とある男に起こった出来事。
一人の学生に起こった出来事とは。
さて。
皆様こんばんは！
これから語りますのは俺の執筆というスキルアップの為の怪奇譚。
どうぞごゆるりとお楽しみくださいませ。
本日第一回目の話は「クラスメイト」
主人公の名は「最上輝也」
彼は、どこにでもいる高校一年だ。
◇
◇
◇
「輝也！」
僕を呼ぶのは同じクラスの悪友の間宮仁
《まみやひとし》この学校に入学してから隣の席になり仲良くなったのだ。
仁とは、それから良く話すし偶然家も近く一緒に登下校していたのだ。
だが、そんな彼はオカルトが大好きでよく心霊話等を聞かされていた。
俺は、この学校にはこの街に引っ越してきてから入学した。
だから、この近辺での友人となると今はまだ仁くらいだ。
「なぁなぁ！それでさ！この街には色んな怪奇話があってさ！」
「おお！それで？」
「中でも飛びきりの話は昔からある祠から何かの声が聞こえるって話しさ！
「へぇー！でもそれって噂話だろ？」
「まあね！でもそこに来週土曜夜にオカ研で行ってみる計画があるんだ！」
「オカ研かぁ？仁好きだよな？」
「心霊関係の話は昔から好きでさ！この学校にオカ研があるって聞いてすぐ入ったんだよね！」
「それでオカ研って実際何人いるんだ？」
「えっと…僕入れて三人。」
「そうかぁ！まあ頑張れよ！」
「あのさ！？」
「ん？なんだよ！？」
「輝也も良かったらさ！」
「ん？」
「オカ研入らないかなぁって思ってさ？」
「俺パース！興味ねぇしな！」
「そんな事言わないでさ！体験だけでもいいからさ！？」
必死な仁の誘いに俺は少々ウザいと思っていたのだか。
この時ばかりは何故か押されてしまったんだ。
「お！良かった！じゃあ僕これから部長達に輝也がイベントに参加してくれるって報告してから帰るよ！」
「おう！分かったぜ！また明日な！」
俺達はこの日は、こうして別れたのだった。
◇
◇
◇
それから一週間後。
俺はオカ研の非常メンバーの一員として例のイベントに呼ばれてここに居るのだった。
「やぁ！今日は来てくれてありがとう輝也君！」
こうして俺に声をかけてきたのはオカ研の部長で唯一の女子メンバー藤野涼子。
そしてもう一人は副部長それに仁と俺を加えた四人は遂にあの祠のある場所に来ていたのだった。
現在の時間は午前0時。
この時間に集まりあの祠の探索へと俺達は向かう事になるのだ。
「その前に…私がこの地に纏わる話を出発前にしておくとするよ。」
そう言うと涼子は語り始めたのだ。
この祠の名前は『忌鴑抜鬼』といい大昔この地に恐ろしい鬼が住み着き人々は食われたり鬼の力で病を発したり困り果ててた所へとあるお坊さんがこの地へやってくる。
そして、そのお坊さんは村人達を救う為にある呪術を使ったのだ。
それはあまりにも凶悪な鬼である為に倒す事は困難だった。故に自身に鬼を滅する禁呪をかける。
その名は『対煩無我』
そして鬼はいつもの様に村人達を食おうとやってくる。
「ぐふふ…人ぉ！人が食いてぇ！」
ズシンズシンと足音を響かせやってくる鬼。
鬼は、とある小屋に辿り着く。
小屋には囮の為の女性を座らせ、そしてお坊さんはその後ろに潜む。
「ぐるるる……。」
ばーーーーん！！
鬼は家の扉を蹴破り女性へ近づいてくる。
一歩また一歩。
女性は恐ろしさに震える身体を必死に抑える。
そして鬼は遂に女性の目の前まで辿り着くと腕を大きく振り上げる。
次の瞬間！！！
「まて！鬼よ！拙僧は天津妙仁という。そなたには…この娘より拙僧の肉を喰らわせようではないか？」
「なにっ？」
「娘よ！逃げよ！」
「はいっ！！」
そして予め用意していた扉から娘を逃がすと天津は鬼に叫ぶ。
「どうした！？鬼よ！さぁ！拙僧の肉を堪能しそしてこの地より去るがよい！」
「ふふ…バカめ！お前を食った後この村の奴らごと皆食うに決まってるだろ？」
「そうはさせんよ…。南無。」
数珠を手にし念仏を唱える天津。
鬼は、そんな天津を巨大な手で捉えようとする！！！
「があああーーーーーーっ！！！」
バキッ！！！ボキボキっ！！！
天津の身体は鬼の腕により捉えられ、その巨大な手により握りしめられ身体中の骨は折れ全身に激痛を覚える。
「んんんーーーーっ！！！」
苦悶の表情を浮かべ口から声が漏れる天津。
鬼はその手の力を更に込める！！
ボキボキっ！！
「ぐああああーーーっ！！！」
天津は全身の骨という骨が力により折られその激痛たるや恐ろしいものだった。
泣くという行為も痛みゆえ自然に目から流れ出る。
自分は確かにこの方法でしか鬼を退治する事が出来ぬ故の決断。
天津はここまでしてもこの村を守りたかったのだ。
幼き日自分を鬼から救ってくれたとある人の様になりたかった。
「ぐああああーーーっ！！」
突然右足に痛みを覚えると鬼は天津の右足にかぶりつきその歯と口の力で足を引きちぎろうとしている！！
ズシャッ！！！
辺りに響くその鈍い音と共に天津の足の付け根に激痛が走る！！！
「ぐああああああああああああーーーーっ」
◇
◇
◇
こうして天津は全身を鬼に食われていき。
◇
◇
◇
「そして天津を食った鬼はお坊さんの対煩無我によってその身を蝕まれてこの祠の地で消滅したらしい。」
俺達は正直その話で既に帰りたくなっていた。
その時！！
ボタリ…。
俺の背中に何か水滴のようなものが落ちてきた気がした。
ボタリ。
「「ひっ！」」
今度は副部長と仁も声を上げ走り逃げ出す。
「なんなんだ！私があの話をしたらこうも怖がるとは！？雨であろうよ？」
ポタリっ！
「ひっ！！」
「うわっ！？」
部長も感じ俺も背中にまた何かの水滴を感じた気がした。
そして俺と部長は上を見上げる。
俺達の真上には……！！！？？？
