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ぶいひびっ!?

至高の餅つき 〜VRゲームでの日々!? 番外編〜

作者: 如月 和
掲載日:2026/04/13

 え、何でも出来ちゃうのっ!? が売りのフルダイブ型VRMMORPGでる、このゲーム。それがどんなものかは本編を読んでもらえると嬉しい。


 というわけで詳しい説明は省くとして、私は今、拠点としているログハウスにて、のんびりとコーヒーを嗜んでいるのである。


 煎り方だとか、ブレンドの仕方だとか。様々な要因で味わいが変わるのが魅力であるコーヒーなのだけど、そんなこだわりで味覚が刺激されるわけがないと私は高を括って、テキトーにインスタントと洒落込むのだ。


「このね、入れ過ぎかな? いいや、まだまだ。まだ終わらんよ。って具合を攻めるのがサイコーにテンションが上がると思うの」

「砂糖の話?」

「コーヒーの話」


 血糖値という人間にとって最強最悪の敵を文字通り甘く見ているのが、私がテイムしているお供のモンスターの一人、『もち』である。

 小学校低学年くらいの身長をしている、見た目は女の子のような性別のないモンスター。元々は馬のモンスターだっただけに、走るのは得意な子だ。


 あ、今更だけど自分の自己紹介も念のためしておこう。アオイです。趣味は食事。特技は食事。そこに料理も含まれているから、完全に自己満足で完結できる最強の道楽を楽しむ存在なのであーる。


「うっわ、攻めすぎた。苦い」

「それは大変です! ご、ご主人様が大変なことになってしまいます! さ、砂糖を、砂糖を入れなくてはっ!」

「そうして大量に入れて、私が飲めなくなったところを自分が飲むんでしょ? 面倒臭がらずに自分で淹れなさい」


 はーい。と肩を落としてキッチンへ向かう姿を見送って、私はほどほどに砂糖を入れたコーヒーを楽しむ。


 もう四月も中頃、か。花見のシーズンは終わってしまったから、食事を楽しむ動機づけがなかなか見つけにくいんだよなぁ。


 昔のお酒の歌ではないけれど、四月は花見で食事が楽しめるのだ。二月は節分で豆を食べたり、三月はひな祭りでちらし寿司を食べたり。


 何気に、楽しいイベントは上旬で終わってしまうような気がするのだけれど、それは気の所為? 誰かの陰謀?


 だから私は、常々考えるのだ。新たなグルメ日和を考えたいと。


「プレミアムフライデーが、もっと頑張ってくれればよかったのに」


 そう愚痴を言ったところで、広まらなかったということは受け入れられなかったということなのだろう。


 でもさ、プレミアムフライデーにはもっとこう、夢とかロマンがあると思うのだ。そう、例えば花見だとか、節分だとか、そういうこの日だからこそこれをやろう。そんな定番が上手いこと作ることができたのなら……。


「フライか、カレーか。それが問題だ」


 フライデーだけにフライを食べる。金曜日だけにカレーを食べる。そう、私はそういう物を望んでいる。


 あぁ、その二つを組み合わせて、カツカレーと最高じゃないか。だって、プレミアムだよ? プレミアムなフライデーだよ? まさにカツカレーじゃん。


「揚げ餅と餅カレー?」


 その言葉通り、戻ってきたもちは大の餅好きだ。名前から引っ張られたのだろうか。そこは名付け親として不覚だったかもしれない。私は、餅はそこまでだからなぁ。顎が疲れるからいっぱい食べられないんだよなぁ。


「カレーに餅を入れるの? 煮込んでいるときにドロドロに溶けちゃうでしょ」

「それもまた良し」


 良くないと思うけどなー。なんかこう、餅が溶けた味がしそう。


「焼いた餅を添えるとかで良いんじゃない?」

「ご主人様は良いことを言いますね。よし、やろう」

「ご自由に。カレーはストックしているから、ログハウスのアイテムボックスに入ってると思うよ」

「つきたての餅が食べたいのです」

「それもあるんじゃない?」

「アイテムボックスに入れた餅がつきたてであるはずがない件」


 ライトノベルみたいな言い方。


「じゃあ、ご自由に。外に誰かしら居るだろうから、誘ってついてきな」

「美味しい餅をつくためには、最高級な臼と杵が必要だと思うのです」

「思いません」

「なーにー! やっ――」

「それが言いたいだけでは?」


 しゅんとした彼――彼女? を笑いながら、私はカップに口をつける。


「いいかい、もち。大事なのは最高級な道具じゃない。誰とつくか、でしょ?」

「プロがいいと思います」


 うん、それには絶対に敵わないね。所詮、理想論はプロには敵わないのです。……いや、そういうことではないんだけどね。


「この子は。思い出を作る気概というものがないのかね」

「作るときは楽しくても、食べた時にがっかりはしたくないです。最後まで満足たっぷりを目指してこそ。ご主人様は、そうは思いませんか?」


 思うような、思わないような。


「じゃあ、プロの作った餅でも食べに行く?」

「良いんですか!? わーい。やった。つきたてのお餅が楽しめます」


 さて、ここで少し悪戯心だ。最高級な臼と杵、そう言っていたこの子は……。果たして、プロが電動餅つき機で作った餅でも満足できるのか。


 プレミアムフライデーとかけて電動餅つき機と解く。その心は、どちらも言われてみないと気が付かない。お後と覚悟はよろしいかな?

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