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黒の怪奇譚  作者: 黒羽冥
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おりん。

「……という話が大昔にありましてね?」


それは、住職が私にしてくれた昔話。

だが…これはこの寺にずっと語り継がれてきた話らしい。

私の背筋にゾクッと悪寒が走る。

この深夜…そして辺りに住職という人間一人しか存在していないのだ。

これは私にとって話だけでも恐怖しか感じられないのだ。


「でもね…この寺の当時の住職はおりんのあまりにも不可思議で…そして悲しい悲劇に心を痛めていたと言うのです…そして…なんとおりんを人形にしてしまった人形師の男は不可思議な病にかかり死んでしまったらしいのです。」

「おお…そうなのか。」

「おりんもわけも分からず人形に閉じ込められたのです…その怨念が人形となったおりんが呪い殺した…と語られてしまったのです。」


私は絵にも言われぬ気持ちになってしまっていた。

すると再び続ける住職。


「さて…お嬢様…この話は伝説となっているのですが…この様になんらかのきっかけでお嬢様の御友人も…もしかしたら…そのぬいぐるみの中に魂ごと入り込んだのかも知れませんね。」

「なんと…やはりそう思うか?」

「ええ…結局…おりんは人形の中に閉じ込められ…出て来れませんでしたが…もしかしたら…お祓いをする事でなんらかの原因を突き止め…そして、もしかしたら御友人に何かが起こるかも知れません…どうです?お祓いをやるだけやってみましょうか?」


住職はそう問いかけてくる。

私の心はこの寺に来る時点で決まっている。

私は仁を…仁を救うのだ。


「是非とも!!お願いします。」

そして本堂の最奥に来た私達。

そこにはぽぉーっと灯りに照らされた何かが見えてくる。


「あれは!?」

「はい…実はあの人形こそが先程の話の中の『おりん』の人形なのです。」


この静寂の中に不気味に見えるその人形。

そう…これはかなり大昔の物なのだろうがあまりにも綺麗な状態…そしてあまりの美しさに私も見とれてしまう程だ。

黒く長い髪…白く美しい肌……この人形…日本人形にも関わらずまるで人間の様に温かみのある肌に見えてくる。


「これは…美しい。」


私はあまりの美しさについ見とれてしまっていた。

すると住職は呟く。


「そうでしょう?故にいつ動き出してもおかしくないと言われる人形でもあるのです。」


そして…突然その人形は口を開く。


『わ、た、しは、おりん……。』


カタカタと人形は機械音だろうか。

そんな音を立てながら声をはきだしたのだ。


「なっ!?本当に…動く……とは。」

「お嬢様……実はこれまでも数度…この私も声を聞いた事はありました…ですが…何か…様子が。」


住職はそう言うと…おりん人形の首が急に回り出す。


「えっ!?首が!!??」

「これは…なんだ!??」


私たちは驚き声に出してしまう。

カラカラと回転するおりん人形の首。

すると、聞こえてくるのはおりん人形の声。


『ギ……ギギ………グギギ。』


恐ろしい声をあげているおりん人形。

そして徐々に人形は私の方に首をカタカタ回しながら向かってくる。


「なにっ!?」

「お嬢様!逃げるのです!!」

「えっ!???」


次の瞬間。


おりんの首が高速回転しはじめる。


『アガァ…アガガ……ンギッ!!!』


そんな声が聞こえたかと思った瞬間。

飛んできた首。


「お嬢様!!!!!???」

「キャッ!!!??」


私の身体を突き飛ばしたのは住職だった。

そちらに目を向けると腕に傷を負った住職。

そして腕を抑えながら住職は叫ぶ。


「お嬢様!!お逃げください!!!」

「えっ!?でも」

「早く!!!!!」

「はい!!!」


私は仁を抱えながら踵を返し…走り出す。


「はぁはぁ…はぁはぁ……くっ!?」


息を切らしつつも止まる訳にはいかず走る私。

目指すは車の元だ。

このままでは住職まで…助けを呼ぼう。

私は林の中を走る。

車はこの林を抜けた先なのだ。


「はぁはぁはぁはぁ……このままでは全員が…やられる。」


私はそう口にしながらも前を向きひたすら走る。

次第に息もきれてくる…そして足もぷるぷると震えてくる。

だがここで止まるわけには。

そう思いながら私は走る。

すると。

足に何かを引っかけた衝撃をうけ私は転倒する。

私の身体はそのまま転がり身体に痛みを覚える。


「うっ!いっ……てて……。」


そして私の背後に寒気を感じた。

そちらに目を向けていくと……。

そこには!!!???








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― 新着の感想 ―
[良い点] こんなことされたらトラウマになります(´;ω;`)部長、仁君のためにすごい。 それと何と言いますか、おりんの人形が美しいがゆえに余計に怖いですね(;´・ω・) おりんさんは怨念を持ってしま…
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