76/100
八月の夕暮れに
八月が過ぎていく
夜になればもう秋の虫
鈴虫、松虫、何の虫
涼しげな音が耳に聞こえてくると
わけもなく満ち足りて
探してみようか、なんて…
昼間の暑さは変わらない
それでも日暮れは
迫ってくる
暑い日差しの名残を残して
夕焼け雲が告げている
今日という日は終わり
夜のカーテンを閉じたなら
眠りましょう
何も考えないで
今、生きている
全ての人に
お眠りなさいと告げている
草葉のように
静かに
明日、また朝日が昇ったら
忙しい日々に戻るのだから
夕日の残照を見ながら
暗くなっていく空ばかり見ていたら
細い月が木の上にかかっていて
いいなと思って




