子の部屋へと行き、亭主にも変わった様子はないかと尋ねました。

「特にないな!」

 やはりと言えば、やはりです。

 亭主の話しでは、遅れた理由は渋滞にハマっていたとの事。当然こちらも確認しましたよ。交通情報では、確かに渋滞していました。

 午後一時五十分、会社を出る。その後大通りで渋滞にハマり、今に至る。マダム死亡時午後一時四十分は、まだ会社の自室に居たとの事。それを証明する人物はいないが、会社を午後一時五十分に出る所を見た者は居るとの事。

「息子さんの事で、マダムと言い争いとかは、していませんでした?」

 父の質問タイムが始まります。

「まさか!仲睦まじい夫婦でしたので、わたし達は!」

 全否定です。しかし、逆に怪しかったりします。

「息子さんから、何か連絡は?」

「未だに有りません・・・。この事を知ったら、さぞ悲しむだろう!」

「では、息子さんの家出の原因等に、心当たりは?」

「全くありません!」

 そこは自信満々で言う所では、無い様な気がします。

 あれ?よくよく聞いてみると、父は亭主に息子の事ばかりを聞いています。これは一体・・・。

「では、息子さんが行きそうな場所とかに、心当たりは?」

「探しました!全て!学校も図書館も塾も!大好きだった海も!しかしいませんでした!」

「そうですか・・・。」

 もしやとは思いました。父は息子を疑っているのでは・・・。

「以上です、ありがとうございました。」

「え?もう終わりなんですか?」

 驚くメガネでしたが、父の尋問はいつもこんなものです。嘘つきは自然と分かるそうなので。ですが今回の父の考えは、流石の私も少し分かりません。息子を疑う気持ちは、写真から言っても、私にも有ります。しかし、メイドの証言や、亭主のアリバイにも疑わしい点が有ります。

「これからどうするのですか?」

「取り合えず、周囲の聞き込みからでも始めよう。ここの住人の証言は信用ならないからな。」

「聞き込みですかぁ・・・。」

 物凄く面倒臭いです。聞き込みは余計な世間話まで聞かされるので、色々と厄介なのです。

「面倒くさがるなよ。」

 父に心を読まれてしまいました。ダルマの癖に・・・。


 まず始めに、近所の聞き込みからスタートをしました。まぁ基本と言えば基本です。

 近所の方の話しは、こうでした。

「あの夫婦は、本当に仲がイイわ。よく二人で出かける所を見掛けるもの。」

「あぁ、あの夫婦ねぇ。仲はいいけど、どうも無愛想で好かん。わしは挨拶が出来る人間が好きだ。亭主の方は五月蝿いくらいに挨拶をしてくるが、マダムはなぁ・・・。」

「あそこの息子?余り見ないからねぇ。なんでも、引き籠もりだったらしいわよ。学校にもまともに行っていなかったとか。でもお金持ちだから、家庭教師でも雇ってたんじゃない?」

「この間、喧嘩する声が聞こえたよ。なんかマダムの方が、酷く怒っていたね。喧嘩の原因?さぁ・・・。息子の事だろ。」

 ここに来て、息子の新たな情報をゲットしました!どうやら息子は、引き籠もりで学校にもまともに行っていない様です。おまけに最近夫婦は喧嘩をしたとか・・・。亭主の嘘が一つバレましたね。

 更に聞き込みを続けます。マダム死亡時刻時の屋敷周辺に、怪しい人物等は見なかったかと、聞きました。しかし、この質問に対しては、誰もが「見なかった。」と口を揃えて言ってきます。

 怪しい人物はいなかった。ならば怪しくない人物はどうでしょう?この質問に一人の老人はこう答えました。

「あぁ・・・確かクリーニング屋さんが来ていたのう。ちょくちょくと来る人だから、顔はよく覚えておるわい。」

 なんとマダム死亡時刻時に、クリーニング屋さんが訪問をしに来ていた事が判明です!確かメイドがクリーニングを出しに行ったと言っていましたが、ここに来てメイドの証言に疑惑が掛かりました。

 老人曰く、インターホンを鳴らしても、誰も出る様子がなかった様なので、すぐに帰ってしまったとか・・・。私はこの老人の証言で、犯人が誰なのかが分かってしまいました!私が分かったと言う事は、当然父も分かったはずでしょう。ズバリ、犯人はメイドです!

 マダム殺害後、クリーニング店へ行きアリバイを作ったのでしょう!何故なら、老人曰くクリーニング店は、デリバリーをしてくれるお店だそうで、マダムはいつもデリバリーを頼んでいたとか。だからわざわざ、お店へと足を運ぶ必要はなかったのです!

 ・・・と言いたいところですが、死亡時刻と噛み合いません。だからと言い、メイドが白とは限りませんよ。ここはやはり裏を取る事が大事です。

 メイドの証言が本当かどうか、クリーニング店へとやって来ました。ちなみに父は、メイドが犯人だと、確信はしてはいないものの、疑いはしている様子。

「メイドは何時頃来ましたか?」

 父の質問に、クリーニング店の女性店員が答えます。

「確か、十一時半前位だったかしら。」

 メイドの証言時刻と一致しています。

「いつもはデリバリーで?」

「はぁ・・・。」

「では、何故今日に限って店まで?」

「あぁ、出掛けるついでだからと。」

「こう言う事は、よくあるのですか?」

「えぇ、たまに。まぁ世間話をする目的で・・・が多いですけどねぇ。」

「成程。」

 父の質問タイムは終了です。どうやらメイドのアリバイが、一つ証明されました。

 しかし不思議です。午前中にクリーニング店へと行ったのならば、何故午後にクリーニング店が屋敷へと訪問をしに来たのでしょうか?証言者の老人の話しでは、訪れたクリーニング屋さんは手ぶらだったとか・・・。ならば衣服を配達しに来たわけでもありません。衣服を回収に来たわけでもない・・・疑問です。

 その事について、父ではなく私が鋭く聞いてみると、女性店員は不思議そうな顔をしました。

「あら?お屋敷に行ったんですか?あらやだ。私ったら、今日は必要ない事、担当に言い忘れたのかしら?」

 どうやら女性店員は、マダム宅の地区担当者に、今日は寄らなくていい事を言い忘れたと思っている様子。

「担当の方と、お話は出来ますか?」

「えぇ、ちょっと待ってて下さいね。」

 私の要望に、女性店員は快く答えてくれます。少し良い気分です。

 店の奥から、痩せた青年が出てくると、青年は私達に向かい軽く会釈をしました。

「どうも、マダム宅の担当の者ですが・・・。」

 見るからにひ弱そうで、根暗そうな青年です。こんなに痩せっぽっちで、衣装等沢山運べるのでしょうか?まぁそんな事はどうでもいいとして・・・。早速青年に今日の事を聞いてみました。

「はい・・・行きましたよ。二時に来てくれと・・・携帯の方に連絡が来ましたので・・・。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ