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初夏の公園から
元町から坂を登ると
大きなケヤキの木が見えてきて
その先には、海が見える公園がある
緑の並木道を歩く
初夏のきらめきの中で
若葉が風と戯れる
青い木陰を、風が通る
その澄んだ匂い
影が揺れている
学校のチャイムが鳴って
校庭を一周すると
真っ青な空へ
飛び立っていくのを聴いていた
制服の頃から知っている景色
この坂を登ると何があるのか
不思議だった
いつか行ってみたい
きっと、夢みたいなことが待っていると
信じていたような気がする
大人になってからは忘れていた
大切な時間
噴水が光を浴びて
きらきらして
薔薇の咲き残りが何輪か
遠くで教会の鐘が鳴っている




