↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役無能女帝に成り代わって今度こそ推しを幸せにします!  作者: 永久保セツナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/32

第1話 難易度の高い乙女ゲー

「ホントありえない! なんなの、このゲーム!」


 桜木(さくらぎ)鈴華(すずか)は怒りのあまり、コントローラーをテレビ画面に叩きつけたい衝動に駆られた。


 ここは大学の敷地内にあるサークル棟の一室。彼女は創作サークルに所属していて、大学の講義がないスキマ時間にはよくここに足を運んでいる。

 この部室には卒業生が寄贈した小さなテレビと、在学生の有志が持ち込んだゲーム機が置かれていて、みんな思い思いのゲームソフトを持ち寄って遊んでいた。


 そこで鈴華が何のゲームをプレイしていたかと言えば、いわゆる乙女ゲーだ。世界観は中華ファンタジーで、プレイヤーは皇族のひとりに戦績の褒美として与えられた美女を主人公として操作し、攻略対象は「四皇子」と呼ばれている、皇子の四人兄弟。鈴華の推しは主人公が褒美として仕えることになった次男の皇子である。


 ただし、このゲーム、かなり厄介な設定になっていた。

 まず、主人公と攻略対象たちが暮らしているこの国自体がゲーム開始時点で既に傾きかけている。傀儡(かいらい)として側近たちに操られている無能な女帝は残忍な性格で、処刑の際には毒蛇のプールに受刑者を突き落としたりムカデや毛虫などの害虫を無理やり飲ませたりとやりたい放題。そして女帝の魔の手は四皇子にまで伸び、皇子たちは次々と殺されていくのだ。生き延びるルートに入っても様々な要素が複雑に絡んでいて、敵国に侵攻される、民草が暴動を起こすなど多彩なシナリオの全然嬉しくないバリエーションが多数用意されており、どのみち国は滅びてしまうのであった。誰とどんな恋をしてもほとんど悪役無能女帝のせいでバッドエンドを回避するのが難しいという鬱ゲーである。あまりにも攻略難易度が高すぎて、鈴華はとうとう音を上げてしまったところなのだ。


「マジでこの女帝さえいなければよォ〜!」


「なに、前情報無しにこのゲームやってるわけ?」


 イライラでとても人様には見せられない顔をしている鈴華に、後ろから見物していた女友達が話しかけてくる。


「おうよ、ゲーム屋で見かけたパッケージの推しに惚れて即パケ買いよ」


「攻略サイト見ればいいじゃん」


「やーだー、自分の目で展開見なきゃつまんないー!」


 そう言いつつ、ゲームの中の推しはもう十回ほどは死んでいる。鈴華は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「あっそ、じゃあせいぜい推しを救えるように頑張りな。ほら、そろそろ昼休み終わるよ。今日一緒の講義でしょ、早く行こ」


「はーい」


 鈴華は唇をとがらせながらゲームソフトをパッケージにしまい、カバンに入れた。きっと、彼女は講義を聞いている間もゲームの攻略方法について考えることになるだろう。どうしたら推しを救えるのか。自分はいったいどこで間違えたのか。あの選択肢を選べばよかったのだろうか? そもそもこのゲームにハッピーエンドなど存在するのであろうか……?


 そうして、日常から頭の中をその乙女ゲーに支配され、ゲームにのめり込みすぎた彼女は、不思議な体験をすることになるのである。


〈続く〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。