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月の舟、星の海
夕日が落ちて
宵の時間
群青から宇宙が広がっていく
天藍石から世界を見たとしたら
きっとこんな色をしている
宇宙の静寂が
大気に満ちていく
それは空という名の海
雲の白波が波立ちながら
吹き寄せられていく
その海には大昔には
生物が生きていたという
くじらの呼び声が飛び交って
海月はふわふわ泳いでいたかもしれない
夜空の月は次第に輝きを増して
煌々と細い舟のように
宇宙の海へと旅立っていく
星の瞬きを導きにして
幾億光年を超えた彼方へ
星の海を漕ぎ出していく
夜は更けていくの?
そうかもしれないね
みんなみんな、どこへ行くの?
どこへでも、行けたらいいのに




