盆の章ーその玖ー
私は一人………先程小屋へと向かったりんちゃん………そしてりょうくん達の後をつけるように歩き出す。
りょうくん達がこの場所を離れて約十五分ほど………きっと彼らはあの建物に着いた事だろう。
私は額に汗が滲むのを感じながら先へと進む。
この島にたった一つトイレが存在した建物。
古い建物だけど簡易トイレだけでは何か心もとなかった私達女子はこの建物を利用させてもらっていた。
消えてしまったメンバーの事を考えるとこの島で一番怪しいかもしれないあの建物を散策してみるのはいいと思う。
私はそう考えここまできた。
りょうくんの行動がどうしても気になった私。
友人達が帰って来なくなった今………あの建物を詮索はしないといけないと思う。
すると私の目の前にはあの建物が見えてきた。
私は建物の入口に立っていた。
そして建物の扉を開ける。
ギギギと音を立てて今にも壊れそうな扉が開いていく。
トイレとして使わせてはもらってはいたけど こうして一人でくるとやはり薄気味悪かった。
私は一歩また一歩中に足を踏み入れていく。
するとどこからともなく声が聞こえてくる。
『いやっ!?やめて!!!』
その声は聞き覚えのある声だった。
そうそれはりんちゃんの声だったのだ。
『りんちゃん!?どこにいるの!?』
私は声を上げる。
『んんんーーーーーーーーーーーーっ!?』
りんちゃんは誰かに口を塞がれたのか、そんな叫びに似た声が聞こえる。
私は声の方へ歩いていくとどこの部屋にも誰も………そして何も無かった。
『りんちゃん!?どこなの!?』
私がキョロキョロ中を見回しても何も、りんちゃん達の姿は見えない。
すると。
『あっ!?いてっ!?』
『ハアッハアッ!!たまきちゃん!?下なの!!!奥の部屋に階段が!?いやああっ!?』
りんちゃんの叫び声。
私はすかさず奥の部屋にいく。
するとなんとテーブルが置いてあった下に地下に降りれそうな階段があるのを見つける。
『あそこね!?』
私は階段を降りていく。
そして奥に光が漏れている部屋を見つける。
『あれね!?』
私はそこまで行き部屋の扉を開ける。
するとそこには気絶している二人が手足を縛られ倒れていた。
そして最奥の部屋からゴソゴソという音が聞こえる。
私は意を決し………部屋の扉を開ける。
するとそこにはりんちゃんを押し倒し馬乗りになるりょうくんと、涙で声にならないりんちゃんの姿が。
『僕の…………僕の、りんちゃんなんだ。』
『やめな…………さーーーーーーーーい!!!』
私はいつしか握っていたものを振り上げそして。
バコーーーーーーーーーーーーーン!!!
りょうくんは気を失った。
『はあはあ……………りんちゃん!?大丈夫!?』
『うん……うん…………うわあああーーーーー。』
この小屋にりんちゃんの泣き声は響き渡る。
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