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第23話 霧野 透花-きりの とうか- ②
霧野透花は、彼らを見ていた。
私の死によって変わる人たち。苦しむ人たち。
それでも、前に進もうとする人たち。
夢莉は、それが許せないと言った。
「透花、あなたは、それで満足なの?」
「彼らが前を向くことを、許すの?」
私の死の影響を受けて、落ち込んでも苦しんでも、彼らは、未来に向けて立ち直っていった。
「ねえ、夢莉。
あなたは、私のために怒ってくれるけど。」
「復讐したい——
それは夢莉が思っていることでしょう?」
夢莉が話してくれた人達の話は、全て夢莉がそう感じてたという物語。
夢莉が見えた世界だけが真実じゃない。
きっと、夢莉は自分がそうだったからこそ、きっと私と同じなんだと思い込んでいた。
でも—
きっと、私は復讐したかったわけじゃない……
私の死が、誰かを苦しめるためのものじゃなかったなら。
——じゃあ、私は、なんで死んだの?
私は、彼らの変化を見ていた。
ただ、見ているしかできなかった。
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