盆の章ーその壱ー
一つ……………。
決してこれから話す事は他言無用。
一つ………………。
貴方がこれから聞く話に好奇心から首を突っ込まない事。
一つ…………………。
これから貴方の身に起こる事から決して逃げないでください……恐怖心は奴の餌です。
◇
◇
◇
『いいですか!?これが俺からあなた方に心霊スポットを紹介する為の条件です。』
どこから調べたのか、俺の元に今若い少年少女達数名が来て取っておきの心霊スポットを夏休み中に行きたいので紹介して欲しいと訪ねてきたのである。
『はい、分かりました。』
そう返事を返したのはこのメンバー達を纏めるクラスの学級委員の『矢崎たまお』さんである。
いかにも学級委員であるといった雰囲気の活発な彼女はそう言葉にする。
そして彼女らは俺にそう約束すると俺の用意した同意書へとサインする。
『これでいいですか?』
『ええ……ですが…………これは本当に危険なAクラスの心霊スポットとなります…事前準備の上……何かあった時の為の大人、つまり親の同意書……が必要となりますが……………。』
『これでいい?』
すると、さすが……俺のこの店の話を聞いて調べ尽くしてきたのであろう……必要な書類は全て用意されてきたのである。
俺はその書類の全てに目を通す。
『はい……全てが申し分ありませんね。』
『当然でしょ?私はなんでも完璧にこなさないと気が済まないの………さあ………では同意していただいたのならその場所を教えてくださらないかしら?』
『まあまあ…………まずはお茶でも口にして……焦りはよくありませんから。』
『いえ…………結構です………ですがここには物凄い量の本があるのですわね。』
『ええ……そうですね………俺はこの様な怪奇譚をお客様のお話を聞き、手記し、そしてそれをこのように書籍化し………人々の興味の一端を担っているわけです……まあ、お金は頂かない代わりにその情報をいただいているといった具合なのですよ。』
『そういったお仕事………というか趣味なのかしら?』
多少皮肉ったような彼女の言葉。
だがそんな事は俺の興味外の事だ。
『そのようなものでしょうか………ですので先程お話させていただいた事は必ず守ってくださいね………そしてどうかご無事で、ご報告の程よろしくお願いいたします。』
『ええ………分かったわ。』
そういった彼女に俺はメモを渡す。
『これが………先程のお話の舞台………離島『呪魂島』。』
『ええ……くれぐれもお気をつけて。』
◇
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こうして矢崎様一行は島へと向かう事になりましたが、果たして?