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都合のいい嘘

【後日談】今回の件、表向きには──

「ただの酔っ払い同士のプロレスごっこ」

……として、処理された。

鉄くずの飛び交う激突も、ギアの火花も、少女の叫びも、すべては「ちょっと派手なじゃれ合い」だったと。工事現場の管理記録にも、そう記されている。

それを見た時イブキ達3人は呆気に取られた。

誰かが、都合のいい嘘をついてくれたのだ。

ナツメの件もそうだ。

ナツメはカイヅカの一室に運び込まれた。骨にきしみがあり、蒸気管も歪んでいたけれど、フェルとイブキが徹夜で調整してくれた。スピナは「あとで請求書を回す」と笑っていたけれど――

応急処置ではあった、これから本格的に手を加えるらしい。アスマが力を貸してくてるようだ。

結局、工房ごと「割増料金」としてフェルたちに譲渡された。カイヅカという建物そのものが、名目上、彼女たちのものになった。

ナツメの管理権は、レイグから外された。契約も、監視も、指揮権も――すべてが「不要」だとされて。


誰かが間に立って、すべてを「日常の延長線」に押し戻した。それは、無責任な大人の論理かもしれない。けれど、ナツメを――そしてリリを、守ろうとした“誰か”の意志でもあった。

今回の件に、政府は関わっていない。その裏には、民衆の署名と、議員たちのサイン、そして最後に記された──ノアの名があった。


難しい話は、きっとあとで“大人たち”がやる。

だから、今だけは、“子供時間”を奪わないでほしい。

彼らはまだ、戦いの意味すら測りきれぬまま、壊れて、守って、走り続けてきた。

恋も、夢も、何も知らずに。

この街でようやく立ち止まった、その背をどうか、見守っていてほしい。

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