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十一月の風
秋の終わりに吹く風は
灰色空の高くから
夏には青くて
今はすっかり白い風が
砂嵐のように通り過ぎると
乾いた風に変わる
そうしたら
冬までは、もうすぐ
街に、田畑に、電車に
通り過ぎていく風は
積みわらを乾かして
かかしと戯れている
風さん、ね、風さん
曇り空の下を、どこへ行くの
東に向かっているの
それなら、夜を超えた先には
朝が迎えてくれるから
カーテンを開けたまま
窓におでこをつけてみる
窓の内側に水滴がついて
流れていくのを見ながら
灰色の曇り空を見ながら
雲が晴れて、陽射しが戻るのを
美しい夢を見る――――




