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雪の夜風
雪が、降っていた
絶えることなく降っていた
しんしんと冷える夜
ただひたすらに降っていた
暗くはない、夜空に
風に舞う雪花のかけら
手のひらに乗せてみれば
水滴になっていく
儚い結晶は、自然の芸術
傘に当たって音がする
雨とは違う、湿り気のある
それでいて軽い
白い、透明
雪はいつまで降るのだろう
いつまでも降り続くように
雪のように、花のように
風に舞うのは
誰かの言の葉か、木から離れた葉か
空の上から静かになって
降りてきて
地上に触れたら
消えていく
冬だけの
特別な時間




