ー梅雨の章ーその六。
太助は田栄の策略で息絶えてしまった。
そしてその愚行は自分、そしてさえの子までその生命を奪い去る。
だがこの時。
田栄は一つ誤算を残していた。
それはなんとその中の一人が生きていたのだ。
『お、おかあ………………………………』
小さな子供は田栄達がさった後。
その小屋から命からがら逃げ出していた。
それは奇跡という名のものだった。
彼は痛みに耐えつつも這いつくばりながら小屋を離れ鬱蒼とした森を進み………そして。
◇
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◇
彼が気絶から目が覚める。
するとそこは小屋の中だった。
彼が気が付き飛び起きると誰かの声が聞こえる。
『起きたかね?』
それはどことなく優しい声だった。
そしてそこに立っていたのは優しそうに笑みを見せるおじいちゃんだった。
少年はゆっくり身体を起こそうとしたが激痛に声を上げる。
『うっ!?』
『あー無理せんでいい!!怪我が本当に酷くてな医者をなんとか呼んでそこまでになったのだ。』
『ごめんなさい……僕っっ。』
『ええんじゃええんじゃ、あれだけの怪我だったんじゃ、まだ寝ておれ。』
そう言って少年を寝かせるおじいちゃん。
こうして少年はこの優しきおじいちゃんに瀕死のところを救われ一緒に暮らすことに。
そして数年の時が流れた。
少年は青年へと成長していた。
◇
◇
◇
二人で暮らしそして青年は一人でも生きれるようになっていた。
『おじいちゃん!?大丈夫!?』
『ああ、大丈夫じゃ…いつもありがとうなあ………じゃが………最近な…………ここの近くの田栄という大地主のところで恐ろしい事があったらしい。』
『えっ!?どんな……事!?』
『ああ…ワシも又聞きじゃが……夜な夜な屋敷の周囲で生首が飛び交うとか、苦しそうな声が聞こえるとか……そんなおかしなたたりのようなものを感じるようになったとか…そんな…恐ろしい話があったという。』
『そうなんですね!?』
『ああ……そうじゃ……………そのおかげで大地主田栄のずっと栄えてきた屋敷は田栄が原因不明で死に絶え………そして屋敷も絶え絶えになっていき………今では廃墟になってしまったとの話じゃ………そして廃墟になった屋敷からは今では、その声が聞こえるという……そんな恐ろしい怨念のように聞こえるという話なのじゃ。』
『そう………なのですね。』
『ああ、だからお主も気をつけんとな。』
『はい。』
だけど、それから二人には、しばらく何事もなかったのだ。
だが………………それは突然やってきた……………………。
◇
◇
◇
果たしてこの先何が待っているのか?