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黒の怪奇譚  作者: 黒羽冥


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お盆にはこんな話を。

さあ。

そこのあなた、よくぞここに来てくれました。

これから語るのはあなたに起こる出来事。

◇

◇

◇

あなたが今いるのはこの地で有名な心霊スポット。

辺りは生暖かい風が多少吹いているジメジメした場所。

するとあなたの目の前に古い建物が見えてきました。

うっすらと肌が汗ばむような空気。

だけれど、あなたの足も熱気からフラつきがちになっていた。


「あつい。」


ついつい言葉が出てしまう。

いつしかあなたの目の前には古い旅館の入り口に立っていました。


「ここが……例の心霊スポット……。」


玄関口から中に目をやると中には薄っすらと月明かりが射し込んだ場所が所々に視界に入る。


(これって行かなきゃいけない……のかな?)


だが…なぜかあなたの足は前進してしまう。

一歩…また一歩。

あなたの足は建物の中に吸い込まれるように立ち入っていく。

建物の一階…ここは旅館の受け付けのあるロビーだろう。

近くには受け付けがありそこでは以前は多くの笑顔があったのだろう。

だが今は見る影もなくボロボロのカウンターがあったんだ。

カウンターの下から何か出てこないよね?

そう考え覗き込もうと身を乗り出してみると。

何もいない……だけど真下から何かの視線を感じる。


(誰か……いる?)


汗が背中に感じる……あなたは視線を移していくと。


「ひっ。」


思わず声が漏れるもそこには何もいなかった。


(なんだ……今のは?)


そう思いながらも自分の足は次なる場所を目指していく。

◇

あなたの足は先に進みます。

ロビーからはどうやら地下を目指しているようです。

地下に行く為の階段を目指したあなたは遂に地下への階段に辿り着きました。

地下への階段には更に光りは届かず灯りはあなたの懐中電灯のみです。

すると…真っ暗な階段の入り口からすーーーっと風が吹いてきました。

それは生温かくあなたの頬に触れるように通り過ぎていく。

その風はあなたが背中を汗ばませていく。

そしてあなたは階段を一歩…また一歩…降りていく。

聞こえるのは自分のギギギという足音。

時折パキッと何かが折れた音も聞こえる。

あなたの足はそれでも前進させる。


ギギ………………。

パキパキっ。


音だけが建物内にこだまする。

まるで黒い穴に吸い込まれていっている様な感覚。

自分の周囲も先程より光りが届かなく深い闇に降りていくあなたの身体。

一歩また一歩降りていくと……この階段の軋む音が恐怖感を煽ってくる。

地下に降りていくと風も先程より入ってこない。

その為蒸し暑さは倍増し汗が止まらなくなる。

額からも汗がぽたぽたと落ち始めてくる。

あなたの背中につつーーーっと流れ落ちる汗の感覚を感じる。

ギギギという足音と汗ばむ蒸し蒸しという感覚は不快でしかない。

湿度も凄いのか…かなり息苦しくも感じる。


はぁ……………はぁ…………………………。


ゆっくりと前に進むが徐々に戻りたいという感覚にさらされていく。


ギギギ…………パキっ。

ガタッ。


自分の足音と何か……得体の知れない音。

その音にじわじわ恐怖感を感じてくる。


すると。


背後から誰かの声が聞こえてくる。


『………………………て。』

「えっ!?」


ふと…自分の足が止まる。

今……確かに……誰かの声が聞こえた気がした。


この旅館では十数年前……殺人事件が起こったらしい。


それからというもの。

ここでは奇妙な声と音が聞こえるらしい。

だけど時折。

霊の目撃情報…そしてふざけて行った者が取り憑かれそうになった。

そういう事例もあったらしい。


あなたは何かに誘われるように…今ここにいる。

どうして?

分からない。


そして、今あなたが後ろから誰かに肩を叩かれた感覚。


その時。


あなたが振り返ると…そこには。






『うぅぅぅぅぅぅ……ぁぁぁああああ…………。』






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― 新着の感想 ―
[良い点] ぎゃー。何でそんなところ行っちゃったのー(´;ω;`) この誰も居ない中、一歩一歩、奥に進んでいく描写……。思わず没入して、一人称視点になっていました。 臨場感がありますね。 まるで自分が…
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