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まさかの陰謀説!

レオナルドから話を聞いて、サーッと血の気が引いた。


まさかのまさか!

現王太子殿下を失脚させて、第三王子を担ぎ上げようなどという陰謀が企てられていたとは!


私とっては、全く思いもよらないことだ。

だって、誰が見ても聡明、且つ、品行方正。非の打ち所がない王太子殿下。

その対抗馬が、この我儘王子のレオナルドだなんて!


「これは・・・由々しき事態・・・でございますわね・・・」


それにしても、何故、()()()()であるレオナルドが・・・。


「ロベルト兄は、母君の身分が低いからな。いくら第二王子と言え」


私の疑問に気が付いたのか、レオナルドは先に答えた。


そうなのだ。

第二王子の母君は現皇后ではない。しかも、現国王の側妃でもない。王室仕えの侍女に産ませた王子。侍女とは言え貴族であるものの、御子を成しても側妃に召されなかった。

そこまで国王の気持ちを掴めなかったのだろう。気の毒だが、気まぐれの夜伽相手に近かったと言える。

そう考えると、親もクズだ。おっと、これは声に出したら絶対ダメなやつ。


そして、さらにレオナルドが担ぎ出される格好な理由は、彼の母君にある。

彼女は現皇后。そして、王太子の母君は前皇后。彼女は既に儚くなっているのだ。


つまり、彼ら三人は異母兄弟。

そして、彼らの中で現在一番強い後ろ盾を持つ者はレオナルドなのだ。


「あの・・・、まさかとは思いますけれど・・・、殿下、そのようなお話に乗る気じゃ・・・」


「そんなわけあるか!! 俺は王太子である兄上に忠誠を誓っている!」


「ですわよね」


私はホッと胸を撫で下ろす。

彼ら三兄弟は、母親は違うが仲の良さには定評がある。特にレオナルドは長兄フェルナン王太子殿下に良く懐いているのだ。ブラコンと言ってもいい。


「よろしゅうございました・・・。王太子殿下はフェルナン様こそが相応しいですもの。あんなに素晴らしいお方は他にはおりませんわ。あのお方こそ、国王の器を兼ね備えておられます」


「ふん、よく分かっているじゃないか。そうだ、兄上はすごいお方だ」


レオナルドは腕を組み、ドヤ顔で胸を張る。


「兄上こそがこの国の王に相応しい! 当然、俺はその陰謀を阻止するつもりだ。そのためにはまずは情報を集めないといけない。奴等を挙げるにはまだ決定的な証拠が無いからな。一先ず、娘たちを泳がせていたんだ」


ウンウンと頷きながら説明するレオナルド。


「でも、先にあっさり、いとも簡単に罠に嵌っていたら意味無いのでは? 敵は泳ぎ放題ですわよ?」


「・・・」


「それにしても、あんなに素晴らしい王太子様を差し置いて、殿下が王太子ですって? なんて末恐ろしい・・・」


「・・・」


「わたくしは断固反対ですわ。お国の為、民の為を思えばこそ。絶対阻止しなければ」


「おい・・・」


「こんなクズ王子が未来の国王ですって・・・? 冗談じゃないわ」


「おい、聞こえてるぞ・・・」


「有り得ない! 世も末じゃない、そんなの!」


「聞こえてるってんだ!! このクソ女!」


「誰がクソ女ですって?!」


私は足元で怒鳴る二歳児を睨みつけた。


「お前だ、お前! 他に誰がいる?! 」


レオナルドはビシッと私を指差して叫んだ。

もうこうなったら私たちは止まらない。いつものように喧嘩が始まるだけだ。


「はあ? では、そのクソ女に助けられた殿下って一体何者ですの? クソ以下なのではございませんこと?」

「な! お前! 一体、誰に向かって物を言っているんだ! 俺は王子だぞ! 身分を弁えろ!」

「まあ! これはこれは失礼しましたー! いつもの殿下とかけ離れたお姿にうっかり王子様だと失念してしまいましたわぁ!」

「こ、この・・・っ! 無礼者!」

「殿下こそ、一体誰に向かってモノをおっしゃっているのです? 命の恩人ですわよ、わたくしは!」

「うっ・・・」

「婚約者でも何でもない貴方様を助けて差し上げたのですよ?」

「そ、それは・・・」

「もっと礼儀と礼節を持ってわたくしに接してくださいませ!」

「くっ!」

「あらら? もしかして、おチビさんにはちょっと難しかったかしら~? ちゃんとお利口さんにしてちょうだいって言ったのでちゅよ~、分かりまちゅかぁ~?」

「こ、こ、この・・・っ、貴様・・・!」


言葉に詰まったレオナルドは真っ赤になってプルプル震えている。

一ラウンド目は私の勝利ね。ふんっ、ざまを見!


「貴様・・・。エリーゼ・・・、覚えてろよ・・・、元に戻ったらその時は・・・」


悔しそうにギリリッと歯を喰いしばり、私を睨みつけるレオナルド。

懲りずに第二ラウンドに突入するつもりか?



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