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 事務所内ではあっさりと決まった答えでした。しかし、会合ではあっさりと却下を食らってしまいました。

「当番とか、そう言う面倒臭い事はちょっとねぇ。」

「中々の意見だけど、そこまでしては・・・ちょっとねぇ。」

 結局誰もが面倒臭い様で、私の意見は見事に無かった事に・・・。当然と言えば当然かもしれません。私も面倒臭いですから。

 会合に集まった探偵は十四人。また四と言う魔の数字が取り憑き、出口の見えない意見交換が続きます。

「こうしたらどうだろう。皆が一人一人、義務意識をしっかりと持つ。」

 それは当たり前の事です。

「義務意識が無いから、分別が悪いんだ。それよりもっと結束を高めたらどうだ?」

 競争し合っている探偵同士が、どう結束を固めるのでしょう。

「声を掛け合うって言うのはどうだ?」

 要するに注意をするって事ですね。これは嫌がられる意見です。

「声掛けならしとるわい!他の奴等が見て見ぬ振りをしているのじゃろう!」

 段々と言い争いになって来ました。ああでも無い、こうでも無い。

 あぁ・・・本当にこれが探偵の会合なのかと、改めて思ってしまいます。まるで町内会のおばちゃん達の言い合いです。これ程までにゴミ当番以外に有能な意見が無いとは・・・。

「教授はどう思います?」

 教授と言うのは私の父の事です。父は探偵をする前は、大学の教授をしていたので、周りからは『教授』と呼ばれています。

「わたしは、ゴミ当番は必要だと思うし、それぞれの義務意識も大切だと思うし、結束力も声掛けも、大事だと思うね。」

 今まで出た意見を纏めただけです。しかしその感想とも言える意見は、他の皆を納得させてしまいました。

「成程、確かにその通りだ。」

「当番を決めて、義務意識を持ち、結束し声掛けをする。完璧だね!」

 単純です。バカが付く程単純です。

 一斉に拍手が飛び交いました。これにて無事、今月の会合は終了となります。

 結局結論として、ゴミの当番を作り、一人一人の義務意識を高め、皆で結束をして注意の声掛けをすると言う答えに辿り着きました。そして来月の会合のテーマは、『ゴミ当番をどう決めるか』となったのです。

「いやぁ~、見事な意見でしたな教授。」

 会合後、ヘラヘラと笑いながら私達に近づいて来た、ヒゲの生やしたこの男性が、どうやら私のファンのようです。

「いやいや。ゴミ当番は娘の意見でね。」

「そうだったんですかぁ~。流石、娘さん!」

 全てを自分の手柄にせず、正直に私の活躍を話す父に関しては、好きな一面だと思いまます。

 ヒゲ男は小さく拍手をしながら、私の元へと寄って来ました。

「中々の良い意見を言うねぇ~。助手じゃなくて、探偵も出来るかもよ!」

「いえ、そんな。」

 全くその通りです。自分でもそう思います。他の十四人の探偵達に比べれば、私の方が優秀でしょう。もちろん父よりも。

「じゃ、そう言う事で、握手!」

 そう言って差し出してきた手を、私は嫌々ながらも握手を軽くし、その後スカートの裾で手を拭きました。

「それじゃぁ~また来月にね!」

 ヒゲ男は手を振りながら、やはりヘラヘラした笑顔で去って行くと、他の探偵達も適当に会話をした後、バラバラに去って行きました。私と父も、自分達の事務所へと戻る事にしました。


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