梅雨の章ー最終話一。
米助は、あの場から無事に逃れる事ができていた。
そして米助があの時助けられたあの声の主は、そう実の母の、さえの声だったのだ。
米助はなんとか逃げる事ができたんだ。
『はあはあ………なんとか……助かった。』
そうため息混じりに安堵する米助。
そして米助は生き延びることができた。
あの恐怖は連鎖した。
実の祖父が呪い殺した実の父田栄。
そんな田栄は生き延びた自分をまた呪い殺そうと襲ってきた。
だがその時。
母であるさえが自分を救ってくれたのだ。
そして米助はなんとか生き延びた。
それから数十年後。
◇
◇
◇
真面目に生きた米助。
いつしか米助にも大切な妻と娘ができた。
そして米助は幸せな時間を過ごした。
大切妻とそして愛娘と過ごした貴重な時間それは米助にとってとても素晴らしい時間だった。
『ああ、わしは本当に素晴らしい人生を過ごしたぞ、お雪今までありがとう。』
『あなた!?しっかりして!?』
妻のお雪の自分を呼ぶ声。
それは本当に愛おしい人の声。
そして隣には娘の『たえ』がその表情をくずし自分のために涙を流していた。
この人生の最後になるであろうこの時が自分にとって最も幸せな時間になったのだった。
ここまで生きてきて自分はいい年齢を重ねた事に後悔などもはやない。
俺はそう思い目を閉じていった。
だがその時。
目の前に感じ見えたのはあの恐怖の憎悪を浮かべた恐ろしい形相のなにか。
俺は突然全身に感じた悪寒。
そして妻のおゆきの背後には。
あの田栄が恐ろしい形相でたっていた。
(やめろ…………………やめろおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?)
俺の叫び声はいつまでも続き………俺は……そのまま事切れたんだ。
◇
◇
◇
『という話だったのですよ、まあでもそれからお祓いと祠を立てることで事なきを得たのですがね。』
そういった俺の元へきたお客様がそう全てを語ってくれたのだった。
『そうでしたか、ありがとうございます。』
俺はそういうとメモを全てを書き記した。
そして話されたお客さんはスッキリしたかのように笑みを浮かべ帰っていったんだ。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございます