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たらこのエッセイ集

蘇鉄地獄

 皆さんこんにちは!

 最近ブルーな水産加工食品のたらこですよ。


 みなさまは蘇鉄って知ってますか?

 昔はよく庭に植えている家とかもあってよく見かけたのですが……最近はあんまり見かけなくなりましたね。

 学校にも植えてあった記憶があります。


 蘇鉄は裸子植物で、やせた土地でも生育可能な強い生命力を持っています。

 枯れかかっている時に鉄のくぎを打ち込むと蘇ることからその名がつきました。


 鉄で蘇るってちょっとかっこいいですよね。

 特殊能力みたいで(ちゅうにびょう


 そんな蘇鉄ですが、なんと澱粉を多く含み、もしもの時のための非常食として利用されていたというのです。

 といっても、毒を含んでいるために食用にするには手間がかかり、加工処理をせずに食べると中毒症状を引き起こすこともあります。

 こわいですね。


 この蘇鉄を食べざるを得ない状況が発生したことがあります。

 大正から昭和にかけて、干ばつによる不作や度重なる不況の影響のため、南西諸島の人々は貧困にあえいでいました。

 食べる物がほとんどなく、蘇鉄を口にして飢えをしのぐしかなかったんですね。


 蘇鉄は適切な手順を踏めば安全に食べられますが、近代に入ってからは毒性のために常食が避けられていたため、正しく加工せずに食べてしまい中毒を起こす事例もあったそうです。

 こうした状況を蘇鉄地獄と呼ぶようになりました。


 この話を聞いた時、とても驚いたのを覚えています。

 そもそも蘇鉄が食べられるなんて知りませんでしたからね。


 街の中で蘇鉄を見かけるたびに、この話を思い出すようになりました。

 蘇鉄を食べて飢えをしのぐしかなかった当時の人たちのことを思うと胸が痛みます。


 今は食べ物に不自由しなくて済む時代になりました。

 コンビニへ行けば好きなものが何でも買えますからね。


 最近は物価高で何もかもが値上がりしていて、生活が苦しくなる一方。

 卵なんて目玉が飛び出るくらい価格が上昇しています。

 はやく世界経済が安定すればいいのになーって思う日々。


 ですが……さすがに蘇鉄を食べるほど追い詰められてはいません。

 昔の人たちの方がずっと苦労をしていたのです。


 毎日、何気なく口にしている食事ですが、飢えることなく過ごせているだけでも、ありがたいことなのかもしれません。

 白い炊き立てのお米をお腹いっぱい食べられるなんて、とっても幸せなのです。


 街角でたまに見かける蘇鉄。

 その見た目からは食べることができるなんて想像もできません。


 でも、確かに蘇鉄を食べて命をつないだ人たちがいるのです。


 食べることは生きること。

 美味しいものを食べて生きていける幸せ。


 感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。

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― 新着の感想 ―
[一言]  釘を打つと……藁人形みたい!  毒があるなんて、呪いですかね(笑)  葉っぱでなく、実を食べるとは!!  本格的なダイエットをして以来、食べ物のありがたさは身に染みております。
[良い点] 戦時中を過ごされた方の逸話を聞きますと、お金を払えば当たり前のように食べ物や料理を買える現代は恵まれていると実感しますね。 映画「この世界の片隅に」には御米を水で嵩増しした楠公飯という料理…
[一言]  蘇鉄ってどこを食べるんでしょうかね。宮崎とかあっちの方を旅行すると南国情緒を高めてくれる小道具的なものとしてしか見ていませんでした。意外性と、そして何とも言えない角度からのものの見方…面白…
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