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七月の始まりは
『七月の始まりは』
七月の始まりは雨から
足もとに水たまり
緑の道に霧雨がかかって
世界が白くなって
いつもより少しだけ
柔らかくなる
こんな休日には
レトロな喫茶店に入って
洒落たジャズなど聴きながら
気に入りの本でも読んでいよう
作家さんの見た世界を訪ねて
ささやかなひとときの
どこにも行かない遥かな旅に
ひっそり静かに出かけよう
窓の外は今日もまた雨
こんな日があってもいい
透明な窓ガラス越しに見る
雨粒はクリスタル
そんなことを感じた
霧雨の午後
『それから』
雨は晴れたばかりで
世界は浄化されたばかり、だったから
ステンドグラスから
光が室内に降ってきて
扉が開いて、空を背景に
君が入ってきたから
自然とね
笑いかけたかもしれない




