梅雨の章ーその3。
太助は自分の娘の遺体を前に涙を流していた。
『うっ……ううっ………………さえ……さえっ!?』
声を上げ泣いている太助。
すると………太助に声をかけてきたのは田栄だった。
『父殿……………突然の病でな………心の臓が侵されていたらしいのだ。』
『ううっ!うう…………………』
太助はひとしきり泣くと、田栄に問いかける。
『話は聞いてました………でもあなたと、さえの間には子ができていたと聞き及んでおります……せめてワシの孫に合わせてはくれないかね?』
『わかりました』
そういった田栄はワシを案内してくれた。
ワシは田栄の後をついていく。
この時は、少しでも……少しだけでもさえの残したワシの孫にあうことで寂しさを紛らわそう と思ったのかもしれない。
そう考えてしまっていたのだ。
ワシが田栄の後に続いていくとこの大きな屋敷を大分歩いてきたのだろう。
屋敷の明るい場所から木が生え揃い……深い森の様な暗い場所まで入って来てしまったのだ。
『あの………田栄殿?こんな暗い場所に孫達がおるんですか?』
『ああ……もう少しでその小屋に辿り着きますから。』
『小屋!??はて……………それは一体…………?』
太助はその言葉に妙な違和感を感じる。
この時の太助の心には恐怖心しか感じなかったのだ。
『着いてくればわかりますよ。』
ニヤリと笑う田栄。
そして後を追う太助。
二人はゆったりとその小屋へと近づいていく。
田栄の後を追う太助だったが前の田栄には不信感しかもっていなかったのだ。
そしてようやく小屋の前に辿り着いた二人。
嫌な予感だけが残る太助。
そして田栄によってスーッと開かれていく小屋の扉。
以外にも建付けがよく苦もなく開かれていく扉。
『さあ…………どうぞ……………中に入ってくださいな。』
そう言って田栄は太助を招き入れる。
そこには誰もいなく、中は静まり返る。
『なんだ!?誰もいないのではないか?』
『いえいえ……………ささ、もっと奥ですよ。』
太助は押されるように建物の最奥まで入り込んでいく。
そして最後に見えたのは一つの扉だった。
『さあここですよ………中へお入りください。』
そして意を決し扉を開いていく太助。
太助がそこで見たものとは!?
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