盆の章ーその伍ー
彰男君がいなくなり数名が彼を探しに行った。
そんな時、そんな彼らを待っていた私達を恐怖に誘い込んだガサガサという何者かの動く音。
私は思わず息を呑む。
するといよいよ出てくるのだろう何者かの影が見える。
『『いやあああーーーーーーーーーっ!?』』
私達は思わず叫んでいた。
そして現れたのはりょうくんだったんだ。
『いやあ…………驚かせてしまって…ごめんごめん。』
そういいながら草むらから出てきたりょうくん。
『りょうくんだったんだあ………良かったーーー。』
『本当に怖かったんだからあーーー!!』
私達はそう言いながら涙が零れたりしていた。
すると他の男子も帰ってくる。
だけどそこには彰男君の姿はなかったの。
するとりんちゃんはりょうくんに問いかける。
『あの……りょうくん………やっぱり彰男君は……』
恐る恐るそう問うりんちゃんにりょうくんの表情は一瞬不快そうな顔をする。
『ああ………どこにもいなかったよ。』
『えっ!?』
普段からそこまでモテる方ではない存在のりょうくんは笑顔を絶やさない男子だった。
でもその時の表情からは見ていた私からも怖さを感じてしまったの。
『りょうくん………そうだったんだね…………。』
私がそう声をかけるもりょうくんはそれ以上何も語らなかった。
他の男子に聞こうかとも思ったけれども………何故か他の男子もいなかったとしか言わなかったの。
『ふぅ…………もう夜も遅いしこれ以上の捜索は危険だ………次は明日の朝行くことにしよう。』
りょうくんのその声に他の男子達も次々とテントに戻っていった。
すると立ち止まったのはりょうくんだった。
『あ、浅野さん…………ちょっと彰男君の詳しい話を聞きたいからテントに来てくれないかな?』
『えっ!?でも……………』
『ちょっと詳しい話を聞かないと………………』
そう言ってりょうくんは何か持っていた物をりんちゃんに見せた気がしたの。
『えっ!?りょうくん!?』
そう言ってりんちゃんはりょうくんのテントに入っていこうとする。
すると中から誰かが出てくる。
『えっ!?』
『風間くん!?』
『あ、ああ………浅野さん……………ごめん、僕。』
すると走り去っていく風間君。
『『風間君!!!???』』
呆然と立ち尽くす私達を置いて走り去っていく風間君。
そして朝になり………今度は。
風間君が帰って来なくなってしまったの。
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