盆の章ーその肆ー
私が深夜テント内で寝ていると……突然、聞き覚えのある女子の大声が聞こえた。
『『彰男』君!?どこーーーーーーーーーーーっ!?』
そう叫んだのは『りん』ちゃんの声だった。
私は眠い目を擦りながらテントから這い出ていく。
やっとの事で懐中電灯をつけるとそこには私だけでなく私以外のメンバーもまたあした声に起こされたらしい。
だが………そこにはテントの前で震えながら座り込んでいた女子の姿があった。
その子の名は『浅野りん』。
クラスでも恋愛に興味津々の子でこの旅の前の夏休み中も彼氏である彰男君とデートなどで夏を謳歌していたと話には聞いていたのだ。
私は懐中電灯を照らしながら彼女に問いかける。
『りんちゃんどうしたの!?』
私の声に気がついたりんちゃんは涙目でこちらを振り向き恐る恐る口を開く。
『あのね……実は皆が寝てからテントにおいでって、一緒に月を見ようよって誘われていたの………私は嬉しくてずっと待ってたの……そして時間になったから彰男君のテントに来て………声をかけたけど中から声もなくて……覗いちゃえって思って中に入ってみたら……………誰の姿もなくて…………それでね………これ。』
そう言ったりんちゃんは私に手を出し見せる。
するとそれはなんと血塗られたりんちゃんの真っ赤に染まった両手だったの。
『!!!????』
思わず息を飲む私。
するとそこへ声をかけてきたのはオカルトに最も興味津々な男子……神木りょう君だった。
『これはなんだ………………りんちゃん…………』
するとりんちゃんの手に触れるとその液体を照らし見るりょう君。
『これは確かに血だ……でもこれが彰男のものかどうかはまだ分からないんだ……とにかく数人で探して見よう。』
確かにその判断は冷静で正しかったのかもしれない。
そして私達女子は私のテントの中で五人1つに なり報告を待っていた。
男子四人が彰男君を探し初めてからどれくらい経ったのだろう。
私達は震えていた。
外も中もこの季節生温かく………テント内はムッとする程ジメジメし暑苦しかった。
私達はひとまず外の空気を吸おうとテント内からでてみる。
するとテント対面の向こうからガサガサっという音が聞こえる。
私達は思わず声もだせずその場にしゃがみこむ。
その瞬間、またガサガサっと聞こえる何者かの足音。
私達は身体を寄せ合い震える。
すると。
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