ー梅雨の章ーその五。
それは太助初め………その一族が消えた瞬間でもあった。
ところが太助は本能だけで動こうとする。
太助はもがき苦しむ。
初めてあった自分の孫…………。
そんな数名の幼子がボロボロに虐げられ……そして目の前で無惨にも殺される。
そんな理不尽な暴力によってこんな目に。
床を這いつくばりながら孫を助けようと藻掻く太助。
『くっ!?があああっ!?』
太助は孫に少しずつ、失血で力が入らない状態に孫達を守ろうとするその本能だけでずるずると寄って行こうとする。
だがその先にいるのはどうみても絶命した亡き骸なのだろう。
だが太助は諦めなかった。
身体激しい激痛と失血による意識の低下。
今の太助に残されている力は只々目の前の孫の元へ寄っていきたい……それだけだった。
次第に太助の心に浮かんできたのは娘と孫をここまでに追い込んだあの男……田栄へ恨みだった。
『田……………栄……………………………。』
太助の声に田栄は太助を見下ろしながら言葉にする。
『太助…………………………お前まだ死んでなかったのか?しぶといやつだのお、お前の孫はこうしてもう息もないのだぞ!?そろそろくたばってはくれないかね?』
そう言い放った田栄。
わしの心にふつふつと湧き上がるこの男への怒り。
それは残り僅かな生命力に恨みというスパイスが加わりわしの力はおおきなものへと変わっていた。
『田………………………栄………………ゆ…………るさん』
わしはもう痛みを感じることはなかった。
只々ひたすら目の前の男への恨みでいっぱいだった。
『田……栄………田……………栄……………田栄ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
その時。
太助にさらに刃物を背中から突き立てたのは田栄の雇っていた護衛の男だった。
そして太助の身体は仰け反り苦悶の表情の太助は……………動かなくなったんだ。
こうして完全に動かなくなった太助。
田栄は笑う。
『クククッ……やっとだ、やっと死んでくれた。』
『これでこの俺の悩みは消え去った……………さあここからまた面白おかしくいきてやろう。』
そしてこの時。
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