表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

鬼神と空狐


翌朝、一花(いちか)香苗(かなえ)

一緒に登校をし教室までの階段を上ると

廊下まで続く女子生徒の行列に

一花は、香苗の顔を見た。


「転校生のファンクラブの列らしいよ。

花嫁アピールしに、朝早くから並んでるみたい」


「何だか、すっごい光景だね」


一花は、苦笑いしながら、香苗と一緒に

教室の中に入り、自分の机に鞄を置こうとした。


「どいて!邪魔よ!」


体を押された拍子にバランスを崩した。

一花が、危うく転倒する所で

(けい)が、咄嗟に一花の体を支えてくれた。


「頭打ったりでもしたら、一花の馬鹿が

加速されても、困るしな」


圭がクッと、一花を見て笑うと

顔真っ赤にして一花が怒った。


「馬鹿じゃないてばっ!」


朝の恒例の夫婦漫才が始まったと

一花のクラスの皆が、囃し立てる。

予鈴が鳴り、自分の席に戻ろうと振り返った。


雪が突然、一花の手首を掴むと

一花を見つめたまま、掴んだ手を離さなかった。


「手、離してもらえますか?」


一花が、手を離そうとするが

雪の力が強くて、痛みが走り顔が歪む

一花の顔みた雪がハッとして手を離すと

無言のまま教室から、出ていってしまった。


「一花の手、大丈夫?」


「うわっ!手首が、赤くなってる」


「一花、保健室行って、湿布した方がいいよ。

私も、着いて行こうか?」


香苗が心配そうな顔で、一花を見ていたが

首を横に振ると、一人で保健室に向かった。

手当が終わり一花は、教室に急いだ。


中庭の真ん中で、仁王立ちで立ってるのが見えた

一花が、目を細めて見てみると

赤い髪が風で揺れる、背の高い男が立っていた。


物陰から、大男を観察していると

一花の気配に気付いたのか

大男がこっちに向かって、歩いてきた。


「おい、そこの人間!雪は、何処だ?」


「えっ?それって、白銀の髪の毛の妖かな?」


「そうだ!そいつだ!小娘、奴は何処だ!!」


いきなり、一花の肩を掴まれ

その力が、尋常じゃなく

肩の骨がミシミシと嫌な音を立てた。


あまりの痛さに、反射的に彼の頬を一花が叩いた。


「あ、あのごめんなさい」


頭を下げて謝る一花だったが

彼の表情と顔付きが変わり、妖力を放った。

ガラス窓が、ガタガタと震え

校舎の柱がミシミシと音を鳴らしていた。

授業中にも関わらず、その凄まじい妖気に

生徒の悲鳴が学園中に響き渡っていた。


騒ぎに気付いた雪が、一花の前に立ち塞がった。


「雪、1000年ぶりだな!

腑抜けた、無様なお前の顔を拝みに来てやったぞ!」


「誰だお前?」


「は?」


「ははっ……ふはははっ!」


雪に冷たく返され、気が触れたのか

お腹を抑えて笑ってる妖に

一花は妖って、笑いのツボが浅いのかなとか

すぐ笑うのが、妖なのかなと思って二人を見ていた。


「私の後ろに隠れていて。」


雪が、小さく何か唱えると

透明な繭が一花を、優しく包んだ。


「何だその女は?新しい、嫁か?」


サッと一花の視界を遮る雪。

実は、優しい妖なのかな?と、雪を見つめていた。


騒ぎに気付いた、香苗(かなえ)

(けい)が、とんでもない光景を目にして

足がすくんで、その場で固まっていた。


「俺の名前は、三大妖の鬼神の宿儺(すくな)だ!

どうだ、名を聞いて思い出しか?」


雪と今まで、戦った話を聞かせていたが

やはり思い当たる節がなく、雪が顔を上げた。


「お前なんか、知らん」


「ほう……。じゃあ、思い出すまで、ぶっ殺してやる!」


口から大きな火の玉を吐き出すと

1つも火の玉は、一花には当たらず

校舎の至る所に、火の玉がめり込んでいた。


当たりは、粉塵と土埃が舞って

瓦礫の山になっていたが

一花だけは、制服も体も綺麗なまま

雪の後ろで、立っていた。


先生が慌てて止めに入ったが

三大妖の二人には為す術もなく

これ以上の学園の被害だけは

避けたいが為に、私まで亜空間に飛ばされた。


(何で、私まで?)


宿儺(すくな)が妖力で

一花を吹き飛ばそうとしたが

雪が一花を、結界で包んでいて

何の影響なく、雪の後ろで佇んでいた。


「ちっ、めんどくせぇ狐だ!」


ますます激しさを増す

三大妖、鬼と妖狐のぶつかり合いに

亜空間が、歪むほどの妖力と爆風に

一花が、眼を閉じて耐えていた。


「カンナ、一花を死ぬ気で守れ」


「若様、仰せのままに」


雪の影から牡丹の着物を着た

狐の妖が大きな結界を作った。


「さあ、一花様こちらへおかけ下さい」


結界の中へ案内されると

アフタヌーンティーセットが準備されていて

一花の好きな、苺のスイーツにアップルティー

その光景に唖然としながらも

椅子に座ってみると、ふかふかの椅子に

一花は驚きを隠せずにはいられなかった。


「一花様、時期に、終わりますので……」


一花に笑いかけると狐の妖の耳が左右に揺れたり

尻尾が左右に揺れるのを見て

一花は、カップをソーサーに置いた。


「あのー、1つお願いが……」


「はい!一花様、何なりとお申し付けください」


頭を下げる狐の妖に、一花が笑顔で答えた。


「耳と尻尾、もふもふして触りたいです!」


一花の声が、亜空間に響き渡ると

雪が、ピクッと反応した。

一花の警護の狐の妖をギラッと睨み

ヒッと小さく呟くと激しく手を振りながら

狐の妖が首を横に振った。


「も、も、申し訳ないですが

私ではなく、どうか若様にしてください」


冷や汗をかきながら頭を下げる、狐の妖に

一花は、彼も狐だし触ればもふもふなのかなと

妖の狐に聞いた。


「若様の耳とか尻尾とかも、もふもふ出来るの?」


激しく首を縦に頷きながら、一花に進言した。


「一花様、勿論でございます!

大変喜びますので、勝ったご褒美に如何でしょうか?」


雪のどす黒い妖力が妖の狐に、浴びせられて

狐の妖の顔色は、見る見る青白く変わり

いつの間にか、変化が解けてしまい

白い狐に変わっていた。


「もし、勝ったらもふもふしてみようかな?」


一花の一声に、雪の周りが青い炎に包まれ

制服が、雪紋様の白衣(しろころも)に変わり

長い白銀の髪からは、耳がぴょこんと顔を出し

瞳は赤く染まり、尾が九本に増えた。


空狐(くうこ)の姿を初めて見た一花が

飛び跳ねながら、雪の姿を可愛いと叫んでいた。


「悪いが、勝たせてもらう」


「お前の欲求だけに、空狐に、化けやがって!」


扇を広げ口元を隠しながらニヤッと

宿儺(すくな)を見て笑いかけると

吹雪が、宿儺の体を凍らせようとした。


「終わりだ」


扇を振り下ろそうとした時

突然誰かに抱きつかれ、雪が視線を落とすと

そこには、ピンクの髪色の少女が

雪の腰に抱きついて離さなかった。


「雪様!お会いしたかったですわ!」


パッと顔を上げて、笑顔で雪を見ている。

妖の女の子かな?と一花は結界の中から見ていた。


「退け」


雪が、妖の女の子を突き飛ばすと

宿儺が立ち上がり雪を睨むと、怒号を飛ばした。


「てめぇ!俺の妹を、いつも邪険にしやがって!」


角がさらに大きくなり、バキバキと体が

大きくなると、宿儺は鬼神(きじん)に変わった。


「それにしても、獣臭いわね」


チラッと、一花に気付くと

宿儺の妹がフワッと飛んで見せると

結界の前で、立ち止まった。


「こんな、脆い結界なんて」


指でシャボン玉を割るように

宿儺の妹が結界に触れるとパリンと割れ

一花は、宿儺の鬼神の熱風を吸い込んでしまい

喉がやけるような痛みに耐えきれず、倒れた。


「一花!」


雪が叫ぶと一花の元へ、飛んで走り

人間の女を大事そうに抱き上げる姿を見て

宿儺の妹が、苛立ちながら爪をガリガリと

噛じると、苦しむ一花を睨んでいた。


「雪様、そんな人間なんて、ほおっておいて

よければ、あちらで花見酒でも」


一花が熱い熱いと喉を押さえて苦しむ姿に

雪が、急いで自身の妖力を混ぜた冷気を

一花の唇にそっと、雪の唇が交わるのを見た

宿儺の妹、朱音が髪を掻きむしり奇声をあげながら

自分の頬に爪を立てて引っ掻くと、血が頬を伝う。


「この女は、またしても、私の邪魔をするのですか!」


激昂し、叫んだ朱音は

鬼の妖力を使おうと手を挙げた。


一花だけを見つめる雪は、低い声で呟いた。


「殺されたくなければ、この場から今すぐ消えろ」


一花の意識がなくなり

雪の腕の中で、眠っていた。

体の中の熱が引いていること

抱きしめて確認すると、雪はホッと安堵していた。


一花を抱き上げ立ち上がると

亜空間を、扇で切り裂き

そこに現れたのは、雪の住まう妖狐の屋敷だった。


「これで終わりとは、言わねえよな?」


宿儺が、鬼神の妖力の塊を手で圧縮し始めると

首だけ動かして宿儺を睨みながら


「次、一花に何かしたら、本気で殺す」


雪の底知れない殺気と妖力を

宿儺に浴びせると、鬼神の姿の宿儺でさえ

体が硬直し膝から崩れ落ちるように

膝をついて、その場から動けなくなっていた。


雪は、壊れ物を扱うように

一花を優しく抱きあげたまま

屋敷の入り口が開くと、中に入って行き

亜空間の裂け目は、綺麗に元に戻っていた。

急に真夏日に変わり、暑さに弱い作者は早くも

バテ気味のお昼すぎι(´Д`υ)アツィー。


書きたいことがなかなか、まとまらず

書いては消して、書いては消してを繰り返してると

指が、つってしまいそうになる作者(笑)


高評価、リアクションスタンプ、ブックマーク登録

まだの読者様是非、応援よろしくお願いします!

↓↓↓1番下に評価など、あるので↓↓↓

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ